イラク戦争

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「イラク戦争と自衛隊派遣」森本敏編④

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 09:13 投稿番号: [126 / 5091]
・米国の軍事戦略が、脅威基盤戦略から能力基盤戦略へと転換
・世界各地へ96時間以内に緊急展開可能な中型装甲旅団の創設
・96年のオペレーション・マニューバー・ザ・シー(海上からの機動作戦行動
  海兵隊が奥地まで機動的に一気に展開
・事前集積団(MPS)の増強を図り、機動性を高めている
  沖縄駐留の海兵隊:第三海兵機動展開部隊では高速輸送船を取得
・96年のフォワード・フロム・ザ・シー(海からの前進)
  ①海から陸上への戦力投入
  ②海洋管制と海上優勢
  ③戦略的抑止
  ④海上輸送
  ⑤前方プレゼンス
  機動力向上のため、陸軍重師団を高速輸送、洋上集積する車輌輸送艦を
  2005年までに40隻整備する予定:2個師団を世界各地に30日以内に
  展開することが可能となる

・96年グローバル・エンゲージ戦略を修正し、従来のような海外の基地に恒久
  的に空軍部隊を駐留させておくのではなく、必要とされる場所に期間を限定し
  て、その部隊だけで独立的に任務を遂行できる方向へと向かっている
  空軍戦力の長距離戦力投射能力が向上したため
  C17大型輸送機を120機配備予定

・95年の「国家軍事戦略」では、「前方展開兵力」と「パワー・プロジェク
  ション(兵力を特定地域へ投入する能力)」

・小型化・機動力を増すことで、大規模な前方展開に依存する必要性は低減
  リアル・プレゼンスからヴァーチャルプレゼンスへと比重を移行
・米国の安全保障政策の重心が「本土防衛」へ移っているから

  前方展開兵力を大幅削減、撤収できれば、
・駐留経費の節約
・駐留国への政治的考慮の回避
・前方展開兵力の脆弱性回避

  そのため、
・前方展開の「ハブ基地(MOB))」を重視し、
・その「ハブ基地」からいくつかの「アクセスポイント(FOB)」へと
  「スポークス」状にのばす、前方展開の「ハブ・スポークス」型へと移行

・ハブ基地(MOB):日本、韓国、グアム、ディエゴ・ガルシア
  しかし、北東アジアにおけるハブ基地は集中しているため、
①西欧と北東アジアに集中する海外プレゼンスでは不十分
②それはハブとして追加的な役割が期待される
③空軍は、太平洋、インド洋、アラビア海の有事基地を増やす

・アジアには新しい基地は建設せず、アクセス能力を高める
  基地使用を認めている国:シンガポール、フィリピン、タイ、オーストラリア
  交渉中の国:ベトナム、マレーシア
  米国がベトナムのカムラン湾を使用できれば、南沙諸島の領有権問題にも安定
  要因となる

  <日米間でのパワー・シェアリング>
・装備・錬度を徹底的に変更するか、特定の部隊のみを日米防衛協力や国際協力
  に指向する手段をとる必要に迫られる可能性がある
・日欧とも、米軍と総合戦闘力の面で同盟協力が実施できる状況にない
  コソボでは米軍とNATO軍が共同活動さえできず作戦にも齟齬を発生した

・日米間の統合指揮命令システムを確立することが次の課題


<第7章>自衛隊のイラク派遣(森本氏編)

「イラクに対する武力行使の根拠を安保理決議678に求めようとする米国の
  主張には無理があるものの、イラク戦争をしてまでフセイン政権の打倒・排除
  を狙ったのは、米国が今後、中東・湾岸戦略を推進していくための戦略的根拠
  をイラクにつくろうとしたのであり、大量破壊兵器の武装解除は、その理由づ
  けの一つにすぎなかったと思われる。米国は今後、相当期間にわたりイラクに
  軍事プレゼンスを維持・確保するつもりであり、それはイラクの大量破壊兵器
  を捜すためではないことが明らかである。米国は、バグダッドに館員2000
  名近くの大使館を維持する予定ともいわれるが、このことも米国の意図を示す
  ものと受け止められる」
「北東アジアの緊急事態に、米国が日本を助けて地域的安定を図ろうとするのは
  、あくまで、それが米国の国益にかなうからであって、日本がイラク支援に参
  加したからではない」
「日米両国は、それぞれ異なる狙いを持って、日米同盟を強化することに努め、
  その目的を達して冷戦期を乗り切ったのである」
「現在の日本の防衛力は、アジアで第一級の戦力である。周辺諸国が日本の防衛
  力に懸念を表明するのは、日本の防衛力を恐れている証拠である」

「イラク戦争と自衛隊派遣」森本敏編④

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 09:13 投稿番号: [126 / 5091]
・米国の軍事戦略が、脅威基盤戦略から能力基盤戦略へと転換
・世界各地へ96時間以内に緊急展開可能な中型装甲旅団の創設
・96年のオペレーション・マニューバー・ザ・シー(海上からの機動作戦行動
  海兵隊が奥地まで機動的に一気に展開
・事前集積団(MPS)の増強を図り、機動性を高めている
  沖縄駐留の海兵隊:第三海兵機動展開部隊では高速輸送船を取得
・96年のフォワード・フロム・ザ・シー(海からの前進)
  ①海から陸上への戦力投入
  ②海洋管制と海上優勢
  ③戦略的抑止
  ④海上輸送
  ⑤前方プレゼンス
  機動力向上のため、陸軍重師団を高速輸送、洋上集積する車輌輸送艦を
  2005年までに40隻整備する予定:2個師団を世界各地に30日以内に
  展開することが可能となる

・96年グローバル・エンゲージ戦略を修正し、従来のような海外の基地に恒久
  的に空軍部隊を駐留させておくのではなく、必要とされる場所に期間を限定し
  て、その部隊だけで独立的に任務を遂行できる方向へと向かっている
  空軍戦力の長距離戦力投射能力が向上したため
  C17大型輸送機を120機配備予定

・95年の「国家軍事戦略」では、「前方展開兵力」と「パワー・プロジェク
  ション(兵力を特定地域へ投入する能力)」

・小型化・機動力を増すことで、大規模な前方展開に依存する必要性は低減
  リアル・プレゼンスからヴァーチャルプレゼンスへと比重を移行
・米国の安全保障政策の重心が「本土防衛」へ移っているから

  前方展開兵力を大幅削減、撤収できれば、
・駐留経費の節約
・駐留国への政治的考慮の回避
・前方展開兵力の脆弱性回避

  そのため、
・前方展開の「ハブ基地(MOB))」を重視し、
・その「ハブ基地」からいくつかの「アクセスポイント(FOB)」へと
  「スポークス」状にのばす、前方展開の「ハブ・スポークス」型へと移行

・ハブ基地(MOB):日本、韓国、グアム、ディエゴ・ガルシア
  しかし、北東アジアにおけるハブ基地は集中しているため、
①西欧と北東アジアに集中する海外プレゼンスでは不十分
②それはハブとして追加的な役割が期待される
③空軍は、太平洋、インド洋、アラビア海の有事基地を増やす

・アジアには新しい基地は建設せず、アクセス能力を高める
  基地使用を認めている国:シンガポール、フィリピン、タイ、オーストラリア
  交渉中の国:ベトナム、マレーシア
  米国がベトナムのカムラン湾を使用できれば、南沙諸島の領有権問題にも安定
  要因となる

  <日米間でのパワー・シェアリング>
・装備・錬度を徹底的に変更するか、特定の部隊のみを日米防衛協力や国際協力
  に指向する手段をとる必要に迫られる可能性がある
・日欧とも、米軍と総合戦闘力の面で同盟協力が実施できる状況にない
  コソボでは米軍とNATO軍が共同活動さえできず作戦にも齟齬を発生した

・日米間の統合指揮命令システムを確立することが次の課題


<第7章>自衛隊のイラク派遣(森本氏編)

「イラクに対する武力行使の根拠を安保理決議678に求めようとする米国の
  主張には無理があるものの、イラク戦争をしてまでフセイン政権の打倒・排除
  を狙ったのは、米国が今後、中東・湾岸戦略を推進していくための戦略的根拠
  をイラクにつくろうとしたのであり、大量破壊兵器の武装解除は、その理由づ
  けの一つにすぎなかったと思われる。米国は今後、相当期間にわたりイラクに
  軍事プレゼンスを維持・確保するつもりであり、それはイラクの大量破壊兵器
  を捜すためではないことが明らかである。米国は、バグダッドに館員2000
  名近くの大使館を維持する予定ともいわれるが、このことも米国の意図を示す
  ものと受け止められる」
「北東アジアの緊急事態に、米国が日本を助けて地域的安定を図ろうとするのは
  、あくまで、それが米国の国益にかなうからであって、日本がイラク支援に参
  加したからではない」
「日米両国は、それぞれ異なる狙いを持って、日米同盟を強化することに努め、
  その目的を達して冷戦期を乗り切ったのである」
「現在の日本の防衛力は、アジアで第一級の戦力である。周辺諸国が日本の防衛
  力に懸念を表明するのは、日本の防衛力を恐れている証拠である」

「イラク戦争と自衛隊派遣」森本敏編③

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 09:12 投稿番号: [125 / 5091]
・EUは米国主導の既存のイラク復興基金とは別勘定・別建ての信託基金の創設
  を提案

「国際社会を挙げてのイラク支援体制というわけではなく、米国と一部の同盟国
  ・友好国および国際機関によるイラク支援体制に終わっている。これは、米国
  主導によるイラクの統治・復興の現状への国際社会の不満の大きさを示すもの
  である」
「バグダッドでは、ガソリンの配給がスタンドでの対象車を奇数ナンバーの日と
  偶数ナンバーの日に分けられるようになった。しかも、ガソリンを買うために
  は寒い冬の気候の中で毛布にくるまりながら12時間から24時間も待ち続け
  なければならない上に、一回の供給量は30リットルに制限」
「イラク国民は米国やCPAが有効な対応策を打てないのか、あるいは有効な
  対応策を意図的にとろうとしていないのか確信を持てないでいる」


  <第5章>危機に直面した国連(星野氏)

「国連は冷戦期からほとんど機能しなかった。冷戦後に国連はようやく本来の
  機能を回復したかに思えたが、今回のイラク戦争でそれは幻想であったことが
  はっきりした」
「国連を創設した時に想定した戦勝国の共同管理による国際社会の平和と安定
  維持を期待することは、もはや誤りである」
国連加盟国はそれぞれの国内的な法制度の範囲内でテロ対策は講じられるが、
①内政不干渉原則があり、他国の内部で活動するテロ組織に対して直接的な行動
  は外部からはとれない
②誰をテロリストと見るかという定義を巡る基本的な不一致もある。ある国で
  「反体制」の活動をするグループは、別の解釈では「自由の戦士」であるかも
  しれず、時の政府に対抗する勢力がテロ組織として恣意的に指定されかねない

「安保理決議1441だけで対イラク武力行使が授権されたと考えるのは無理が
  ある。仏独露中が、本決議が『明示的に武力行使を容認したものではない』と
  いう理解のもとに賛成票を投じたことからもわかるであろう」

  <米英中心の連合軍の武力行使が国際的波乱を巻き起こした理由>
①国連安保理の授権を得ることなく実施された
②「先制的自衛」の観点から行動が急がれたこと
③イラクの「体制変更(フセイン政権の打倒)」が目的とされたこと

①「米英軍の武力行使は、厳密には「違法」である」
  (NATOのユーゴ空爆は事後的に安保理で権限が付与された)

・日本の復興支援に関する五原則
  ・「十分な国連の関与」
  ・「国際協調を重視する」

「今回の米国と国連との関係を、変えようのない真理だとして受け入れなければ
  ならない理由はない。むしろ、これを『あるべき姿からの逸脱』のエピソード
  ととらえる視点こそが重要」

  米マイケル・グレノン氏は『国連憲章を無視した(政権転覆目的の)単独の
  軍事行動という恫喝策を背景にした外交の勝利』
これは「米国の違法な行為こそが、イラクの態度変化をもたらしたという分析」
「二重の意味で、国連は米国を拘束できない。
  ①国際法に照らして合法か違法かが、超大国米国の行動の判断基準にならない
  ②国際ルールをつくるにしても、理念(国家がいかに行動すべきか)にでは
   なく、経験(国家が現実にはどのように行動しているか)に基づくべきだ」

「国連外交が権力政治であることは事実だが、政治を超える理念のパワーを無視
  してはならない。現状を肯定するばかりが、現実主義の国際政治なのではない
  。イラク戦争を巡る国連安保理の機能不全も国連の『常態』なのではなく、
  一過性の『例外』にする努力が、米国に求められている」


  <第6章>変貌する米国の同盟関係と日本(川上氏と神保氏)

「冷戦後、同盟の基準は共有する共通の価値観になった」
  テロ組織と「いかに戦い、いかに共同行動をとるかという基準に変化した」

「前方展開兵力の再編」が最重要課題(ウォルフォウィッツ)
①米軍を展開している地域の特異性に応じて軍事能力を調整
②世界中どこでも、どんな時でも前方展開兵力を補足し、グローバルな軍事行動
  を即座にとれる能力を強化
  <前方展開>は、
・リアル・プレゼンスの「前方展開兵力(前方展開している陸海空軍兵力)」と
・ヴァーチャル・プレゼンスの「前方展開兵力(空母戦闘群等)」
・「米国本土兵力(緊急展開部隊と戦略爆撃機など)」

  航空・ミサイル作戦優先で作戦を先行させ、米国本土から短時間に機動展開で
きる戦力を米国本土に拘置する方が効率的である。また、その方が経費もかから
ない

「イラク戦争と自衛隊派遣」森本敏編②

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 08:12 投稿番号: [124 / 5091]
  4月1日、2日のカルバラ周辺での共和国防衛隊殲滅戦は、「全世界の人に
「見えない」戦闘。「なぶり殺しに遭っている」イラク軍部隊の姿をメディアに
登場させる訳にはいかなかったのだろう。」

・イラクは一機の航空機さえ作戦に投入できなかった
  これは「第一次大戦以来、初めてのケースであろう」
・「航空優勢」の獲得
  湾岸戦争後、飛行禁止区域を設け、監視、かつ防空機能に対して空爆
  つまり、実質的な航空作戦はイラク戦争開戦以前に既に開始されていたので
  あり、戦争開始時には既にイラク側防空機能は既に壊滅していた。
  これにより開戦開始と同時に地上部隊の進撃が可能となった
・ネットワークセントリック
  指揮・通信・統制・コンピュータ・情報・偵察情報(C4ISR)の共有化に
  よる戦場認識能力の向上
・タイム・センシティブ・ターゲティング(TST):航空攻撃指示方式
  「これまで、センサーもしくは諜報機関からの情報入手から航空機への攻撃
   指示までの時間は、湾岸戦争では数日単位、アフガン戦争では数時間単位
   であったものが、イラク戦争では約数十分単位にまで短縮された」
・TSTを可能にしたのが戦場認識能力の向上
  ・50を超える偵察衛星
  ・「航空優勢」確保による偵察機の自由飛行
・精密誘導兵器の多用(湾岸戦争時:7〜9%、コソボ:35%、アフガン:
  56%、イラク戦争:68%)

「戦場認識能力の向上と精密誘導兵器を組み合わせることによって、これまでの
  敵を『撃破・破壊』する爆撃思想から、敵の神経中枢を破壊して敵の機能を
  『麻痺』させる効果重視爆撃思想への転換が進んだ」

・作戦間の総攻撃任務の約63%を近接航空支援(CAS)活動が占めた
  CASにより、特殊部隊の運用リスクが低減し、その多用が可能

・ジョイント・ビジョン2020(2000年5月:統合参謀本部)
  ①軍の活動の全方位における優越
  ②情報優勢
  ③統合作戦の基本概念の徹底的追及

・海兵隊の内陸作戦:バグダッドまで実に700キロも進攻
・特殊作戦部隊が地上戦の表舞台に登場

  <イラク戦争で実証できなかったこと>
①デジタル化師団の実力
②米軍の市街戦の能力
③CBR(生物・化学・放射能)環境下の作戦能力

「掃討作戦はテロの発生場所を拡散し、攻撃対象を米軍以外へといっそう拡大
  させる傾向を強めている感すらある」
「国立博物館での略奪の際には、目の前に配置されていた戦車上の米軍兵に助け
  を求めたにもかかわらず、無視されるイラク人の姿が報道された。その一方で
  米軍は、石油省だけには厳重な警戒体制を敷き、略奪を許さなかった。抑圧か
  らの解放に見えたサドル・シティ解放も、バグダッド市民にとっては、米軍が
  『トラを檻から解き放った』ように見えたのだろう。バグダッド市民の間には
  『米軍が略奪に加担している』『米軍が略奪をそそのかしている』という噂が
  まことしやかに拡大した」

・戦後に出現した新聞は200紙を超えた(全て弱小で最大でも3万部)

「米国の占領政策は、これまで米国にとって好ましい勢力を優遇し、好ましく
  ないと考える者たちを排除してきた」
「皮肉なことに、民主化を主張する米国が行っていることは恣意的で、民主主義
  になじまないと批判されてきたイスラーム教勢力が直接選挙を求める構図が
  できあがっている」
「米国と関係が深いとされている統治評議会内にすら、CPAの選出方法に
  対する不満をあからさまに表明する者たちが増えはじめている」
「直接選挙要求デモは、きわめて平和的でかつ抗争を繰り返していたシーア派内
  の諸勢力が協調するものとなっている」
「統治権を引き渡した後の米軍が駐留する大義名分は何であるか、また、イラク
  人に不信感を植え付けてしまった米国の駐留を国民は納得するのかという問題
  が残る」
「現在のイラクの統治評議会は、イラク国民を代表しているとは考えられておら
  ず、逆に米国が恣意で押しつけたと考えられている傾向が強い」


  <第4章>イラクの戦後復興(畑中氏)

・96年に104億ドルだったGDPが、2000年には318億ドル
・オイル・フォー・フードにより、逆に国内農業は壊滅的打撃を受ける
  加耕地の内、利用されているのは半分以下
・イラク復興会議:復興には、10年の期間と900億ドルの資金が必要
・石油民営化に抵抗が強い理由は、イラク石油省のテクノクラート達が石油生産
  量を日量230万バレルまで回復させた実績が大きくものをいっているため
・予想外に大きい油

「イラク戦争と自衛隊派遣」森本敏編①

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 08:11 投稿番号: [123 / 5091]
  「イラク戦争と自衛隊派遣」森本敏編(東洋経済)2100円

  森本敏氏を含め六名の共著です。
  森本氏は防衛大→防衛庁→外務省の方なんですが、私のとっては「朝までテレ
  ビ」でお馴染みの方という印象を持っています。

  アメリカの軍事的突出ということの内実を学びました。
・イラク戦争前から飛行禁止区域を設け、かつ空爆も行い、「航空優勢」の下、
  偵察機からの情報や50を超える偵察衛星からの「情報を戦力化」し、ネット
  ワークセントリック(指揮・通信・統制・コンピュータ・情報・偵察情報(C
  4ISR)の共有化による戦場認識能力の向上に基づきタイム・センシティブ
  ・ターゲティング(TST):航空攻撃指示方式(約数十分単位にまで短縮)
  これに精密誘導兵器や特殊作戦部隊を組み合わせていること。
・今後の米軍事戦略の方向性:前方展開兵力を縮小し、拠点=ハブと、ハブから
  必要な時に、必要な部隊を即座に派遣する=スポークスという「ハブ&スポー
  クス戦略」
・ハイテク技術の活用による軍事変革:これこそが「軍事革命」
  これらのことを学んだことが私にとっての最大の収穫でした。


  <はじめに>(森本氏)

「イラク戦争の大義が、(略)その理由・目的がイラクの大量破壊兵器を武装
  解除することにあったとすれば、この点に関するイラク戦争の大義はないと
  いうことになる」
「本書は、イラク戦争の真の理由は大量破壊兵器問題だけにあったのではない
  という立場」
  イラク戦争が途中から対テロ戦争へと変化した。
「フセイン側がイラク戦争の開始以前から、バグダッド陥落後の戦闘に重点を
  置いて備えていたとしか考えられない」
「米国の一極主義、単独行動主義だけでは、困難な国際問題を解決し、国際秩序
  を取り戻すことが不可能」


  <第1章>イラク戦争の背景(森本氏)

「新しい戦争の始まりを示す代表的な冷戦後型戦争」
「途上国から見ても米国の新保守主義は覇権主義的傾向が強いことから、米国の
  一極制は他の主要国や途上国から常に挑戦や反発を受ける」
「グローバル化の陰の部分が国際社会の安定と繁栄を損ないつつある」
「国家間の関係は『力の均衡』から『力の協調』へと変化し、軍事力よりもソフ
  トパワーが重視されるようになっているが、同時に、『伝統的な同盟関係』
  よりも、『価値観に基づく国家関係』が国際社会の主流を占めるようになり
  つつある」
「日米同盟の再定義がナイ・イニシアティブの結論という形で明らかに」
  この辺りの叙述は、パウエル国務長官の「パートナーシップ戦略」
(「論座」2月号収録)を彷彿とさせる叙述になっていると感じました。

「一般論として、テロ事件を宗教上の対立という観点からとらえることは誤り
  である」


  <第2章>米国のイラク戦争とイラク情勢(森本氏と大野氏)

  イラク戦争に至る過程を時系列に沿って整理してくれていますので、きちんと
把握していなかった私としては、きちんと整除されていて復習になりました。

「イラクが化学剤を貯蔵していた可能性はあるが、化学兵器という形でいつでも
  使用可能な状況にはなかった」
「イラク戦争の国際法上の根拠は確定されたものがない」

  湾岸戦争後の経済制裁によって、高福祉産油国という「パトロン関係」の維持
が困難となり、フセインの独裁構造が崩壊し、中間層が消滅。
  他方、地方部族は農業を経済基盤としていたため、制裁下の食糧不足に乗じて
、勢力を強める。フセインは部族に一定の地方自治を認めざるをえなかった。
96年からの「オイル・フォー・フード」がフセインを生き返らせた。
食糧配給システムを握ったフセインは、歴代のイラク政権が成し遂げることが
できなかった地方部族勢力を封じ込める。
また、人道物資の輸入先決定権を得たフセインは海外政府や企業とも政治的裏
取引を再開。私腹も肥やす。
こうして、フセイン政権は国内で唯一の『持てる者』になった。


  <第3章>イラク戦争の作戦過程(森本氏と大野氏)

  湾岸戦争後の「奇妙な秩序は、域内各国にとって好ましいものであったかも
しれないが、制裁と封じ込めの『つけ』は常にイラク国民が負っていた」
「フセイン政権の崩壊自体は、多くの国民に歓迎されるべきものであったかもし
  れないが、、極めて強力な支配体制を築いていたフセイン政権の代替選択肢が
  示されないままに戦争に突入することは、将来への不安を拡大させたに違いな
  い」

  これまでの20世紀型の戦争とは異なった新しい戦争のプロトタイプ

「イラク戦争と自衛隊派遣」森本敏編

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 08:11 投稿番号: [123 / 5091]
  「イラク戦争と自衛隊派遣」森本敏編(東洋経済)2100円

  森本敏氏を含め六名の共著です。
  森本氏は防衛大→防衛庁→外務省の方なんですが、私のとっては「朝までテレ
  ビ」でお馴染みの方という印象を持っています。

  アメリカの軍事的突出ということの内実を学びました。
・イラク戦争前から飛行禁止区域を設け、かつ空爆も行い、「航空優勢」の下、
  偵察機からの情報や50を超える偵察衛星からの「情報を戦力化」し、ネット
  ワークセントリック(指揮・通信・統制・コンピュータ・情報・偵察情報(C
  4ISR)の共有化による戦場認識能力の向上に基づきタイム・センシティブ
  ・ターゲティング(TST):航空攻撃指示方式(約数十分単位にまで短縮)
  これに精密誘導兵器や特殊作戦部隊を組み合わせていること。
・今後の米軍事戦略の方向性:前方展開兵力を縮小し、拠点=ハブと、ハブから
  必要な時に、必要な部隊を即座に派遣する=スポークスという「ハブ&スポー
  クス戦略」
・ハイテク技術の活用による軍事変革:これこそが「軍事革命」
  これらのことを学んだことが私にとっての最大の収穫でした。


  <はじめに>(森本氏)

「イラク戦争の大義が、(略)その理由・目的がイラクの大量破壊兵器を武装
  解除することにあったとすれば、この点に関するイラク戦争の大義はないと
  いうことになる」
「本書は、イラク戦争の真の理由は大量破壊兵器問題だけにあったのではない
  という立場」
  イラク戦争が途中から対テロ戦争へと変化した。
「フセイン側がイラク戦争の開始以前から、バグダッド陥落後の戦闘に重点を
  置いて備えていたとしか考えられない」
「米国の一極主義、単独行動主義だけでは、困難な国際問題を解決し、国際秩序
  を取り戻すことが不可能」


  <第1章>イラク戦争の背景(森本氏)

「新しい戦争の始まりを示す代表的な冷戦後型戦争」
「途上国から見ても米国の新保守主義は覇権主義的傾向が強いことから、米国の
  一極制は他の主要国や途上国から常に挑戦や反発を受ける」
「グローバル化の陰の部分が国際社会の安定と繁栄を損ないつつある」
「国家間の関係は『力の均衡』から『力の協調』へと変化し、軍事力よりもソフ
  トパワーが重視されるようになっているが、同時に、『伝統的な同盟関係』
  よりも、『価値観に基づく国家関係』が国際社会の主流を占めるようになり
  つつある」
「日米同盟の再定義がナイ・イニシアティブの結論という形で明らかに」
  この辺りの叙述は、パウエル国務長官の「パートナーシップ戦略」
(「論座」2月号収録)を彷彿とさせる叙述になっていると感じました。

「一般論として、テロ事件を宗教上の対立という観点からとらえることは誤り
  である」


  <第2章>米国のイラク戦争とイラク情勢(森本氏と大野氏)

  イラク戦争に至る過程を時系列に沿って整理してくれていますので、きちんと
把握していなかった私としては、きちんと整除されていて復習になりました。

「イラクが化学剤を貯蔵していた可能性はあるが、化学兵器という形でいつでも
  使用可能な状況にはなかった」
「イラク戦争の国際法上の根拠は確定されたものがない」

  湾岸戦争後の経済制裁によって、高福祉産油国という「パトロン関係」の維持
が困難となり、フセインの独裁構造が崩壊し、中間層が消滅。
  他方、地方部族は農業を経済基盤としていたため、制裁下の食糧不足に乗じて
、勢力を強める。フセインは部族に一定の地方自治を認めざるをえなかった。
96年からの「オイル・フォー・フード」がフセインを生き返らせた。
食糧配給システムを握ったフセインは、歴代のイラク政権が成し遂げることが
できなかった地方部族勢力を封じ込める。
また、人道物資の輸入先決定権を得たフセインは海外政府や企業とも政治的裏
取引を再開。私腹も肥やす。
こうして、フセイン政権は国内で唯一の『持てる者』になった。


  <第3章>イラク戦争の作戦過程(森本氏と大野氏)

  湾岸戦争後の「奇妙な秩序は、域内各国にとって好ましいものであったかも
しれないが、制裁と封じ込めの『つけ』は常にイラク国民が負っていた」
「フセイン政権の崩壊自体は、多くの国民に歓迎されるべきものであったかもし
  れないが、、極めて強力な支配体制を築いていたフセイン政権の代替選択肢が
  示されないままに戦争に突入することは、将来への不安を拡大させたに違いな
  い」

  これまでの20世紀型の戦争とは異なった新しい戦争のプロトタイプ

「ザ・グレートゲーム:石油争奪戦の内幕」2

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 08:10 投稿番号: [122 / 5091]
  <第五章>サウジアラビア王室の崩壊
・9.11テロ実行犯19人のうち12人がサウジ南部の貧困地帯出身者
・イエメンとの国境は、麻薬、大麻、武器取引、不法入国のサウジの主権の及ば
  ない無法地帯
・武器購入、人口増加、石油価格下落、外国人労働者の本国送金による外貨準備
  の目減りにより赤字財政へ転落
・国民の半分は20歳以下
・民間企業の労働力の9割が外国人(家族を含めると総人口の40%)
・アラブ世界では「イスラエル・パレスチナは”休戦中”」とする認識が普遍的


  <第六章>天然ガスを握る資源国イラン
・イランンの石油埋蔵量は世界第5位
・天然ガスは世界埋蔵量の4分の1
・イラク戦争中、米軍の誤射した領内へのロケット弾着弾事件(3発)にも、
  米側に丁重に調査を要請しただけ
・イラク・アフガニスタン・タジキスタンに米軍が駐留、周囲を米軍に取り囲ま
  れている
・2001年のイラン大統領選挙では改革派のハタミ大統領を支持する若者は87%
・ホメイニ後の世代が年月とともにイラン政治の基本性格を徐々に変えていく
・原発はロシアの技術支援を受けている


  <第七章>トルコ、北朝鮮・・・伏兵群の動向
・トルコ国営石油会社はキルクーク付近のフマラ油田の鉱区開発権を2001年12月
  に取得
・トルコのインフレ率30%、2002年の国家予算の7割が債務返済(多くは利息
  払い)
・クルド:イラクのKDPとPUKは6年間も武力対立
・北朝鮮のミサイルが「米国西海岸まで到達するか」との問いに、「可能だろう
  」(CIA長官)
・日本海に対艦ミサイルを発射:イージス艦展開への牽制・威嚇
・シベリア石油に「北朝鮮ルート」が浮上。韓国の提案:核開発放棄の見返り、
  パイプライン通過料・パイプライン沿いにガス火力発電所の建設
・サハリンのガス採掘権はエクソンと日本の「サハリン石油ガス開発」が握って
  いる
・エジプト:兵力は中東随一だが、兵器は米国式なため、米国から武器弾薬の
  供給を受けなければならない
・イラク通貨ディナール:1981年と比べると8000倍のインフレ
・イラク戦争直前の石油価格高騰はベネズエラの政情不安が原因
  チャベス政権:マイナス7%成長、失業率30%
  チャベス大統領派の秘密警察の暗躍


  <エピローグ>
・フセイン政権下でイラクの440万人の若年就労人口の130万人が軍・警察
  ・秘密警察
・国連決議986
  オイル・フォー・フードの
  ・72%:人道的プログラムに
  ・25%:施設修繕
  ・2.2%:国連事務所維持費
  ・0.8%:武器査察費用

・石油危機の体験に踏まえ、IEA(国際エネルギー機関)には、国際市場の価
格高騰を抑制する目的などで加盟国が協調して備蓄原油を放出する「CERM」
(協調的緊急時対応措置)がある

「ザ・グレートゲーム:石油争奪戦の内幕」2

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 08:10 投稿番号: [122 / 5091]
  <第五章>サウジアラビア王室の崩壊
・9.11テロ実行犯19人のうち12人がサウジ南部の貧困地帯出身者
・イエメンとの国境は、麻薬、大麻、武器取引、不法入国のサウジの主権の及ば
  ない無法地帯
・武器購入、人口増加、石油価格下落、外国人労働者の本国送金による外貨準備
  の目減りにより赤字財政へ転落
・国民の半分は20歳以下
・民間企業の労働力の9割が外国人(家族を含めると総人口の40%)
・アラブ世界では「イスラエル・パレスチナは”休戦中”」とする認識が普遍的


  <第六章>天然ガスを握る資源国イラン
・イランンの石油埋蔵量は世界第5位
・天然ガスは世界埋蔵量の4分の1
・イラク戦争中、米軍の誤射した領内へのロケット弾着弾事件(3発)にも、
  米側に丁重に調査を要請しただけ
・イラク・アフガニスタン・タジキスタンに米軍が駐留、周囲を米軍に取り囲ま
  れている
・2001年のイラン大統領選挙では改革派のハタミ大統領を支持する若者は87%
・ホメイニ後の世代が年月とともにイラン政治の基本性格を徐々に変えていく
・原発はロシアの技術支援を受けている


  <第七章>トルコ、北朝鮮・・・伏兵群の動向
・トルコ国営石油会社はキルクーク付近のフマラ油田の鉱区開発権を2001年12月
  に取得
・トルコのインフレ率30%、2002年の国家予算の7割が債務返済(多くは利息
  払い)
・クルド:イラクのKDPとPUKは6年間も武力対立
・北朝鮮のミサイルが「米国西海岸まで到達するか」との問いに、「可能だろう
  」(CIA長官)
・日本海に対艦ミサイルを発射:イージス艦展開への牽制・威嚇
・シベリア石油に「北朝鮮ルート」が浮上。韓国の提案:核開発放棄の見返り、
  パイプライン通過料・パイプライン沿いにガス火力発電所の建設
・サハリンのガス採掘権はエクソンと日本の「サハリン石油ガス開発」が握って
  いる
・エジプト:兵力は中東随一だが、兵器は米国式なため、米国から武器弾薬の
  供給を受けなければならない
・イラク通貨ディナール:1981年と比べると8000倍のインフレ
・イラク戦争直前の石油価格高騰はベネズエラの政情不安が原因
  チャベス政権:マイナス7%成長、失業率30%
  チャベス大統領派の秘密警察の暗躍


  <エピローグ>
・フセイン政権下でイラクの440万人の若年就労人口の130万人が軍・警br>   ・秘密警察
・国連決議986
  オイル・フォー・フードの
  ・72%:人道的プログラムに
  ・25%:施設修繕
  ・2.2%:国連事務所維持費
  ・0.8%:武器査察費用

・石油危機の体験に踏まえ、IEA(国際エネルギー機関)には、国際市場の価
格高騰を抑制する目的などで加盟国が協調して備蓄原油を放出する「CERM」
(協調的緊急時対応措置)がある

「ザ・グレートゲーム:石油争奪戦の内幕」1

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 08:09 投稿番号: [121 / 5091]
「ザ・グレート・ゲーム:石油争奪戦の内幕」
  宮崎正弘(小学館文庫)476円+税

  <プロローグ>
「日本はともすれば「産油国」に関心を抱いても、石油を運搬するパイプライン
  が通る国を度外視している」
「欧米では『パイプラインの政治学』という言葉までが囁かれている」


  <序章>開戦前夜

<イラクの石油輸出量の><武器輸入の><貿易額>
・仏:22.5%          13%          60社   15億ドル
・独:            80企業が部品を輸出   101社   3.5億ドル
・露:5.8%
・中:5.8%           18%

  <武器の内容>
・独:部品、トラック
・露:夜間暗視ゴーグル、対戦車ミサイル・コルネット、GPSジャミング装置
・中:シルクワームミサイル、スカッド・ミサイル、対戦車砲、一部の禁止品目
    は北朝鮮を代理経由して輸出
    国連の承認を得て探査衛星を売却、光ファイバー通信網も

・埋蔵確認鉱区は       :   74
・実際に生産しているのは:   15
・試掘スポットは        :125


  <第一章>グレート・オイル・ゲーム
バクーからの石油パイプラインがチェチェンを通過していたため、カザフスタン
のテンギス油田から1580キロの新パイプラインを完成。(この間、チェチェ
ンへ軍事攻撃を仕掛けたが、最近は石油との関係が薄まったので手抜きの戦争を
している)
  このパイプラインへは、シェブロン、エクソン、ロシア、カザフスタンが出資
  「カスピ海パイプライン・コンソーシアム」
  石油利権の多くは石油メジャーと組んだプーチン主流派が寡占

「上海シックス」(上海協力機構)反テロ情報軍事協議会
(中国、、ロシア、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、タジキスタン)


  <第二章>米国の中央アジア・中東支配


  <第三章>ロシア石油帝国の野望
・ロシアとサウジが密かに石油価格協定を結べば新オペック誕生になる
・ロシアにとって外国へ輸出できる品物は武器と石油しかない
・ブルーストリーム:ロシア南部から黒海海底を縦断しトルコの首都アンカラに
  至る天然ガスパイプライン。全長1200キロ。黒海の深さ約2100メート
  ルの海底にも施設。2001年12月開通
・武器輸出の軍部マフィアは顧客の減少とともに衰退し、今や石油マフィアが
  牛耳る
・「ロシアはイラクの石油という実践的目標以外に関心はない」(元第一副首相
・イラク戦争後に石油価格の劇的な値下がりが起これば、ロシア経済が停滞に陥
  る懼れがある
・ロシアにとって中国は武器を買ってくれる大切な顧客
・「中国の新疆ウイグル自治区とロシアのチェチェン共和国の分離・独立派勢力
  は国際的なテロ勢力の一部分である」(中露共通認識)
・中央アジアからの石油・ガスはロシア領内を経由しないと西側への輸出は不可
  能
・「テロ事件以降、石油戦争で一方的な勝利を獲得したのはロシアではないか」
・プーチンはロシア闇経済を権力側にもぎ取り、利権を復活
・サンクトペテルブルクの港湾施設を西側並みに機能強化を果たす
・プーチンの功績を認めた最大の政敵プリマコフと最大企業ガスプロムがプーチ
  ン同盟に加わってきた。(「ロシア工業企業家連合」)
・ロシア経済は冷戦の最中からドル本位制。現在はますます米ドルが万能の神


  <第四章>石油大国・チャイナ
・中国は1994年から石油輸入国に
・石油備蓄がない(2005年には完成予定)
・中国の石油消費は現在世界第3位
・日本は折角の戦略的石油備蓄を国際協調の名の下に中国にむしり取られる危険
  性がある
・秘密裏にサウジ・イラン・イラク・パキスタンに武器を供与し、北朝鮮を通じ
  ても紛争国に代理輸出させた
・中東との原油取引は武器との交換(例えばサウジへ射程1800キロのCSS
  2ミサイルなど)を通じて急激に拡大
・アフリカには53カ国に経済援助、特に産油国重視の経済援助外交
・イラク、カスピ海、シベリアにも鉱区を確保
・メジャーから利権を次々に買い取る
・インドネシア、オーストラリアの天然ガス鉱区とも契約
・中国最大の海底油田蓬莱油田が2003年末から稼動開始
・この5年間で新たに確認された油田・天然ガスは殆ど全て新疆ウイグル自治区

「石油地政学:中東とアメリカ」畑中美樹③

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 08:06 投稿番号: [120 / 5091]
  <第十章>高まる中東諸国の日本への期待
  日本では高齢化が問題だが、湾岸では反対に若齢化が進んでいる。
  湾岸産油国では自国民に占める19歳までの比率が50〜60%に、29歳ま
での比率が70%前後へと高まっており、これが10年後にはさらに激しく進行
する見通しである

  在ロンドン反イラク政府組織の高官達は、
「我々は仏独等の反戦の姿勢については、これら国家がイラク国民に解放をもた
  らす別の選択肢を提示しているわけではないから大変不満を覚えている」
「フセイン政権下で締結、交渉された開発契約は、イラク国家やイラク国民のた
  めになるとの経済的観点からなされたものではない。それらは、主にどの国家
  が国連経済制裁の解除に尽力してくれるかという政治的判断によって決められ
  たものである」

・湾岸諸国へ経済進出する中国

「石油地政学:中東とアメリカ」畑中美樹②

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 08:05 投稿番号: [119 / 5091]
  <第六章>改革の要求に揺れるサウジ内政
  2003年1月アブドゥラ皇太子にサウジ知識人グループが改革案を提示
・権力の分散
・国民の直接選挙で選ばれた議員で構成する諮問評議会が監査役として機能
・独立した司法制度
・表現の自由
・基本的人権の尊重
・女性の地位の向上・女性の権利の保障
「宗教界のお墨付きを統治の正当性の拠り所とするサウド家は、進歩派の求める
  改革と保守派の訴えるイスラムの徹底の間で揺れ動いてきたのが実情」
  したがって、改革は、「様子を見ながらの漸次的な動きとせざるを得ない」
  地方議会選挙の実施についても議論(一年以内実施の閣議決定)

・国民がイスラム的な生活を行っているか監視するために、平素は大手を振って
  市内を巡視している宗教警察(正しくは「完全懲悪委員会」)

・リヤド爆弾テロ以降は、アルカイダを徹底捜索
・イスラム原理主義思想を説く宗教指導者数百人を解雇
・アルカイダの共鳴者、支持者は、「サウジ国内での支持は強い。政府の上層部
  にはいないが、治安組織、特に内務省の中間レベル、下層レベルでは根強い支
  持がある」
・サウド家の王子・王女は合計2.2万人


  <第七章>悪循環の続くイスラエル・パレスチナ
・ブッシュ政権は従来の政策を転換し、パレスチナ自治政府に対して初めて直接
  援助を行う方針を打ち出している
・イスラエルは2000年を転換点としてマイナス成長へ
・イスラエル企業もイラク戦後復興事業への参入を希望(水濾過装置は既に販売
・イスラエルのトルコ・インドへの接近


  <第八章>守勢に立たされる中東諸国
・イラン国内での体制批判
・経済大国を目指すエジプト
・湾岸小国の民主化の試み
  バハレーン、オマーン、カタール、クウェートでの民主的選挙


  <第九章>祖国を憂える在外イラク人達
  筆者のイラク人ビジネスマンの友人は、
「イラクはすべてが変わった。この35年で初めて自由が訪れ、人々は何でも
  話せるようになり、生活もよくなろうとしている」
「しかし、同時に、今日のイラクは歴史上、初めて誰も支配していない国家とな
  った」
「これまでのイラクは、独裁者に次ぐ独裁者の国家であった」
「だが馬鹿なことに、やっと独裁から解放されたと思ったら占領が始まった」
  イラクを解放してくれた連合国に感謝はしつつも、他方で略奪や破壊活動とい
  う事態を招いた責任も厳しく問うている。
「最新の軍事技術を持ち効率的な米軍が毎月約40億ドルも支出してもなぜ治安
  を保てないのか理解できない」
「世界唯一の超大国がそんなこともできないとは想像だにしなかった」
「略奪や破壊行為の発生はCPAの責任だ」
「アメリカの戦争計画は素晴らしかったが、平和計画はなきに等しい」
「略奪されたイラクの銅線が近隣諸国から輸出されている」
「今ではイラク国民の中には、アメリカは意図的にイラクの治安を悪いままに
  しているのではないかとの見方が台頭している」
・自爆テロの続発という点ではイスラエルを
・外国テロリストの関与の可能性を示唆する点ではアフガニスタンを
・民族・宗教対立の兆しが窺える点ではレバノンを想起させずにはおかない

  イラク石油販売公社前総裁のラムジ氏は、
・OPECは世界の石油需要の増加メリットを享受していない
・30%ものユーロ高でOPECの手取りもその分目減りしている

  イラク復興開発委員会委員は、
「ネオコンを批判するよりも、何もできなかった非ネオコンの不甲斐なさを責め
  るべきであろう」
「国際社会の中には国連を『神聖な切り札』『魔法のカード』と考えている人達
  がいるが、それは正しくない」
「自分は暗殺される前のデメロ国連特別代表と話し合ったが、同氏は『自分は
  イラクで国連がいかに嫌われているか知っている』と述べていた」
「イラク社会は部族、聖職者、バース党でできいたのであるから、これらを否定
  しては安定は望めない」

  英国人中東専門家は、
「イラクの歴史上シーア派が協力した政権はなかった」
「トルコ軍のイラクへの派遣については、トルコ軍の内部でも賛成派と反対派の
  対立がある」

  在英のイラク人石油専門家は、
「イラク国内のテクノクラート達はほぼ民営化案に反対している。ナショナリズ
  ムと自分達の技術・ノウハウ等への自負があるからである」

「石油地政学:中東とアメリカ」畑中美樹①

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 07:53 投稿番号: [118 / 5091]
「石油地政学:中東とアメリカ」畑中美樹(中公新書ラクレ)760円+税

  <プロローグ>
「イラク戦争で唯一無傷で残ったのは石油省や関連国営石油会社で、しかも
  有能なテクノクラートや専門家、技術者も無事であった」


  <第一章>「中東の変革」を目指すブッシュ政権
「アラブ連盟に加盟している22カ国には、一カ国たりとも民主主義はない」
(ブッシュ政権高官)

・1000万人のアラブの子供達が学校に通っていない
・6500万人もの親の世代は読み書きができない
・コンピューターを利用できるのは人口のわずか1%
・インターネットにアクセスできるのはその半数
・アラブ世界の女性の半分以上が読み書きができない
  (パウエル国務長官)

・ネオコン派とユダヤ研究所とキリスト教右派の連合
・対テロ戦争とは、
  ・政権の目的はアメリカの安全保障と国益に対する脅威の除去
  ・ネオコン派にとっての目的は中東政治の変革に正当性と手段を与えること
・ネオコン派とは
  ・イスラエルが中東で唯一の民主国家
  ・単独行動主義
  ・潜在的脅威国の政権交代を促進すべき
・ネオコン派の目標
  1.戦術的目標としてのイラク
  2.戦略的目標としてのサウジ
  3.エジプト
  第一段階:フセイン政権の打倒とイラクの民主化
  第二段階:サウジの王政改革とヨルダンのパレスチナ化
  第三段階:シリア、エジプトの民主化
  第四段階:イランに対する圧力強化
「ブッシュ政権による民主化要求がこれまでと異なるのは、中東の親米政権まで
  もがその対象とされていること」

「全アラブ諸国のGDPを合計してもスペイン一国よりも小さい」
「今後十年をめどにアメリカ・中東自由貿易圏を創設」
(ブッシュ大統領)

・1999年ウィーンでのOPEC総会
  イランとサウジの歴史的和解、その長期的政治的価値
  更にはタカ派のベネズエラも抱き込み、
「サウジ・イラン・ベネズエラ枢軸の誕生」

アメリカは「ロシアをOPECから価格決定力を奪取する協力国及び中東不安定
時の石油供給のヘッジ先と見なし始めている」  
アメリカはカスピ海3国にも期待:「ある程度中東に代わる供給源になり得る
ことに加えて、対ロシア・カードとしても活用できるから」
「カスピ海は『第二の中東』ではなく『第二の北海』と位置付けられている」
「北海の石油資源が1980年代後半から90年代を通してOPECへの対抗力
  として果たした役割を考えれば、カスピ海周辺地域は相応の重要性を持って
  いる」


  <第二章>アメリカを悩ますイラクの抵抗運動
「イラク治安組織には約10万人が属していたが、このうち2000人が無収入
  で、しかも免責される見込みもないことから絶好の(テロ組織の)勧誘の対象
  となっている」(ニューヨーク・タイムズ紙)


  <第三章>難航するイラクの復興事業
イラクの将来のエネルギー収入を担保とする融資は、ソ連崩壊後に策定された
ものを雛形としている。
  しかし、対イラク石油担保融資については、「正当性を持つ政府の存在が必要
。国連安保理の決議はアメリカに対して、イラク国民がそのような融資を受ける
との権限を与えていない」
「貧しいイラクの国民が、ウォール・ストリートの金融機関やアメリカの大手建
  設会社の株価を上昇させるために数十億ドルの債務を課せられるという構想に
  は怒りを感じる」
「1918年の第一次大戦終了後のそうした取り扱いが結局アドルフ・ヒットラ
  ーを生んだ」
世界銀行も、そのような融資はイラク人が主権を持つ政府の設立後にすべきとの
立場をとっている。

  イラクの復興に要する資金は900〜1000億ドル
今の所、イラク復興に振り向けることのできる資金は、
・17億ドル:アメリカが経済制裁で凍結(2億ドルは既に引き出し済み)
・11億ドル:その他の諸国が凍結した資産
・10億ドル:イラク前政権が秘匿
・10億ドル:オイルフォーフードの国連保有
・12億ドル:イラク資産凍結の再呼びかけで判明
・24億ドル:米議会が国防総省の追加予算として承認


  <第四章>イラク石油産業の行方
石油産業の民営化については、三つの構想を議論している段階
・アラスカ型(ロイヤリティの50%を市民に還付する方式)
・ノルウェー型(確認埋蔵量の20%相当を民営化)
・ロシア型(完全な民営化)


  <第五章>対米関係を見直すサウジアラビア
  ブッシュ政権の
・中東依存度の低下を目指したエネルギー政策
・民主化を指向した中東政策

・9.11遺族が

「石油地政学:中東とアメリカ」畑中美樹

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 07:53 投稿番号: [118 / 5091]
「石油地政学:中東とアメリカ」畑中美樹(中公新書ラクレ)760円+税

  <プロローグ>
「イラク戦争で唯一無傷で残ったのは石油省や関連国営石油会社で、しかも
  有能なテクノクラートや専門家、技術者も無事であった」


  <第一章>「中東の変革」を目指すブッシュ政権
「アラブ連盟に加盟している22カ国には、一カ国たりとも民主主義はない」
(ブッシュ政権高官)

・1000万人のアラブの子供達が学校に通っていない
・6500万人もの親の世代は読み書きができない
・コンピューターを利用できるのは人口のわずか1%
・インターネットにアクセスできるのはその半数
・アラブ世界の女性の半分以上が読み書きができない
  (パウエル国務長官)

・ネオコン派とユダヤ研究所とキリスト教右派の連合
・対テロ戦争とは、
  ・政権の目的はアメリカの安全保障と国益に対する脅威の除去
  ・ネオコン派にとっての目的は中東政治の変革に正当性と手段を与えること
・ネオコン派とは
  ・イスラエルが中東で唯一の民主国家
  ・単独行動主義
  ・潜在的脅威国の政権交代を促進すべき
・ネオコン派の目標
  1.戦術的目標としてのイラク
  2.戦略的目標としてのサウジ
  3.エジプト
  第一段階:フセイン政権の打倒とイラクの民主化
  第二段階:サウジの王政改革とヨルダンのパレスチナ化
  第三段階:シリア、エジプトの民主化
  第四段階:イランに対する圧力強化
「ブッシュ政権による民主化要求がこれまでと異なるのは、中東の親米政権まで
  もがその対象とされていること」

「全アラブ諸国のGDPを合計してもスペイン一国よりも小さい」
「今後十年をめどにアメリカ・中東自由貿易圏を創設」
(ブッシュ大統領)

・1999年ウィーンでのOPEC総会
  イランとサウジの歴史的和解、その長期的政治的価値
  更にはタカ派のベネズエラも抱き込み、
「サウジ・イラン・ベネズエラ枢軸の誕生」

アメリカは「ロシアをOPECから価格決定力を奪取する協力国及び中東不安定
時の石油供給のヘッジ先と見なし始めている」  
アメリカはカスピ海3国にも期待:「ある程度中東に代わる供給源になり得る
ことに加えて、対ロシア・カードとしても活用できるから」
「カスピ海は『第二の中東』ではなく『第二の北海』と位置付けられている」
「北海の石油資源が1980年代後半から90年代を通してOPECへの対抗力
  として果たした役割を考えれば、カスピ海周辺地域は相応の重要性を持って
  いる」


  <第二章>アメリカを悩ますイラクの抵抗運動
「イラク治安組織には約10万人が属していたが、このうち2000人が無収入
  で、しかも免責される見込みもないことから絶好の(テロ組織の)勧誘の対象
  となっている」(ニューヨーク・タイムズ紙)


  <第三章>難航するイラクの復興事業
イラクの将来のエネルギー収入を担保とする融資は、ソ連崩壊後に策定された
ものを雛形としている。
  しかし、対イラク石油担保融資については、「正当性を持つ政府の存在が必要
。国連安保理の決議はアメリカに対して、イラク国民がそのような融資を受ける
との権限を与えていない」
「貧しいイラクの国民が、ウォール・ストリートの金融機関やアメリカの大手建
  設会社の株価を上昇させるために数十億ドルの債務を課せられるという構想に
  は怒りを感じる」
「1918年の第一次大戦終了後のそうした取り扱いが結局アドルフ・ヒットラ
  ーを生んだ」
世界銀行も、そのような融資はイラク人が主権を持つ政府の設立後にすべきとの
立場をとっている。

  イラクの復興に要する資金は900〜1000億ドル
今の所、イラク復興に振り向けることのできる資金は、
・17億ドル:アメリカが経済制裁で凍結(2億ドルは既に引き出し済み)
・11億ドル:その他の諸国が凍結した資産
・10億ドル:イラク前政権が秘匿
・10億ドル:オイルフォーフードの国連保有
・12億ドル:イラク資産凍結の再呼びかけで判明
・24億ドル:米議会が国防総省の追加予算として承認


  <第四章>イラク石油産業の行方
石油産業の民営化については、三つの構想を議論している段階
・アラスカ型(ロイヤリティの50%を市民に還付する方式)
・ノルウェー型(確認埋蔵量の20%相当を民営化)
・ロシア型(完全な民営化)


  <第五章>対米関係を見直すサウジアラビア
  ブッシュ政権の
・中東依存度の低下を目指したエネルギー政策
・民主化を指向した中東政策

・9.11遺族が

「世界を動かす石油戦略」(ちくま新書)②

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 07:51 投稿番号: [117 / 5091]
  <第三章>さらに不安定化する中東
・サウジの将来に不安要素があるので投資意欲の減退した国際石油会社
・9.11以降のパレスチナ情勢等に関する国民感情を背景に欧米に歩み寄り難い
  サウジ。
  この両者の妥協が困難になりつつある
・中東原油のマージナル化:中東での油田開発投資停滞
  国際石油会社は石油天然ガスの宝庫たるイラン・サウジに強烈な投資意欲が
  数年前には確かにあった。しかし、現在はイラクで親米政権に変われば、こち
  らの方が美味しそうな石油利権が取れるだろうから、ここで無理をしてイラン
  やサウジに投資する必要はないと考えている。
・サウジ国内状況:人口増加が著しく、失業率が上がっている
・9.11被害者からサウジ王族への損害賠償訴訟
・今後、ロシア、カスピ海、西アフリカでの石油増産が予想されるが、そうなる
  と、サウジにとっては、石油価格は下落するか、減産するか、いずれにしても
  石油収入減少。国家体制は脆弱・不安定化。

・日本では、テロは貧困が招くという議論が多いが、そういう要因もあるが、
  むしろ、実際のテロ実行犯をよくみると、ほとんどが裕福な家庭の出身であり
  、最高度の教育を受けた者の方が多い。裕福で教育があり、欧米の実態をよく
  知っているがために、テロ組織へと向かうとも言える。


  <第四章>大きな攪乱要因、中国
・世界第七位の大産油国中国、石油輸出国から輸入国へ
・国際石油市場における需要側の台風の目
・新疆ウイグル自治区のタリム油田が、予想より埋蔵量が少なかった。
  これが中国の長期的石油戦略の見直しへ
・新規油田開発:渤海
・米国に対する政治的フリーハンドを保つために、海軍力を増強して独自のシー
  レーン防衛を果たそうとしたり、排他的輸送ルートを確保しようとする可能性
・中東原油をミャンマーに陸揚げし、陸路パイプライン構想
・中国は石油備蓄を持たず、石油危機を経験していない

・その他の不安的要素
  ・カスピ海沿岸諸国:独裁政権で不安定
  ・西アフリカ産油国も不安定
  ・ベネズエラのチャベス政権は左翼民族主義で反米的
  石油供給地は政治的リスクの高い国へ重心が移っていく

「世界を動かす石油戦略」(ちくま新書)①

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 07:51 投稿番号: [116 / 5091]
「世界を動かす石油戦略」石井彰/藤和彦(ちくま新書)700円+税

  <はじめに>
・石油危機後中東の資源ナショナリズムの高揚で国有化され、石油メジャーの
  力は激減
・国際石油市場が出来上がっている。どこでも容易に調達できる。
・石油は流通性・流動性の高い商品である。
・「石油の供給は二国間ではなく、国際市場を介した多国間の観点から論ずる
  べき」というのが石油専門家の常識


  <第一章>石油をめぐる地政学とは何か
・OPECには最早価格決定力はなく、国際市場が決める
  しかし、国際市場の投機的な動きによる価格乱高下をいかに制御するか
  石油は最早「戦略物資」ではなく「市況商品」
・その背景には先進諸国の石油備蓄制度の法制化


  <第二章>なぜ米国は石油に政治介入するのか?
・米国の中東石油依存度は一割台
  (現在はカナダ・中南米・西アフリカ・ロシア・カスピ海地域等)
  しかし、石油国際市場が世界単一であるため、中東地域で一朝事あれば
  国際石油市場は大混乱になり、その限りで米国も損害を被る

「日本では、米国は自分の利益を追及するために勝手気ままに中東湾岸やカスピ
  海地域に政治的・軍事的コミットメントしているというような論調が根強いが
  、現実には米国は米国以外の石油消費国全体の利害を好むと好まざるとにかか
  わらず背負って、これらの地域にコミットしているのであって、米国の政策を
  批判する際には、この基本的な構造をしっかり認識した上でなされるべきであ
  ろう」

・油田の新規開発という自転車操業的性格(国際石油市場の本質理解のために)
  一本十億円程度の探査抗井を平均数十本掘削してはじめて商業化
  「賭博的破産の法則」確率論的性格

・石油の輸出国と輸入国の組み合わせパターンは、短期間で大幅に変わりえる
  産油国が地理的にどこに位置していようが本質的な問題とはならない
  (73年の石油禁輸が実効力を持たなかったのはそのため)

・メジャーのシェアーは10%
・OPECのシェアーは40%弱
  現在のOPECは価格暴落を防ぐためのものにすぎない
・中東湾岸のシェアーは30%弱

  2002年10月時点では産油国は、
  1位   ロシア
  2位   サウジ
  3位   米国
  4位   イラン
  5位   メキシコ
  以下   ノルウェー、中国

・スポット取引が国際取引の四割を占める
・「市場の再配分機能」(ほぼ一物一価)
  危機時における市場機能による再配分・価格メカニズムによる不足地域への
  転売・穴埋め
・石油先物市場価格が世界の石油価格変動を先導している
・需給のバランスの変動で価格は変動
  (短期的な需給の価格弾力性が小さい)

・「米国による近年の世界石油戦略の主たる目的はあくまで、国際石油市場の
   正常な機能維持であった」
  (カスピ海地域での政治的介入はあったが)

・米国特有の国内事情
  ・国内ガソリン事情:日欧のガソリン価格は半分以上が税金、しかし車社会の
   米国では半値以下、したがって価格変動が大きくなる
   これは、”選挙の票”と密接に関連する重大関心事。
   事実99年から2000年の大統領選挙の争点にもなった

 
  <第二章>石油同盟と化す米ロ関係
・北海油田の黄昏
・ロシア産石油の復活
  ・石油採掘技術革新(極地・深海・水平抗井技術等)

  サウジの余剰生産能力は、国際石油市場の安定にとっては当面必要。しかし、
「ロシアによるサウジの全面代替は無理にしても、国際石油市場におけるサウジ
  のウェイトを下げることによって、中東湾岸産油国の一国が機能停止した際の
  国際石油市場の混乱を最小限化するための方策は可能であり、これにより、中
  東地域に対する政治的・軍事的な意味での政策、例えば対テロ戦争のフリーハ
  ンドをできうる限り可能にする環境づくりを現米政権が真剣に目指し始めた」

「世界を動かす石油戦略」(ちくま新書)

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 07:51 投稿番号: [116 / 5091]
「世界を動かす石油戦略」石井彰/藤和彦(ちくま新書)700円+税

  <はじめに>
・石油危機後中東の資源ナショナリズムの高揚で国有化され、石油メジャーの
  力は激減
・国際石油市場が出来上がっている。どこでも容易に調達できる。
・石油は流通性・流動性の高い商品である。
・「石油の供給は二国間ではなく、国際市場を介した多国間の観点から論ずる
  べき」というのが石油専門家の常識


  <第一章>石油をめぐる地政学とは何か
・OPECには最早価格決定力はなく、国際市場が決める
  しかし、国際市場の投機的な動きによる価格乱高下をいかに制御するか
  石油は最早「戦略物資」ではなく「市況商品」
・その背景には先進諸国の石油備蓄制度の法制化


  <第二章>なぜ米国は石油に政治介入するのか?
・米国の中東石油依存度は一割台
  (現在はカナダ・中南米・西アフリカ・ロシア・カスピ海地域等)
  しかし、石油国際市場が世界単一であるため、中東地域で一朝事あれば
  国際石油市場は大混乱になり、その限りで米国も損害を被る

「日本では、米国は自分の利益を追及するために勝手気ままに中東湾岸やカスピ
  海地域に政治的・軍事的コミットメントしているというような論調が根強いが
  、現実には米国は米国以外の石油消費国全体の利害を好むと好まざるとにかか
  わらず背負って、これらの地域にコミットしているのであって、米国の政策を
  批判する際には、この基本的な構造をしっかり認識した上でなされるべきであ
  ろう」

・油田の新規開発という自転車操業的性格(国際石油市場の本質理解のために)
  一本十億円程度の探査抗井を平均数十本掘削してはじめて商業化
  「賭博的破産の法則」確率論的性格

・石油の輸出国と輸入国の組み合わせパターンは、短期間で大幅に変わりえる
  産油国が地理的にどこに位置していようが本質的な問題とはならない
  (73年の石油禁輸が実効力を持たなかったのはそのため)

・メジャーのシェアーは10%
・OPECのシェアーは40%弱
  現在のOPECは価格暴落を防ぐためのものにすぎない
・中東湾岸のシェアーは30%弱

  2002年10月時点では産油国は、
  1位   ロシア
  2位   サウジ
  3位   米国
  4位   イラン
  5位   メキシコ
  以下   ノルウェー、中国

・スポット取引が国際取引の四割を占める
・「市場の再配分機能」(ほぼ一物一価)
  危機時における市場機能による再配分・価格メカニズムによる不足地域への
  転売・穴埋め
・石油先物市場価格が世界の石油価格変動を先導している
・需給のバランスの変動で価格は変動
  (短期的な需給の価格弾力性が小さい)

・「米国による近年の世界石油戦略の主たる目的はあくまで、国際石油市場の
   正常な機能維持であった」
  (カスピ海地域での政治的介入はあったが)

・米国特有の国内事情
  ・国内ガソリン事情:日欧のガソリン価格は半分以上が税金、しかし車社会の
   米国では半値以下、したがって価格変動が大きくなる
   これは、”選挙の票”と密接に関連する重大関心事。
   事実99年から2000年の大統領選挙の争点にもなった

 
  <第二章>石油同盟と化す米ロ関係
・北海油田の黄昏
・ロシア産石油の復活
  ・石油採掘技術革新(極地・深海・水平抗井技術等)

  サウジの余剰生産能力は、国際石油市場の安定にとっては当面必要。しかし、
「ロシアによるサウジの全面代替は無理にしても、国際石油市場におけるサウジ
  のウェイトを下げることによって、中東湾岸産油国の一国が機能停止した際の
  国際石油市場の混乱を最小限化するための方策は可能であり、これにより、中
  東地域に対する政治的・軍事的な意味での政策、例えば対テロ戦争のフリーハ
  ンドをできうる限り可能にする環境づくりを現米政権が真剣に目指し始めた」

「イラク戦争:日本の分け前」浜田和幸②

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 07:49 投稿番号: [115 / 5091]
・湾岸戦争後の経済制裁下での”オイル・フォー・フード”
  その石油の8割をアメリカの石油会社が買占め
  (イラクの石油は高品質で採掘コストは安い)
  (アメリカ国内の油断はあと10年で枯渇する)
  2000年11月フセインは「今後は石油代金のドルでの受け取りを拒否する。
  ユーロでしか受け取らない」と宣言。この時からアメリカの対イラク強硬姿勢
  が始まった。
  フセインは100億ドルをユーロに変える。
  その後ユーロ高となり、フセインは資産を17%膨らませる
  「フセインは賢明である」と他のアラブ諸国に広まる
  ・ヨルダン、リビアもユーロに切り替える
  ・(対米輸出国トップとなった中国も「貿易の決済は将来不安がつきまとう
    ドルではなく、ユーロで行いたい」)
  ・2002年4月OPECのヤラニ市場分析部長がスペインで、「ユーロ圏はOPECの
   総輸出量の45%以上を引き受けている。アメリカ以上に大事なお得意様だ」
  ・ユーロ加盟国も石油を買うのにドルを買う手数料に辟易

  OPECや中国、ロシアまでユーロにシフトしたら、ドルは大暴落
  このままでは、「ドル1極体制」から「ドル・ユーロ2極体制」へと移行して
  しまう

「今回の戦争の最大の目的は、石油を背景にした『ドル基軸通貨体制』の維持が
  本当の目的だったのである」
  だから、このイラク戦争を、「アメリカ対ヨーロッパの大西洋戦争」と呼ぶ

  戦後のドサクサ紛れに、「オイル・フォー・フード資金」を「イラク復興基金
  」に衣替え。本来イラク人に食糧・医療品を供給する資金が、アメリカ企業の
  復興関連ビジネスへの支払いに流用できるようになった
  2003年6月、イラク開発基金の口座がニューヨーク連邦準備銀行に開設
  イラク中央銀行に置くはずだった(国連安保理の経済制裁解除決議)


  <第五章>イラク復興ビジネスの実態
・自衛隊には水道インフラの復旧や汚染されたティグリス・ユーフラテス川の
  浄化技術がある
  米企業ベクテルも汚水浄化の仕事を受注しているが、浄化作業は全く進んで
  いない
・アメリカの<献金企業ランキング>と<受注企業ランキング>の対比
  献金額に応じて受注額が多くなっているのは、一目瞭然

・米兵の自殺者は20名(陸軍18名、海兵隊2名)
  内部調査によると、
  ・ストレスで精神安定剤を飲み過ぎて死亡
  ・帰国するための「自作自演の負傷」が致命傷に
  ・戦友にレイプされてショックで自殺した女性兵士
・2003年12月8日、精神異常と判断された兵士600名が送還

・民間戦争会社のスタッフ1万人以上がイラクに
  ・正規米兵の日給は5000円程度
  ・戦争のプロは日給10万円程度
   今年度の追加予算870億ドルの3分の1が彼らへの報酬


  <第六章>
・バグダッド高速道路、バグダッド国際空港は日本企業が造った
・湾岸戦争前、クウェートでも日本は、「この10年の大規模プロジェクトで
  50%以上のシェア」
  湾岸戦争前、1979年、日本企業の全海外での建設受注額の45%をイラクから
・イラク戦争で、建設機械のコマツ、川崎重工の株価が高騰
・住友商事とNECは携帯電話事業の通信施設を一部受注
・1980年には日本の総石油輸入量の7.5%はイラク原油
・米警察・FBIのパトカー車載パソコンで、パナソニックがかなりのシェア
・赤いサイレンは大阪の企業パトライトがほぼ独占


  <おわりに>
  ジョーク
  「冷戦で勝った国はどこか?」「日本だ」
  「湾岸戦争で負けた国はどこか?」「日本」
  「イラク戦争で負けた国はどこか?」「?」

「イラク戦争:日本の分け前」浜田和幸②

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 07:49 投稿番号: [115 / 5091]
・湾岸戦争後の経済制裁下での”オイル・フォー・フード”
  その石油の8割をアメリカの石油会社が買占め
  (イラクの石油は高品質で採掘コストは安い)
  (アメリカ国内の油断はあと10年で枯渇する)
  2000年11月フセインは「今後は石油代金のドルでの受け取りを拒否する。
  ユーロでしか受け取らない」と宣言。この時からアメリカの対イラク強硬姿勢
  が始まった。
  フセインは100億ドルをユーロに変える。
  その後ユーロ高となり、フセインは資産を17%膨らませる
  「フセインは賢明である」と他のアラブ諸国に広まる
  ・ヨルダン、リビアもユーロに切り替える
  ・(対米輸出国トップとなった中国も「貿易の決済は将来不安がつきまとう
    ドルではなく、ユーロで行いたい」)
  ・2002年4月OPECのヤラニ市場分析部長がスペインで、「ユーロ圏はOPECの
   総輸出量の45%以上を引き受けている。アメリカ以上に大事なお得意様だ」
  ・ユーロ加盟国も石油を買うのにドルを買う手数料に辟易

  OPECや中国、ロシアまでユーロにシフトしたら、ドルは大暴落
  このままでは、「ドル1極体制」から「ドル・ユーロ2極体制」へと移行して
  しまう

「今回の戦争の最大の目的は、石油を背景にした『ドル基軸通貨体制』の維持が
  本当の目的だったのである」
  だから、このイラク戦争を、「アメリカ対ヨーロッパの大西洋戦争」と呼ぶ

  戦後のドサクサ紛れに、「オイル・フォー・フード資金」を「イラク復興基金
  」に衣替え。本来イラク人に食糧・医療品を供給する資金が、アメリカ企業の
  復興関連ビジネスへの支払いに流用できるようになった
  2003年6月、イラク開発基金の口座がニューヨーク連邦準備銀行に開設
  イラク中央銀行に置くはずだった(国連安保理の経済制裁解除決議)


  <第五章>イラク復興ビジネスの実態
・自衛隊には水道インフラの復旧や汚染されたティグリス・ユーフラテス川の
  浄化技術がある
  米企業ベクテルも汚水浄化の仕事を受注しているが、浄化作業は全く進んで
  いない
・アメリカの<献金企業ランキング>と<受注企業ランキング>の対比
  献金額に応じて受注額が多くなっているのは、一目瞭然

・米兵の自殺者は20名(陸軍18名、海兵隊2名)
  内部調査によると、
  ・ストレスで精神安定剤を飲み過ぎて死亡
  ・帰国するための「自作自演の負傷」が致命傷に
  ・戦友にレイプされてショックで自殺した女性兵士
・2003年12月8日、精神異常と判断された兵士600名が送還

・民間戦争会社のスタッフ1万人以上がイラクに
  ・正規米兵の日給は5000円程度
  ・戦争のプロは日給10万円程度
   今年度の追加予算870億ドルの3分の1が彼らへの報酬


  <第六章>
・バグダッド高速道路、バグダッド国際空港は日本企業が造った
・湾岸戦争前、クウェートでも日本は、「この10年の大規模プロジェクトで
  50%以上のシェア」
  湾岸戦争前、1979年、日本企業の全海外での建設受注額の45%をイラクから
・イラク戦争で、建設機械のコマツ、川崎重工の株価が高騰
・住友商事とNECは携帯電話事業の通信施設を一部受注
・1980年には日本の総石油輸入量の7.5%はイラク原油
・米警察・FBIのパトカー車載パソコンで、パナソニックがかなりのシェア
・赤いサイレンは大阪の企業パトライトがほぼ独占


  <おわりに>
  ジョーク
  「冷戦で勝った国はどこか?」「日本だ」
  「湾岸戦争で負けた国はどこか?」「日本」
  「イラク戦争で負けた国はどこか?」「?」

「イラク戦争:日本の分け前」浜田和幸①

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 07:48 投稿番号: [114 / 5091]
「イラク戦争:日本の分け前」ビジネスとしての自衛隊派兵
(浜田和幸著)光文社952円+税

  タイトルからして私としては根底的に相容れないんですが、まあ色々なものを
読んでみようと思い、読んでみました。
  立場は違っても、資料・データ・情報・観点等大いに学びました。
  特に、石油決済をドルで行うのか、ユーロで行うのかを巡る、石油決済機軸
通貨ドル対ユーロの熱い経済戦争には、大いに学ばせていただきました。
  ただ筆者はユーロ決済という問題を少々過大に評価しているのではないかとも
思います。OPECや独仏がユーロ決済に傾いているにしろ、非OPECやロシ
ア、東欧諸国、日本はユーロ決済に傾いていない訳ですから。
  それでも、「ドル一極支配体制」から「ドル・ユーロ二極体制」へと向かって
いるとは言えるのかもしれません。

  <はじめに>
「戦争こそ究極のビジネスモデルの実戦の場にはかならない」
「「イラク復興と日本の国益をどのように結びつけることができるのか」を
  読者とともに考えることに、本書の主眼は置かれている」

・中東地域の民主化が進めば、中国、インドに次ぐ巨大市場が誕生

・「イラク全土が内戦状態にある」(CIA 2004年1月)
・「ベトナム戦争を上回る大きな失敗を重ねつつある。アメリカが単独で海外に
  兵力を投入すると必ず失敗する」(ベトナム戦争当時の国防長官マクナマラ)
・「イラクでの戦争はあと20年は続く」(チェイニー副大統領)


  <第一章>
・米企業ダインコー:社員2万3千人、売上げ3億ドル
  法整備、公務員教育、元警察官派遣
  アメリカ軍が海外展開する先には必ずダインコーが進出
  (ハイチ、ボスニア、コソボ、東チモール)
・ブレマーとブッシュ大統領はイエール大学の先輩後輩
・ブッシュ大統領はCPAの会計監査責任者に自らの法律顧問ブラウンを
  送り込んだ。利権の発注元を全て身内で固めた。
・電話通信分野を受注したのは、2002年に利益捏造で破産したMCIワールドコム
  (商業ベースの携帯電話事業の実績は皆無)
  ラムズフェルド長官と親密な関係で、ネオコンの有力者リチャード・パール
  政策諮問委員会前議長がMCIの顧問だったから
  当初CPAと通信事業契約をしたバーレーンのバーテルコは、建設を始めた
  通信タワーを米軍が爆撃して破壊(誤爆だそうです)
・サマワでは、地元のイラク人による「日本企業への就職斡旋センター」が
  オープンし、連日千人単位で行列ができている。うたい文句は、「まもなく
  ソニーや東芝、日立がやってくる。日本企業で働くノウハウを伝授する」
・シーア派指導者アルワーイル氏が「自衛隊によりサマワの失業問題が解決され
  ることを願う。そのために日本人を守れ」とのファトワ
・「手当てがこれほど高額な軍隊は、世界でも日本だけである」
  「アメリカ軍でさえ、海外派遣の手当ては、1日約10ドル」
・2003年12月末、オランダ軍兵士が民間人一人を射殺。兵士は本国に召還され、
  検察当局から殺人罪などの容疑で告発された後、釈放。
  CPA指令第17号により、連合軍の要員は母国の法律の適用を受ける。
  平和維持部隊が刑法で告発されるという前代未聞の事態


  <第二章>
  逮捕されたフセインは偽者ではないかという説を披露
  逮捕に至る過程での不可解とか


  <第三章>
・ブッシュ大統領の祖父はヒトラーとの取引が発覚し資産凍結処分
  「敵国との通商禁止法」
  1942年ニューヨークのユニオン銀行を閉鎖。ナチの隠し口座を開設していた
  から。銀行の経営者が祖父。
・父ブッシュはペンゾイルを世界最大の石油会社に。ビンラディン一族は
  ビジネスパートナー
・フセインの資産は数兆円?
  欧米の企業に投資(ダイムラー、仏マトラ、伊ミサイル会社等々)
  その資産をブッシュと”山分け”、だからフセインは生きている?
  というような説を開陳しているのですが、、、、、


  <第四章>
・アメリカ・オクラホマ州オクラホマシティに「イラク人村」があり、それが
  「オクラホマの秘密」
・バグダッドに世界最大のアメリカ大使館を建設
  エシュロン:盗聴システムの構築
  日本の三沢にもある「像の檻」を2基建設工事は既に始まっている
  1基に諜報分析要員が3000人必要、2つで6000人
  これまで不可能と言われた光ファイバーの傍受実験も
  独仏はこれに対抗し欧州通信傍受システム構築の動きが始まっている
  日本は一人”蚊帳の外”

「イラク戦争:日本の分け前」浜田和幸

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 07:48 投稿番号: [114 / 5091]
「イラク戦争:日本の分け前」ビジネスとしての自衛隊派兵
(浜田和幸著)光文社952円+税

  タイトルからして私としては根底的に相容れないんですが、まあ色々なものを
読んでみようと思い、読んでみました。
  立場は違っても、資料・データ・情報・観点等大いに学びました。
  特に、石油決済をドルで行うのか、ユーロで行うのかを巡る、石油決済機軸
通貨ドル対ユーロの熱い経済戦争には、大いに学ばせていただきました。
  ただ筆者はユーロ決済という問題を少々過大に評価しているのではないかとも
思います。OPECや独仏がユーロ決済に傾いているにしろ、非OPECやロシ
ア、東欧諸国、日本はユーロ決済に傾いていない訳ですから。
  それでも、「ドル一極支配体制」から「ドル・ユーロ二極体制」へと向かって
いるとは言えるのかもしれません。

  <はじめに>
「戦争こそ究極のビジネスモデルの実戦の場にはかならない」
「「イラク復興と日本の国益をどのように結びつけることができるのか」を
  読者とともに考えることに、本書の主眼は置かれている」

・中東地域の民主化が進めば、中国、インドに次ぐ巨大市場が誕生

・「イラク全土が内戦状態にある」(CIA 2004年1月)
・「ベトナム戦争を上回る大きな失敗を重ねつつある。アメリカが単独で海外に
  兵力を投入すると必ず失敗する」(ベトナム戦争当時の国防長官マクナマラ)
・「イラクでの戦争はあと20年は続く」(チェイニー副大統領)


  <第一章>
・米企業ダインコー:社員2万3千人、売上げ3億ドル
  法整備、公務員教育、元警察官派遣
  アメリカ軍が海外展開する先には必ずダインコーが進出
  (ハイチ、ボスニア、コソボ、東チモール)
・ブレマーとブッシュ大統領はイエール大学の先輩後輩
・ブッシュ大統領はCPAの会計監査責任者に自らの法律顧問ブラウンを
  送り込んだ。利権の発注元を全て身内で固めた。
・電話通信分野を受注したのは、2002年に利益捏造で破産したMCIワールドコム
  (商業ベースの携帯電話事業の実績は皆無)
  ラムズフェルド長官と親密な関係で、ネオコンの有力者リチャード・パール
  政策諮問委員会前議長がMCIの顧問だったから
  当初CPAと通信事業契約をしたバーレーンのバーテルコは、建設を始めた
  通信タワーを米軍が爆撃して破壊(誤爆だそうです)
・サマワでは、地元のイラク人による「日本企業への就職斡旋センター」が
  オープンし、連日千人単位で行列ができている。うたい文句は、「まもなく
  ソニーや東芝、日立がやってくる。日本企業で働くノウハウを伝授する」
・シーア派指導者アルワーイル氏が「自衛隊によりサマワの失業問題が解決され
  ることを願う。そのために日本人を守れ」とのファトワ
・「手当てがこれほど高額な軍隊は、世界でも日本だけである」
  「アメリカ軍でさえ、海外派遣の手当ては、1日約10ドル」
・2003年12月末、オランダ軍兵士が民間人一人を射殺。兵士は本国に召還され、
  検察当局から殺人罪などの容疑で告発された後、釈放。
  CPA指令第17号により、連合軍の要員は母国の法律の適用を受ける。
  平和維持部隊が刑法で告発されるという前代未聞の事態


  <第二章>
  逮捕されたフセインは偽者ではないかという説を披露
  逮捕に至る過程での不可解とか


  <第三章>
・ブッシュ大統領の祖父はヒトラーとの取引が発覚し資産凍結処分
  「敵国との通商禁止法」
  1942年ニューヨークのユニオン銀行を閉鎖。ナチの隠し口座を開設していた
  から。銀行の経営者が祖父。
・父ブッシュはペンゾイルを世界最大の石油会社に。ビンラディン一族は
  ビジネスパートナー
・フセインの資産は数兆円?
  欧米の企業に投資(ダイムラー、仏マトラ、伊ミサイル会社等々)
  その資産をブッシュと”山分け”、だからフセインは生きている?
  というような説を開陳しているのですが、、、、、


  <第四章>
・アメリカ・オクラホマ州オクラホマシティに「イラク人村」があり、それが
  「オクラホマの秘密」
・バグダッドに世界最大のアメリカ大使館を建設
  エシュロン:盗聴システムの構築
  日本の三沢にもある「像の檻」を2基建設工事は既に始まっている
  1基に諜報分析要員が3000人必要、2つで6000人
  これまで不可能と言われた光ファイバーの傍受実験も
  独仏はこれに対抗し欧州通信傍受システム構築の動きが始まっている
  日本は一人”蚊帳の外”

「サラームバックスバグダッドからの日記」

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 07:46 投稿番号: [113 / 5091]
「サラーム・パックス:バグダッドからの日記」
  (ソニー・マガジンズ)1600円+税

  サラーム・パックス:ネット上の名前

  http://dear_raed.blogspot.com/

・イラク・バグダッド在住
・29歳
・コンピューター関連企業で働く
・両親はイラク共産党系、バース党により揃って大学の教職を追われる
・欧米の音楽、映画、ジョークに精通し、
・フセイン政権下で禁止されていた衛星放送を受信し、
・インターネットで欧米のメディアにもアクセスし、
・ネット上に、ブログと呼ばれる個人日記サイトを世界に発信していた

・フセイン政権を痛烈に批判し、
・ブッシュ政権を痛烈に批判し、
・西側メディア・世論をも批判し、
・人間の盾を辛らつに拒否する。

  2001年末からこのブログは公開されていた。

「アラブ全体が悪の巣窟であり、独裁体制がはびこっている。トルコやイラン
  だって同じだ。なのに、慈悲深い西側の目は、イラクだけに向けられている」
「ぼくの国の人権状況に執拗なまでに興味を持ってくれて、どうもありがとう。
  三十年間、見て見ぬふりをしてくれて、どうもありがとう。イラク政府を支援
  し、イランとの戦争に二百万人のイラク人を送り出すよう仕向け、彼らの命を
  奪ってくれてどうもありがとう。狂人だと知っているのに、その狂人に化学兵
  器開発を気にも留めずにいてくれてどうもありがとう。イラク共産党のメンバ
  ーが酸浴槽に入れられるのを気にもかけずにいてくれて、どうもありがとう。
  イラク人の惨状を伝えるあらゆる人権擁護団体を無視してくれて、どうもあり
  がとう。ただ国民を苦しめ、政府になんの効果もないと知っているのに、制裁
  措置を続けてくれてどうもありがとう。今書いたことを何もかも知っていて、
  だからなんだという顔をしてくれて、ほんとにどうもありがとう」
「刑務所を建ててくれた西側の建設会社にお礼を言うのを忘れていた。それから
  拷問のノウハウを教えてくれた東欧の国々にも」(12/3)

「ぼくの国に何トンもの爆弾を落としてくれてありがとう。その爆弾に、劣化ウ
  ランを使ってくれてありがとう。”二重の封じ込め(イランとイラク)”政策
  で、この地域の怒りの炎に油を注ぎ続けてくれてありがとう。アメリカにとっ
  て都合がいいからね。中東地域のすべての抑圧的政府に、援助姿勢を示してく
  れたアメリカ政府に感謝する。都合のいいように利用したら、ただ見捨てるだ
  けなのに。国連制裁委員会でアメリカが果たした役割にも感謝したい。その努
  力のおかげで、歯を一本抜くだけでも、闇市で手術用手袋と麻酔薬を探さなけ
  ればならなくなった。そういう物資は、制裁委員会の禁止項目にいつも含まれ
  ているんだ。経済制裁を続けるために、多くの時間と労力を費やしてくれた国
  に感謝したい。サダムとその権力基盤にはなんの効果もないけど、国民はじゅ
  うぶん懲らしめられているよ。行き詰ったイラク政府とアメリカ政府の間で、
  人質のように生きている」

「奴らは住宅地に隠れて、迫撃砲を無意味に一発放つか、カラシニコフ銃をニ、
  三発撃つに過ぎない。どの弾も敵の装甲車に当たって空しくはね返るだけだ。
  だが、その一発が招くものといえば、弾が来た方向にある住宅すべてに対する
  迫撃砲の猛攻撃だ。」
「そんなゾッとする奴らが夜中に自分の住む地域に侵入したことに、まったく
  気付かないことだってある」
「ばかな奴らだ。”命を捨てたいと思うなら、どうか一人でやってくれ。住宅の
  一角を巻き添えにしないでくれ”という言い分が、奴らにはピンとこないらし
  い」

「今までアメリカに対して中立的立場をとってきた地域で、住人の反米感情を煽
  るとしたら、何が得策といえるだろう?   例えば、家や店を射撃するとか」
「更に一軒一軒調べさせる。男たちを縛り上げ、その頭に袋を被せて子どもみん
  なを震え上がらせるんだ。そうすれば、住民の”アメリカ度指数”を一気に変えることが
  できる」

「サマーワの街の外れにたくさんの遺体が埋められているのが見つかり、人々が
  ひどく打ちのめされている。埋められた人の多くはサマーワの人間だった。
  遺体すべてに身分証明書が添えられていたことだけが唯一の救いだ。サマーワ
  のどこへ行っても、処刑された人たちの写真のコピーを見かけるんだ。
   冷酷極まりない話−湾岸戦争後の蜂起の際、サダムの犬たちが早く移動する
  ために、捕えた人々をトラックに載せて街の外れまで運び、生き埋めにしたん
  だ。そこ

「イラク便り」奥克彦②

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 07:26 投稿番号: [112 / 5091]
「ヒッラの街の南方で約1万5000体の虐殺遺体が発見されたと報じられ
ました」(p.68)

「この12年間(湾岸戦争後)、行方が全く解っていないクウェートの人々が
605人もいるのです」(p.74)(クウェート人は90万人)
クウェートは戦争終結前から人道支援物資を送っていました。その箱に、
「さりげなく行方不明者の名前を記した箱を送っているのです、恩讐を超えて
ということでしょうか」(p.76)

「バース党員になった人達の中には、思想信条の問題としてサッダーム・フセイ
ンを礼賛している訳ではなく、自分の職場である程度の地位を得るために仕方な
く党員になった人も多いと言われています。そのような人達まで一気に排除して
しまうと肝心の組織が動かなくなってしまいます」(p.78)

「韓国内では、米軍への反発からあまり表だって協力姿勢を見せられないため、
イラク復興支援の現場に兵員を派遣することで、韓国としての対米重視の姿勢を
示しているのかもしれません」(p.86)

「何時の日か聖火が、イラクや、パレスチナ、イスラエルを通って民族の違いを
乗り越えて手渡されるようなルートが実現する日がくれば、平和の祭典にふさわ
しいことではありませんか」(p.96)

「戦争終結後も、イラク・ディナールは米ドルとの関係で、高止まりし、むしろ
ドル安に動きました」(p.108)

「現在4000人のイラク人警察官が採用されていますが、ゆくゆくは5万人
規模にすることをCPAでは考えています」(p.141)

「イラクの公務員は省庁に勤める人達だけでなく、「会社」勤めの人も入れて
考えなければいけません」(p.148)
蘭軍は、「CPAが行っている民政に直接参加することは、議会で認められて
おらず、占領軍としてジュネーブ条約上の義務を負っている治安維持活動のみが
許されている、という立場です。つまり民生面での蘭軍の参加は法的に認められ
ていないという考え方です」(p.157)

「イラク便り」奥克彦①

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 07:26 投稿番号: [111 / 5091]
  「イラク便り」奥克彦(産経新聞社)1238円(税別)

  2003年11月29日、イラクで何者かに殺害された、奥氏の、
  4月23日から11月27日までの日誌です。
  外務省のHPで公開されているものです。


「自分の地区の下水処理ポンプを売り飛ばさなければならない程の困窮振り
なのです。自分自身を略奪してしまっているのです」(p.62)
「戦争が終わっても良くなるどころか、かえって生活基盤は悪くなっているため
、自由は手に入れたものの、尋常ならざる暑さと相まって、住民の忍耐は限界に
来ているようです」(p.124)
「サマーワにも5カ所の大量殺害者の墓地があって、クルド人とシーア派イラク
人4500人が埋められていた」サマーワのダフィ市長談(p.158)
「治安や電力供給といったライフ・ラインが維持できない占領当局に対して、
一般のイラク人の苛立ちは限界に近づいていました。自由は手に入れても、生活
基盤は戦争前より悪化したために、当初の米軍歓迎ムードがかなり薄れてきてい
たのです」(p.192)
「各地でマス・グレイブ(大規模墓地)と呼ばれる大量の死体埋葬場所が発見さ
れるたびに、サッダーム政権下でどれほど多くの人が犠牲になってきたのかを
改めて思い知らされます」
「「私たちは今とても苦労しているけど、サッダーム政権がなくなったことだけ
は本当に嬉しく思っている。外国人のあなたに、そのことだけは伝えておきたか
った」と流暢な英語で話しかけられたことが今でも忘れられません」(p.203)

戦後、長年続いたサッダーム体制から解放され、自由を手に入れたイラク国民。
その開放感は本物でした。
  しかし、自由では空腹は満たされません。
生活基盤が戦前よりむしろ悪くなったので、占領軍への反感が昂じてきます。
それでも、やはり自由は本当に手に入れたかったものなのでしょう。
その感動は何物にも変え難いものですね。

  <自由>と<生活>、現在に於ける両者の矛盾。


「イラクはサウジアラビアに次いで埋蔵量世界第二位を誇る産油国です。
おまけに、採掘コストが大変安いので、石油の大量産出に向いています。」
「多くの人が、今回の戦争の目的は米国としてイラクの石油を手中に納めること
だと指摘していますが、イラクでは約80の油井が開発可能で、現在までに、
まだ、17ヵ所しか掘られていないようです。日本も採掘権に関心があるところ
ですが」(p.90)

  アメリカの石油戦略という背景にも言及しています。


「安保理での議論に踏まえ、CPA(連合暫定当局)との関係を悪化させない
範囲で徐々に、イラクの政治プロセスに国連としての関与の度合いを強めていく
、難しい役回りですが、デ・メロ特別代表ならやり遂げるでしょう」(p.103)
「「政治プロセスにも関与する」と繰り返す特別代表の言を耳にして、「張り切
りすぎて大丈夫だろうか。ブレマー長官との役割分担がさぞ難しかろうな」など
と気を揉んだものです」(p.197)
「「米国一極の世界では、国連は米国の支持なしには無能の存在だ」という批判
はよく耳にします。あながち全面否定できないことは今回のイラクへの武力行使
決定をめぐる経験をみても明らかです。しかし、(中略)国連という機関の役割
が必ずや大きくなってきます」(p.199)

  一超大国アメリカと国連の両者の現段階の難しい関係性についてもよく認識
していますね。
  突出するアメリカ、追随するしかない国連。
両者の微妙な関係。
しかし、奥氏は、やはり国連の重要性を深く確信しているようです。


「毎週日曜日の午後2時から全体会合を開いて、地域のありとあらゆる問題に
ついて、評議会員同士、また、米軍との間で話し合っています。このような米軍
の活動は日本ではあまり報じられていないようです。ですから、イラクの一般の
人には米軍は受け入れられていない、といったイメージが出来上がっているよう
ですが、実態はかなり異なります」(p.112)
「イラク人関係者にとってはとまどいの多いことが続くようですが、着実に、
透明で民主的な予算プロセスを歩みつつあるようです」(p.150)

  徐々にではあれ、イラクで下からの民主化が創造されつつあるようですね。
その他、インターネット・カフェが繁盛しているのも、民主的な情報を求める
イラク国民の希求なのでしょうね。
ソ連・東欧圏崩壊に一役買った現代の情報社会化・インターネット。
北朝鮮もそうですが、独裁者には情報統制が付き物ですからね。

「イラク便り」奥克彦

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 07:26 投稿番号: [111 / 5091]
  「イラク便り」奥克彦(産経新聞社)1238円(税別)

  2003年11月29日、イラクで何者かに殺害された、奥氏の、
  4月23日から11月27日までの日誌です。
  外務省のHPで公開されているものです。


「自分の地区の下水処理ポンプを売り飛ばさなければならない程の困窮振り
なのです。自分自身を略奪してしまっているのです」(p.62)
「戦争が終わっても良くなるどころか、かえって生活基盤は悪くなっているため
、自由は手に入れたものの、尋常ならざる暑さと相まって、住民の忍耐は限界に
来ているようです」(p.124)
「サマーワにも5カ所の大量殺害者の墓地があって、クルド人とシーア派イラク
人4500人が埋められていた」サマーワのダフィ市長談(p.158)
「治安や電力供給といったライフ・ラインが維持できない占領当局に対して、
一般のイラク人の苛立ちは限界に近づいていました。自由は手に入れても、生活
基盤は戦争前より悪化したために、当初の米軍歓迎ムードがかなり薄れてきてい
たのです」(p.192)
「各地でマス・グレイブ(大規模墓地)と呼ばれる大量の死体埋葬場所が発見さ
れるたびに、サッダーム政権下でどれほど多くの人が犠牲になってきたのかを
改めて思い知らされます」
「「私たちは今とても苦労しているけど、サッダーム政権がなくなったことだけ
は本当に嬉しく思っている。外国人のあなたに、そのことだけは伝えておきたか
った」と流暢な英語で話しかけられたことが今でも忘れられません」(p.203)

戦後、長年続いたサッダーム体制から解放され、自由を手に入れたイラク国民。
その開放感は本物でした。
  しかし、自由では空腹は満たされません。
生活基盤が戦前よりむしろ悪くなったので、占領軍への反感が昂じてきます。
それでも、やはり自由は本当に手に入れたかったものなのでしょう。
その感動は何物にも変え難いものですね。

  <自由>と<生活>、現在に於ける両者の矛盾。


「イラクはサウジアラビアに次いで埋蔵量世界第二位を誇る産油国です。
おまけに、採掘コストが大変安いので、石油の大量産出に向いています。」
「多くの人が、今回の戦争の目的は米国としてイラクの石油を手中に納めること
だと指摘していますが、イラクでは約80の油井が開発可能で、現在までに、
まだ、17ヵ所しか掘られていないようです。日本も採掘権に関心があるところ
ですが」(p.90)

  アメリカの石油戦略という背景にも言及しています。


「安保理での議論に踏まえ、CPA(連合暫定当局)との関係を悪化させない
範囲で徐々に、イラクの政治プロセスに国連としての関与の度合いを強めていく
、難しい役回りですが、デ・メロ特別代表ならやり遂げるでしょう」(p.103)
「「政治プロセスにも関与する」と繰り返す特別代表の言を耳にして、「張り切
りすぎて大丈夫だろうか。ブレマー長官との役割分担がさぞ難しかろうな」など
と気を揉んだものです」(p.197)
「「米国一極の世界では、国連は米国の支持なしには無能の存在だ」という批判
はよく耳にします。あながち全面否定できないことは今回のイラクへの武力行使
決定をめぐる経験をみても明らかです。しかし、(中略)国連という機関の役割
が必ずや大きくなってきます」(p.199)

  一超大国アメリカと国連の両者の現段階の難しい関係性についてもよく認識
していますね。
  突出するアメリカ、追随するしかない国連。
両者の微妙な関係。
しかし、奥氏は、やはり国連の重要性を深く確信しているようです。


「毎週日曜日の午後2時から全体会合を開いて、地域のありとあらゆる問題に
ついて、評議会員同士、また、米軍との間で話し合っています。このような米軍
の活動は日本ではあまり報じられていないようです。ですから、イラクの一般の
人には米軍は受け入れられていない、といったイメージが出来上がっているよう
ですが、実態はかなり異なります」(p.112)
「イラク人関係者にとってはとまどいの多いことが続くようですが、着実に、
透明で民主的な予算プロセスを歩みつつあるようです」(p.150)

  徐々にではあれ、イラクで下からの民主化が創造されつつあるようですね。
その他、インターネット・カフェが繁盛しているのも、民主的な情報を求める
イラク国民の希求なのでしょうね。
ソ連・東欧圏崩壊に一役買った現代の情報社会化・インターネット。
北朝鮮もそうですが、独裁者には情報統制が付き物ですからね。

NHK:サマーワでの雇用状況

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 07:23 投稿番号: [110 / 5091]
  NHK「クローズアップ現代」(3/31)でサマーワでの雇用状況を報道していま
した。

  サマーワでの、日本の職業安定所に当たる「雇用センター」には、
15000人が登録しています。しかしセンターが紹介できた雇用はほとんど
ないそうです。
  登録者で目立つのは、元軍人と帰還した難民だそうです。

  自衛隊は、現地の雇用を150人採用しているそうです。
これでも当初の方針を急遽変更し、大幅に増加したものだそうです。

  サマーワの外務省事務所によると、外務省は国連を通じて、サマーワ周辺で
1500人規模の雇用を創出する事業を開始したそうです。

  15000人と
    150人と
   1500人ですか、
何だかとても覚え易い数字ですね。


『最近になって住民の間では、自衛隊の支援活動のペースが遅く、「目に見える
  形で結果が現れてこない」とか「自衛隊が来たのに暮しが一向に良くならない
  」といった不満の声も聞かれるようになってきました。』
「日本の会社が来ると言っていたのに、全然仕事が増えないじゃないか」
『番匠部隊長は、地元テレビ局の取材に応じ、「自衛隊ができることには限度が
  ある」と訴えました』

  勿論、自衛隊は雇用を創出する機関ではありません。
また、現地の人々が勝手に、一方的に期待を膨らませているとは思います。
しかし、だからといって、これを無視できないし、また、無視していないし、
対応しようとしていると思います。
しかし、その上で、やはり、現地の期待とのギャップはなかなか埋まらないだろ
うなとも思いました。

NHK:陸上自衛隊イラク派遣:ある部隊の4か月

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 07:20 投稿番号: [109 / 5091]
  NHKスペシャル「陸上自衛隊イラク派遣」〜ある部隊の4か月〜

  イラクに派遣される北海道の師団ではなく、福島駐屯地のレポートでした。

  二人の隊員は、
「自分の国を守るなら、命がけで守るが、、」
「究極的には家族を守るためなら、血も流すが、、、」
「イラクでは、、、モチベーションが、、、外国ですから、、、」

  現地での建物突入・占拠方法とかの米軍のビデオで学習していました。
「マニュアルのない世界に足を踏み入れている」
「どうしたら生き残れるのか一人一人がよく考えてくれ」

  至近距離の射撃訓練を行っていました。
「イラクで警備にあたる隊員に必要な技術」

武器使用を巡る法律を隊員一人一人が理解すること。
「イラクで武器を使用する場合、日本の法律による制約がある」
「イラク支援法の講義」
「関心は、武器使用の規定に集まっていました」
「一人が火炎瓶を投げる。これは生命に危険はない。しかし、燃料補充中に投げ
  つけられたら、状況によっては車両が燃える。そうした場合は、撃てる可能性
  がある。まさに相当な理由がある。威嚇で足元を狙うなんて悠長なことは言っ
  てられません。その手を撃たないといけない場面だってある」

「群集に紛れて、武器を使用された場合はどうしたらよいのか」
「自爆テロに対してどう対応するか」
「発砲された。誰が発砲したのか分からない。その方向にやむを得ず撃った。
  しかし、武器は残ってない。別の人を撃ったのかも知れない。」
「それは過剰防衛。誤想防衛。照準射撃をしなさい。特定しなければならない」
相手を直接狙った射撃が認められるのは、正当防衛などの場合に限られます。
違法な射撃でなかったと証明する必要もあります。(NHK)
「それを裁くのはどこの法律なんですか」
「日本の裁判所で裁きます。自衛隊ではありません。刑事訴訟法上の白黒を
  明確に最後までつけなければなりません」
結果的に相手を傷つけた場合は刑事責任を問われる可能性があります。
(NHK)

  どのような時に武器を使用できるのか。
「隊員一人一人が難しい判断を求められる時代を迎えた」(師団長)
「一番悩んでいる問題は何かな。武器使用は理解したかな」
「まだ理解できていません」
「撃たれてから、やっと撃てる。どこで自分達が危険だと感じて、撃っていいの
  か判断できない」
「声も届く程度の距離での敵なので(撃つのは)戸惑いはあります」

「あの練度ができている米軍ですら一杯死んでいる。うち等はまだまだの
  メンバーで、、、錬度が低いので不安です」

「平和憲法と言われるくらいだから銃で死ぬことはないだろうと考えて入った」

吉田教官の取材
「行かないで欲しいというのが本音」(妻)
「この弾が当たったら大変だと分かっている」
「あとは命令・指揮についていくしかない」

  滋賀:饗場野演習場での日米共同訓練:イラク戦争からの帰還兵
  関西の普通科部隊。
米兵の戦場さながらの救護訓練。
自衛隊でも負傷者救護が大きな課題。
「負傷者が出るのは当たり前だ、しかし、負傷者の救護とか、そこらへんが
  無頓着」(中隊長)

  福島駐屯地
「絶対行きたくないなと思っていたが、今は、行くと言えると思う」
「戦争に行くのではない」
「人を撃ちたくない。自分や仲間の命が掛かってくると、撃たなくちゃならない
  んだな。撃ちたくなくても撃たなくちゃならない時代なのかな」
「防げるのなら事前に防ぐ。防げないのなら、銃は構えます。銃は構えますが、
  引き金引く時に、もう一回何かを考えると思います。考えて、その瞬間、仲間
  がやられるのなら、自分がやられるのなら、任務完遂、と考えれば、自ずと
  答えは出ると思う」
「撃てという命令を発するようになると思うんですが、相手にも家族がいるわけ
  で。無事日本に帰って来ても、一生殺したという十字架を背負って生きていか
  せなければならない。殺させるということもさせないよう、銃を使うという
  行為そのもの自体を、隊員にもさせたくないし、自分もしたくない。それが
  正直な気持ちです」

「イラク 戦争と占領」酒井啓子③

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 07:16 投稿番号: [108 / 5091]
イラク人世論調査
・8割が「アメリカ主導の占領統治に不信感を露にしている」
・7割が「イラクの宗教指導者を信頼する」
・9割が「イラクで今必要なことは民主主義」
「すべてのイスラーム的なるものの台頭に対して、過度に敏感な反応をして
「イラク国民の政治参加」を遠ざけてしまったアメリカは、フセイン政権と
  同じようにイラク国民とは遠い存在となってしまった」(p.209)


<終章>イラクはどこへ
「「テロに対する戦い」が「テロを拡大する戦い」に転じる」
「米企業が地元企業に入札を行う際、最初は百企業以上が殺到していたのに、
  その後その数は急速に減少している。事業を欧米企業や湾岸産油国のアラブ
  企業に取られてしまうことに、フラストレーションを強める」(p.221)
「アメリカに露骨に排除されたヨーロッパ諸国にとっては、イラク人政権が復興
  事業の主体となることが、現時点で復興に堂々と参加できる唯一の機会」
  (p.226)
「欧米型民主主義を望む者とイスラーム的な政権を望む者とが拮抗し、政体は
  政治性よりテクノクラートなどの非政治的存在によって担われるべき、
  という意見が強かった」(p.226)
「「食料のための石油」輸出計画という名の下で、国連がイラクの石油収入を
  国連活動に利用してきたことは明らかであり、その意味では国連すらも
  「イラクの富を掠め取るもの」と見なされていた側面は否めない」(p.227)
「生活インフラの回復すらままならない現状で、アメリカが唯一熱心に行って
  いるのは、イラク国営企業の解体と民営化である。200件にのぼる国営企業を
  独立採算性に移行する」「2004年春までの民営化計画の大綱を完成すべしと
  するCPAの予定通りに国営企業の民営化が進められれば、職員50万人が職を
  失う」(p.227)
「日本企業に最も多く建設事業を発注した国、イラクは77年と78年、81年には
  第二位、79年と80年にはトップ。イラクとの貿易相手国も仏独と並んで常に
  トップ」(p.229)
「イラクは今、国家解体ではなく、国家建設の長い道のりの入り口に立っている
  」(p.238)

「イラク 戦争と占領」酒井啓子②

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 07:15 投稿番号: [107 / 5091]
  <第三章>「アメリカの占領」の失敗
「米軍の圧倒的勝利のおかげで、イラク人各勢力の間での勝敗の「決着」が
  つく余地が生まれなかった」(p.117)
「ブッシュ政権のなかに、「民主化」と「伝統社会温存」と「軍事政権」という
、三つの相容れないポスト・フセイン政権構想が、並存していた」(p.130)
「アメリカが地方ごとの「草の根民主主義」の萌芽に対して、逆にこれを排除
  する方策をとった」(p.137)
「ある石油関連の国営会社では、他の組織同様、職員による自発的な選挙で新た
  な役員が選出されたが、そこで選ばれた者は確かに人望の厚い人物であった。
  だが、彼が仕事の面で優秀かどうかはまた別の問題である」(p.140)
「バグダードでの世論調査では、67.2%が「悪いバアス党員のみ」を追放すべき
  だ」とし、「すべてのバアス党員の追放」を主張する27.4%」(p.141)
「200万人にものぼるバアス党員」(p.142)
「追放された40万人の職員が一挙に生活難に陥る」(p.142)
「数十万人の軍人が職を解かれるのは深刻な社会的問題を生む」(p.143)
「結局、武装し困窮した「不平士族」が市中に徘徊することになった」
「旧軍人20〜25万人に恩給を支払うと発表」(p.143)
「フセイン時代の諜報要員が再雇用された。だがイラク国民がフセイン政権下で
最も恐れていたのは、こうした治安・諜報関係者の監視統制である」(p.146)
「統治評議会には、「閣僚の任免権、憲法制定準備委員会の設置、予算の執行」
といった権限が(最終的にはブレマーに拒否権があるとはいえ)与えられた」
(p.154)
シーア派法学権威は「憲法の制定が外国の占領者に任命された人々によって進め
られてはいけない」統治評議会は「宗派分断的でイラクを分割しようとの(米英
の)企み」(p.159)
イラク共産党機関紙は「アラブ諸国の左翼活動家達のフセイン「英雄」視」を
批判(p.160)
「親アラブとされるアル=ジャズィーラ放送の記者が、イラク国内で住民から
  露骨な嫌がらせを受けることも発生している」(p.161)
「多くのイラクは出稼ぎ、難民となってヨルダンに流入、そこで受けた冷遇の
  記憶が反ヨルダン感情となってくすぶっている」(p.161)
アラブ連盟は統治評議会に対してなかなか「認知」しなかった。(p.162)


  <第四章>宗教勢力の台頭
「崩壊した「国家」の代役を果たしたのは、もっぱら宗教的ネットワークや部族
  的紐帯などに支えられた地域共同体であった。」
「国家に徹底的に侵食されたと思われていた「社会」が、存外に自主性を維持し
  ていたのはなぜなのだろうか。アメリカは「イラクの民主化」という高邁な
  理想を掲げたが、その「民」が帰属する「イラク社会」をどこまで理解して
  いたのだろう。そもそもポスト・フセイン体制下の新しい政権がよって立つ
  べき「社会」とは、一体何なのか」(p.170)
「実際に政権が倒れてみれば、「社会」は不在ではなかった。そこではっきりと
  表出した「社会」とは、アメリカが最も見たくなかったはずの「イスラーム」
  であった」(p.170)
「シーア派の宗教的行事:聖地カルバラへの行進に、100万人もの信者が参加」
「シーア派の宗教行事は、常に地域共同体と一体となって運営されていた」
「バグダードのサウラ地区ではサドル派が制し、民兵6千人が配備され、地域の
  秩序回復が急速に進められた」(p.176)
「バグダードの33の公共病院の三分の一から半分が、イスラーム主義勢力の管理
  下に置かれた」(p.176)
・ハウザ:宗教的知識人サークル・学界
・ウラマー:イスラーム知識人
・ムジュタヒド:イスラーム学者
・ファトワー:イスラームの法学判断
「特に地方社会においてはアメリカの主導で地方議会が設置される以前に、宗教
  勢力が行政サービスのみならず、政治的指導性を確立しつつあった。アメリカ
  は、このようにすでに自律的な行政、政治システムを担いつつあったイスラー
  ム勢力を、あえていったん排除して新たに別の「親米」知事や評議会を植え付
  けていった」(p.182)
「すべての権力をハウザに」というスローガン
「シーアもスンナ派もない、統一イラク」というスローガン
「イラク建国前夜の1920年。シーア派とスンナ派が合同で宗教行事を執り行い、
  この行き来のなかで、宗派を超えた反英運動を拡大していき、最終的に全国的
  な反植民地抵抗運動に発展していった。こうした建国時の「祖国愛」を人々の
  心に喚起しようという意図が見え隠れしている」(p.185)
「サドル派の既存の宗教的権威に対する挑戦はとどまるところを知らない」<

「イラク 戦争と占領」酒井啓子①

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 07:14 投稿番号: [106 / 5091]
  「イラク   戦争と占領」(酒井啓子:岩波新書)

  <まえがき>
「イラク国内に住む人々を抵抗運動に駆り立てる社会的経済的不満の構造が、
現実の世界において変わらない限り、占領に対する反抗がやむことはない
だろう」「国民不在の、力任せの強圧的政策だとしか見えていない」(p.ii)

  <第一章>帰還
「イラク人という「国民」意識と社会はサダム・フセインという独裁者の支配の
もとで、息の根を止められて、死に絶えていたと思っていた。死に絶えているか
らこそ、そこに新しい社会、新しい「市民社会」を簡単に築くことができる、
と考えたのである。だが、大いなる目算違いは、人々も社会も死んでいなかった
ことだ。それどころか、国際社会が気がつきもしなかったような社会的ネットワ
ークが、独裁が外れた途端に活き活きとイラク国民の生活の表面に浮き上がって
きた。占領軍となった米英は、廃墟に新しい家を建てるのではなく、均したはず
の大地にしぶとく張りめぐらされた根株に足を取られて、身動きがとれなくなっ
ている」(p.6)
「国民の不満のトップ(80%)に電力問題をあげている」
電線に使用される銅が高く売れるため略奪も起きている。
「不満項目の飲料水不足は49%」
通信網の回復もはかばかしくない。
「首都の目抜き通りに一日数回、交通整理が行われている」(p.12)
夜の11時ともなれば夜間外出禁止令。
イラクに銃社会が定着してしまっている。麻薬・売春の蔓延。
  フセイン政権に土地や家屋を接収された者達が、権利を主張し、武装した部族
集団が大挙して住民を追い出す。
  フセインの政治的目的から優遇措置が取られてきたパレスチナ人の追い出しも
多発。
  射殺された略奪者の部族が、部族的慣習である同害報復を利用して、相手部族
に「血の代償金」を求める。

  イラク人へのアンケート:「米英が戦争に踏み切った理由」
・石油利権の確保のため     :47%
・イスラエルの安全保障のため:41%
・大量破壊兵器を破棄するため: 6%

  イラク人へのアンケート:「望ましい政体はなにか」
・連合国の監視の下にないイラク・テクノクラートによる政体:62.8%
・アメリカの監視の下でイラク人顧問が運営するもの      :23.6%
・イラクの政党による政体                  : 5.6%
・CPA任命の政治評議会                  : 5.2%
  回答者の85%が「イラク政党はイラク人の意見を代表していない」

  一概に「これが大勢の意見が」といえるような意見が、存在していない。


  <第二章>フセイン、最後の戦い
「9.11事件は中東問題をアメリカの国内問題に変えてしまった」
「アメリカの国民がテロの不安に再び駆られることなく、安心して生活できるた
  めに、政府がそのために常に努力しているのだということを示すために、中東
  で「テロに対する戦い」を継続していかなければならなくなった」(p.63)
「アフガニスタン戦争での、予想外の早い軍事的成功によってであろう。ソ連を
  長年てこずらせたアフガニスタンで、わずか一ヶ月で政権の交替を実現した、
  という自信が、イラクでの政権交替も容易に可能だ、という認識を生んだ」
(p.64)
「フランスとロシアにとって最も大きな懸念材料は、(略)自国がフセイン政権
  と取り交わした利権契約はどうなるのか、(略)膨大な借金を返してもらえる
  のか、ということだった」(p.71)
国連は「イラクがこれまで輸入した819基のミサイルのうち817基を廃棄したこと
に満足している」(p.88)
「イラク兵死者数は1万人以上、民間人の被害は最低でも5千人」(p.102)

「イラク 戦争と占領」酒井啓子

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 07:14 投稿番号: [106 / 5091]
  「イラク   戦争と占領」(酒井啓子:岩波新書)

  <まえがき>
「イラク国内に住む人々を抵抗運動に駆り立てる社会的経済的不満の構造が、
現実の世界において変わらない限り、占領に対する反抗がやむことはない
だろう」「国民不在の、力任せの強圧的政策だとしか見えていない」(p.ii)

  <第一章>帰還
「イラク人という「国民」意識と社会はサダム・フセインという独裁者の支配の
もとで、息の根を止められて、死に絶えていたと思っていた。死に絶えているか
らこそ、そこに新しい社会、新しい「市民社会」を簡単に築くことができる、
と考えたのである。だが、大いなる目算違いは、人々も社会も死んでいなかった
ことだ。それどころか、国際社会が気がつきもしなかったような社会的ネットワ
ークが、独裁が外れた途端に活き活きとイラク国民の生活の表面に浮き上がって
きた。占領軍となった米英は、廃墟に新しい家を建てるのではなく、均したはず
の大地にしぶとく張りめぐらされた根株に足を取られて、身動きがとれなくなっ
ている」(p.6)
「国民の不満のトップ(80%)に電力問題をあげている」
電線に使用される銅が高く売れるため略奪も起きている。
「不満項目の飲料水不足は49%」
通信網の回復もはかばかしくない。
「首都の目抜き通りに一日数回、交通整理が行われている」(p.12)
夜の11時ともなれば夜間外出禁止令。
イラクに銃社会が定着してしまっている。麻薬・売春の蔓延。
  フセイン政権に土地や家屋を接収された者達が、権利を主張し、武装した部族
集団が大挙して住民を追い出す。
  フセインの政治的目的から優遇措置が取られてきたパレスチナ人の追い出しも
多発。
  射殺された略奪者の部族が、部族的慣習である同害報復を利用して、相手部族
に「血の代償金」を求める。

  イラク人へのアンケート:「米英が戦争に踏み切った理由」
・石油利権の確保のため     :47%
・イスラエルの安全保障のため:41%
・大量破壊兵器を破棄するため: 6%

  イラク人へのアンケート:「望ましい政体はなにか」
・連合国の監視の下にないイラク・テクノクラートによる政体:62.8%
・アメリカの監視の下でイラク人顧問が運営するもの      :23.6%
・イラクの政党による政体                  : 5.6%
・CPA任命の政治評議会                  : 5.2%
  回答者の85%が「イラク政党はイラク人の意見を代表していない」

  一概に「これが大勢の意見が」といえるような意見が、存在していない。


  <第二章>フセイン、最後の戦い
「9.11事件は中東問題をアメリカの国内問題に変えてしまった」
「アメリカの国民がテロの不安に再び駆られることなく、安心して生活できるた
  めに、政府がそのために常に努力しているのだということを示すために、中東
  で「テロに対する戦い」を継続していかなければならなくなった」(p.63)
「アフガニスタン戦争での、予想外の早い軍事的成功によってであろう。ソ連を
  長年てこずらせたアフガニスタンで、わずか一ヶ月で政権の交替を実現した、
  という自信が、イラクでの政権交替も容易に可能だ、という認識を生んだ」
(p.64)
「フランスとロシアにとって最も大きな懸念材料は、(略)自国がフセイン政権
  と取り交わした利権契約はどうなるのか、(略)膨大な借金を返してもらえる
  のか、ということだった」(p.71)
国連は「イラクがこれまで輸入した819基のミサイルのうち817基を廃棄したこと
に満足している」(p.88)
「イラク兵死者数は1万人以上、民間人の被害は最低でも5千人」(p.102)

「フセイン政権の支配構造」酒井啓子③

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 07:12 投稿番号: [105 / 5091]
  <第二部>
「イラクの南北差は、スンナ・シーアという宗教的原因よりも、社会経済上の
  構造的な差異、特に近代化の過程で発生した南北の経済格差によって生まれた
  要素のほうが強い」(p.195)
「南部の農業的特長は、灌漑のための大規模な設備投資を必要とする点にあり、
そのため大土地所有者による搾取が激しく、貧富格差の拡大が深刻」(p.196)
  したがって、イラク共産党の最大の支持基盤であった。
  バアス党としては、南部及び南部出身の低所得者層の社会的経済的不満に対し
て対処せざるを得ない


  <第四章>地方の貧困、都市の貧困
「87年の人口調査では、総人口の70%以上が都市部に集中」
  92年の最後の統計では人口1895万人。バグダードの人口は400万人
  (現在は約500万人と言われている)
  地方(特に南部農民=シーア派)からの人口流入によるもの
  (南部地域全県が人口流出県)
  バグダードへの都市流入者の81%が農民、66%が小作農

「地域的経済的格差をめぐる対立が宗派的対立軸に転化されがち」(p.202)
潤沢な石油収入を分配し、慰撫政策を取る。

・オスマントルコ行政下で部族長は地主化していた。
・共和制革命後の58年の農地改革の失敗による流出民の発生
・フセインによるサダム・シティ建設による低所得者用住宅は大家族に限定され
  たため、故郷から家族を呼び寄せるという都市流入を一層誘発。

バグダード流入者の離村「理由の第二位の「部族長の不正」は、南部地域のみ
ならず地方社会全般的に部族的、封建的慣習による社会的制約が強く、それを
嫌った住民が多い」「部族的社会的紐帯が、農村における地主・小作関係と
重なることで、部族民=小作農が二重に従属下に置かれる」(p.215)
 
  南部からのバグダード流入者は、イラク共産党の支持基盤であり、
その後は、ダアワ党の支持基盤となる。
  フセインは、対策として、
・都市での住宅提供
・地域開発・地方での雇用創出
・地方での国有農場プロジェクトによる帰農政策:完全な失敗に終わる
・公務員として採用(77年には都市流入民が公務員の46%を占める)
          (国防、治安、公共行政部門への労働力吸収)
 
・聖地で発生した74年暴動は、「70年代半ばにナジャフ、カルバラ地域を
  襲った旱魃に対する経済的な不満が起因している」「シーア派的特質よりも
  灌漑農業地帯としての南部の特質を、暴動背景として強調している」(p.248
・80年ダアワ党創設者サドル氏を処刑
・82年SCIRI発足

  <第五章>怒れる若者たち
「フセイン政権は、既存の政治的社会的エリート集団とそこから逸脱しそれに
  対して挑戦する可能性をもつ集団の、両方を巧妙に利用し、対抗させつつ相互
  に行動を抑制させ、大統領個人の権力の最大化を図った」(p.260)

「バアス党イラク支部は1955年時点で構成員の三分の一強が学生、63年に
  は半分以上にまで増加するほど若年層中心の政党であった。
  基本的にバアス党は青年の党として支持基盤を確立してきた」(p.262)
「67年時点ですら大学での大学生連盟選挙において共産党が多数派を獲得」
(p.271)
・イランとの戦時下において徴兵を回避するためにわざと留年するケースが多発
  「ただ出兵しなくてすむためだけの」私立大学の設立が相次ぐ
・イランとの戦時下で、男性労働力を補うため女性が職場に進出
・停戦後、エジプト人労働者との小競り合い

  そうした若年層の不満のはけ口がウダイの登場:
  スポーツ省と民兵組織とマスコミ
「職業軍人の国軍に対するカウンターバランスを起用してきたフセインの対軍
  政策と合致している。軍や党組織、または地域の部族社会でのヒエラルキーに
  おいて低い地位にいるがゆえに逸脱しかねない、と同時に昇進への近道が与え
  られれば容易にそれに引きつけられがちな青年層を、民兵組織の形で側近に
  起用していった」(p286)
「大統領を核としたネットワークが最も効果的に機能するのは、党や国家におい
  てすでに一定の特権を獲得している層に対してではなく、党や国家による支配
  体制のマージナルな部分におかれた存在、すなわち昇進を保証する位階集団に
  も属さず有力な部族・地縁的背景も持たない、ある意味で「寄る辺のない者た
  ち」に対してであった」(p.298)


  <終章>イラクであること、アラブであること
  91年蜂起に対して、バアス党は「シーア派=劣等宗派」と初めて掲載
「蜂起自体がむしろ超宗派的に拡大してイラク全土に波及する恐れが\xA4

「フセイン政権の支配構造」酒井啓子③

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 07:12 投稿番号: [105 / 5091]
  <第二部>
「イラクの南北差は、スンナ・シーアという宗教的原因よりも、社会経済上の
  構造的な差異、特に近代化の過程で発生した南北の経済格差によって生まれた
  要素のほうが強い」(p.195)
「南部の農業的特長は、灌漑のための大規模な設備投資を必要とする点にあり、
そのため大土地所有者による搾取が激しく、貧富格差の拡大が深刻」(p.196)
  したがって、イラク共産党の最大の支持基盤であった。
  バアス党としては、南部及び南部出身の低所得者層の社会的経済的不満に対し
て対処せざるを得ない


  <第四章>地方の貧困、都市の貧困
「87年の人口調査では、総人口の70%以上が都市部に集中」
  92年の最後の統計では人口1895万人。バグダードの人口は400万人
  (現在は約500万人と言われている)
  地方(特に南部農民=シーア派)からの人口流入によるもの
  (南部地域全県が人口流出県)
  バグダードへの都市流入者の81%が農民、66%が小作農

「地域的経済的格差をめぐる対立が宗派的対立軸に転化されがち」(p.202)
潤沢な石油収入を分配し、慰撫政策を取る。

・オスマントルコ行政下で部族長は地主化していた。
・共和制革命後の58年の農地改革の失敗による流出民の発生
・フセインによるサダム・シティ建設による低所得者用住宅は大家族に限定され
  たため、故郷から家族を呼び寄せるという都市流入を一層誘発。

バグダード流入者の離村「理由の第二位の「部族長の不正」は、南部地域のみ
ならず地方社会全般的に部族的、封建的慣習による社会的制約が強く、それを
嫌った住民が多い」「部族的社会的紐帯が、農村における地主・小作関係と
重なることで、部族民=小作農が二重に従属下に置かれる」(p.215)

  南部からのバグダード流入者は、イラク共産党の支持基盤であり、
その後は、ダアワ党の支持基盤となる。
  フセインは、対策として、
・都市での住宅提供
・地域開発・地方での雇用創出
・地方での国有農場プロジェクトによる帰農政策:完全な失敗に終わる
・公務員として採用(77年には都市流入民が公務員の46%を占める)
          (国防、治安、公共行政部門への労働力吸収)
 
・聖地で発生した74年暴動は、「70年代半ばにナジャフ、カルバラ地域を
  襲った旱魃に対する経済的な不満が起因している」「シーア派的特質よりも
  灌漑農業地帯としての南部の特質を、暴動背景として強調している」(p.248
・80年ダアワ党創設者サドル氏を処刑
・82年SCIRI発足

  <第五章>怒れる若者たち
「フセイン政権は、既存の政治的社会的エリート集団とそこから逸脱しそれに
  対して挑戦する可能性をもつ集団の、両方を巧妙に利用し、対抗させつつ相互
  に行動を抑制させ、大統領個人の権力の最大化を図った」(p.260)

「バアス党イラク支部は1955年時点で構成員の三分の一強が学生、63年に
  は半分以上にまで増加するほど若年層中心の政党であった。
  基本的にバアス党は青年の党として支持基盤を確立してきた」(p.262)
「67年時点ですら大学での大学生連盟選挙において共産党が多数派を獲得」
(p.271)
・イランとの戦時下において徴兵を回避するためにわざと留年するケースが多発
  「ただ出兵しなくてすむためだけの」私立大学の設立が相次ぐ
・イランとの戦時下で、男性労働力を補うため女性が職場に進出
・停戦後、エジプト人労働者との小競り合い

  そうした若年層の不満のはけ口がウダイの登場:
  スポーツ省と民兵組織とマスコミ
「職業軍人の国軍に対するカウンターバランスを起用してきたフセインの対軍
  政策と合致している。軍や党組織、または地域の部族社会でのヒエラルキーに
  おいて低い地位にいるがゆえに逸脱しかねない、と同時に昇進への近道が与え
  られれば容易にそれに引きつけられがちな青年層を、民兵組織の形で側近に
  起用していった」(p286)
「大統領を核としたネットワークが最も効果的に機能するのは、党や国家におい
  てすでに一定の特権を獲得している層に対してではなく、党や国家による支配
  体制のマージナルな部分におかれた存在、すなわち昇進を保証する位階集団に
  も属さず有力な部族・地縁的背景も持たない、ある意味で「寄る辺のない者た
  ち」に対してであった」(p.298)


  <終章>イラクであること、アラブであること
  91年蜂起に対して、バアス党は「シーア派=劣等宗派」と初めて掲載
「蜂起自体がむしろ超宗派的に拡大してイラク全土に波及する恐れが

「フセイン政権の支配構造」酒井啓子②

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 06:45 投稿番号: [104 / 5091]
  <第三章>「政治参加」の第一歩
「親政府・北部地縁集団間の連合体」
・国会:選挙権は18歳以上の男女・直接・無記名
     被選挙権は25歳以上の男女
  選挙準備高等委員会による資格審査あり
・80年第一回選挙:立候補者の40%、当選議員の80%がバアス党員
・84年第二回選挙:立候補者の27%、当選議員の40%がバアス党員
  ・イラクとの戦争の帰還兵100万人への雇用が不足
  ・東欧での民主化に対して事前に対策の必要
  ・不満を軽減すべく「上からの民主化」
  ・経済自由化政策により民間企業の活動が活発化したという背景
  ・党エリート、行政エリートから、有識集団へ
・89年選挙
  ・立候補者の「ラカブ(一族の姓)使用の普及」

「党に変わるものとしてアシーラ=部族」を置き換えたのではなく、党自体を
  アシーラ的意識のなかに組み込むことで、党ネットワークを利用すると同時に
  ラカブによって結び付けられたネットワークをも利用する」(p.147)  
  バアス党政権は従来は、ラカブ・アシーラを「封建性、前近代姓の名残」とし
  て公的使用を禁止してきたことを転換。

  ひとたび「党エリート幻想」がその機能を失ったと同時に、それに代わって
「地縁・部族エリート幻想」が表出

「アシーラ=部族」意識は、湾岸戦争後ますます大きくなる
「湾岸戦争をはさんで一斉に部族的ルーツ探しのブームが訪れたかのような様相
  を呈する」(p.148)

  91年「蜂起の最中に地方有力部族は蜂起に参加せず、むしろ政府を支持する
  姿勢を取った」、そのため、
「91年蜂起以降政府は党による制度的支配に消極的となり、親政府部族に地方
  統治を任せるようになった」(p.157)
・部族局という治安組織を設置
・地方社会の治安維持を部族の自衛に任せる
・部族青年への徴兵の免除
・部族長への免税措置
・部族法を復活し、部族長による長老会議を設置
  湾岸戦争後の経済制裁により部族の支配する闇交易に依存する必要性があった

・96年選挙:220議席に対して立候補689人。党員は160名全員が当選
・2000年選挙:立候補512人。党員は165人全員が当選
「アシーラを基盤にした社会支配がフセイン政権の重要な基盤を支えるように
  なっていたことを立候補者が十分自覚していた」
「アシーラにフセイン政権が何を期待しているのかを表明した「プロフィール」
  もしばしば見られる」(p.172)
「フセイン政権の下部政治エリートに参入するためには党のヒエラルキーに加わ
  っている必要がない、ということを明らかにした。その意味で、党の絶対的
  支配体制を相対化するものであったが、同時に、そうした党外から政権に参入
  するものに対しても党が「公認」という形で権威を与える存在である、という
  ことを強調して、党の政治的優位性を護持している」(p.174)

・スンナ派都市部で宗教者の立候補の増加=下部政治エリートへの参入
  南部シーア派では一切見られない

「党ヒエラルキーから外れている層や、既存のヒエラルキーでは中枢に到達する
  のが迂遠なため政権に対して政治的社会的不満を抱く層が、政権から離反しな
  いように、彼らを国会を通じて支配ネットワークのなかに組み込んでおくとい
  う目的もあった」(p.180)
  ただし、「党支配構造を代替すべきネットワークは党のように位階的なもので
  あってはならず」「フセイン自身が「忠誠」関係の解き結びを自由に行うこと
  ができるという意味で、フセインの絶対的権力の大きさをより浮き彫りにする
  もの」(p.180)
「アラブナショナリズムが、アラブ純血主義へと転換を見せながら、再活性化
  される「部族意識」と相互に支えあっていくものとなった」(p.181)

「フセイン政権の支配構造」酒井啓子②

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 06:45 投稿番号: [104 / 5091]
  <第三章>「政治参加」の第一歩
「親政府・北部地縁集団間の連合体」
・国会:選挙権は18歳以上の男女・直接・無記名
     被選挙権は25歳以上の男女
  選挙準備高等委員会による資格審査あり
・80年第一回選挙:立候補者の40%、当選議員の80%がバアス党員
・84年第二回選挙:立候補者の27%、当選議員の40%がバアス党員
  ・イラクとの戦争の帰還兵100万人への雇用が不足
  ・東欧での民主化に対して事前に対策の必要
  ・不満を軽減すべく「上からの民主化」
  ・経済自由化政策により民間企業の活動が活発化したという背景
  ・党エリート、行政エリートから、有識集団へ
・89年選挙
  ・立候補者の「ラカブ(一族の姓)使用の普及」

「党に変わるものとしてアシーラ=部族」を置き換えたのではなく、党自体を
  アシーラ的意識のなかに組み込むことで、党ネットワークを利用すると同時に
  ラカブによって結び付けられたネットワークをも利用する」(p.147)
  バアス党政権は従来は、ラカブ・アシーラを「封建性、前近代姓の名残」とし
  て公的使用を禁止してきたことを転換。

  ひとたび「党エリート幻想」がその機能を失ったと同時に、それに代わって
「地縁・部族エリート幻想」が表出

「アシーラ=部族」意識は、湾岸戦争後ますます大きくなる
「湾岸戦争をはさんで一斉に部族的ルーツ探しのブームが訪れたかのような様相
  を呈する」(p.148)

  91年「蜂起の最中に地方有力部族は蜂起に参加せず、むしろ政府を支持する
  姿勢を取った」、そのため、
「91年蜂起以降政府は党による制度的支配に消極的となり、親政府部族に地方
  統治を任せるようになった」(p.157)
・部族局という治安組織を設置
・地方社会の治安維持を部族の自衛に任せる
・部族青年への徴兵の免除
・部族長への免税措置
・部族法を復活し、部族長による長老会議を設置
  湾岸戦争後の経済制裁により部族の支配する闇交易に依存する必要性があった

・96年選挙:220議席に対して立候補689人。党員は160名全員が当選
・2000年選挙:立候補512人。党員は165人全員が当選
「アシーラを基盤にした社会支配がフセイン政権の重要な基盤を支えるように
  なっていたことを立候補者が十分自覚していた」
「アシーラにフセイン政権が何を期待しているのかを表明した「プロフィール」
  もしばしば見られる」(p.172)
「フセイン政権の下部政治エリートに参入するためには党のヒエラルキーに加わ
  っている必要がない、ということを明らかにした。その意味で、党の絶対的
  支配体制を相対化するものであったが、同時に、そうした党外から政権に参入
  するものに対しても党が「公認」という形で権威を与える存在である、という
  ことを強調して、党の政治的優位性を護持している」(p.174)

・スンナ派都市部で宗教者の立候補の増加=下部政治エリートへの参入
  南部シーア派では一切見られない

「党ヒエラルキーから外れている層や、既存のヒエラルキーでは中枢に到達する
  のが迂遠なため政権に対して政治的社会的不満を抱く層が、政権から離反しな
  いように、彼らを国会を通じて支配ネットワークのなかに組み込んでおくとい
  う目的もあった」(p.180)
  ただし、「党支配構造を代替すべきネットワークは党のように位階的なもので
  あってはならず」「フセイン自身が「忠誠」関係の解き結びを自由に行うこと
  ができるという意味で、フセインの絶対的権力の大きさをより浮き彫りにする
  もの」(p.180)
「アラブナショナリズムが、アラブ純血主義へと転換を見せながら、再活性化
  される「部族意識」と相互に支えあっていくものとなった」(p.181)

>イラクに原爆を

投稿者: nooncafe7 投稿日時: 2004/05/04 06:45 投稿番号: [103 / 5091]
すべての戦争被害者は人柱か、、
できれば君に真っ先になってほしかった。それで君自身を救えるのなら、

「フセイン政権の支配構造」酒井啓子①

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 06:44 投稿番号: [102 / 5091]
  「フセイン・イラク政権の支配構造」(酒井啓子:岩波書店)

  <はしがき>
「亡命した後でも、フセイン体制を弁護するような発言をする人々がいるが、
  彼らはフセインを弁護しているのではなく、自分たちがフセイン体制のもとで
  暮らした時間を弁護しているのだ」
「フセインを非難すればいいというものではない。反省すべきはフセインを生ん
  でしまったイラク社会の問題である。イラク人は皆、心のどこかに小さなフセ
  インを持っている。そうしたものを内在する社会構造自体から治していかなけ
  らばならない」(p.xii)


  <第一章>一党独裁から大統領個人崇拝へ
・68年バアス党革命:最初のコミュニケ「部族的性格の打破」
・72年石油産業国有化以降、欧米との関係悪化
・73年イラク共産党との共闘:
   欧米との関係悪化を打開する為に対ソ友好条約の締結の為に共産党を利用
   ソ連型重工業重視の計画経済の開始
・70年「3月宣言」:クルドの自治を認める交渉を開始、しかし交渉決裂
・75年イランとアルジェ協定:クルドを軍事力で鎮圧

「バアス党組織の特徴は、それが国民生活の末端にまで行き渡る党ヒエラルキー
  構造を確立し、大衆のコントロールに成功していること」(p.22)
68年バアス党革命は軍主導で行われたが、その後軍人排除政策が取られ、文民
主導となる。
「閣僚と党幹部、国家最高機関が重複する体制が成立」(p.28)
・79年フセイン大統領主任
  当初は、<対シリア合邦>か<対イラン革命対策>かの路線対立、後者の勝利
・79年イラク共産党非合法化
  石油収入の増大によりソ連に依存する必要性の激減による
・87年統制経済を廃し、経済自由化政策
  国家主導の計画経済政策を廃すということは、社会主義的国家機構、党ヒエラ
ルキーに依存しない、新たな機構を模索するということであり、その新たなもの
が、国会であった、その過程で同時にフセインの親族の政権登用を巧妙に実現。
党ヒエラルキーを経ない、フセイン個人との直接のバイパス作りでもあった。

・バアス党は63年まではシーア派党員も人口比存在したが、それ以降激減。
・バアス党初代大統領バクルとフセインともティクリート出身のアルブ・
  ナースィルという同族の親族関係、
「68年のバアス党革命は、ユーフラテス河上流閥の協力なしには成就でき
  なかった」(p.47)
「広域閥内でのライバル関係を利用して閥間バランスを維持」(p.51)
「バアス党政権はスンナ派三角地帯における「地縁閥連合体」」
・バアス党内での昇進のメルクマールはシーア派やクルド地域での統治能力
・バアス党の地方政策は地方社会の意向ではなく、中央からの統治・紛争処理に
  力点を置いている。


  <第二章>大統領親族の盛衰
「軍事産業委員会自体が、大統領親族が自分の権力基盤として短期間で築き上げ
  たというにはあまりに深く根を張った、構造的な存在」(p.96)
・91年湾岸戦争後の91年蜂起後、県知事には軍将校が任命、しかし、地域社
  会の細かい行政での統治には、部族勢力に依存せざるを得なかった。
  党・国家機関による支配網を再建する余裕がなかったため。
  96年以降、経済制裁の下での配給制を復活し、党・国家機構の再建
  これは<地方部族>と<党・国家機構>との力のバランス

「フセイン政権の支配構造」酒井啓子

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 06:44 投稿番号: [102 / 5091]
  「フセイン・イラク政権の支配構造」(酒井啓子:岩波書店)

  <はしがき>
「亡命した後でも、フセイン体制を弁護するような発言をする人々がいるが、
  彼らはフセインを弁護しているのではなく、自分たちがフセイン体制のもとで
  暮らした時間を弁護しているのだ」
「フセインを非難すればいいというものではない。反省すべきはフセインを生ん
  でしまったイラク社会の問題である。イラク人は皆、心のどこかに小さなフセ
  インを持っている。そうしたものを内在する社会構造自体から治していかなけ
  らばならない」(p.xii)


  <第一章>一党独裁から大統領個人崇拝へ
・68年バアス党革命:最初のコミュニケ「部族的性格の打破」
・72年石油産業国有化以降、欧米との関係悪化
・73年イラク共産党との共闘:
   欧米との関係悪化を打開する為に対ソ友好条約の締結の為に共産党を利用
   ソ連型重工業重視の計画経済の開始
・70年「3月宣言」:クルドの自治を認める交渉を開始、しかし交渉決裂
・75年イランとアルジェ協定:クルドを軍事力で鎮圧

「バアス党組織の特徴は、それが国民生活の末端にまで行き渡る党ヒエラルキー
  構造を確立し、大衆のコントロールに成功していること」(p.22)
68年バアス党革命は軍主導で行われたが、その後軍人排除政策が取られ、文民
主導となる。
「閣僚と党幹部、国家最高機関が重複する体制が成立」(p.28)
・79年フセイン大統領主任
  当初は、<対シリア合邦>か<対イラン革命対策>かの路線対立、後者の勝利
・79年イラク共産党非合法化
  石油収入の増大によりソ連に依存する必要性の激減による
・87年統制経済を廃し、経済自由化政策
  国家主導の計画経済政策を廃すということは、社会主義的国家機構、党ヒエラ
ルキーに依存しない、新たな機構を模索するということであり、その新たなもの
が、国会であった、その過程で同時にフセインの親族の政権登用を巧妙に実現。
党ヒエラルキーを経ない、フセイン個人との直接のバイパス作りでもあった。

・バアス党は63年まではシーア派党員も人口比存在したが、それ以降激減。
・バアス党初代大統領バクルとフセインともティクリート出身のアルブ・
  ナースィルという同族の親族関係、
「68年のバアス党革命は、ユーフラテス河上流閥の協力なしには成就でき
  なかった」(p.47)
「広域閥内でのライバル関係を利用して閥間バランスを維持」(p.51)
「バアス党政権はスンナ派三角地帯における「地縁閥連合体」」
・バアス党内での昇進のメルクマールはシーア派やクルド地域での統治能力
・バアス党の地方政策は地方社会の意向ではなく、中央からの統治・紛争処理に
  力点を置いている。


  <第二章>大統領親族の盛衰
「軍事産業委員会自体が、大統領親族が自分の権力基盤として短期間で築き上げ
  たというにはあまりに深く根を張った、構造的な存在」(p.96)
・91年湾岸戦争後の91年蜂起後、県知事には軍将校が任命、しかし、地域社
  会の細かい行政での統治には、部族勢力に依存せざるを得なかった。
  党・国家機関による支配網を再建する余裕がなかったため。
  96年以降、経済制裁の下での配給制を復活し、党・国家機構の再建
  これは<地方部族>と<党・国家機構>との力のバランス

「イラク建国:「不可能な国家」の原点」②

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 06:42 投稿番号: [101 / 5091]
「本来、超国家だったイスラームは、近代化の黎明とともに民族主義へ接近して
  いったのだ。イスラーム共同体(ウンマ)という概念しかなかったところに、
  はじめて国(ワタン)という概念が生まれたのである」

「実は、ベルもサッダームもブレマーも、手法こそ違え、同じことをしているに
  すぎない。多数派(シーア派)の封じ込めーデモクラシーの原理の否定が、
  アメリカの言う「イラク民主化」とはいかなる皮肉だろう」

「英国はオスマン帝国と同じく、近代法治を部族社会に接木できると考えていた
  。だが、外挿された国家は部族製と教団が一体化した存在を許容できない」

  クルドの雄ムスタファ・バルザーニーの「台頭と挫折には、この部族支配の
  限界の逆説が凝縮されている。しかしイラクという人工国家もまた、近代国家
  を薄皮のように貼りつけただけで、実態は非均質な部族制社会の割拠にすぎな
  い。とすれば「国父」を演じつづけたサッダームの強権も、君臨する必然があ
  ったことになる。米国の単純な「サッダーム悪玉論」はその逆説を見落として
  いた」


  <エピローグ>国家の原点
「戦後の治安悪化と統治混乱は、単にテロリストの流入や行政技術的な失態とい
  うより「国家の不可能」が露呈してきたからではないのか。「民主化」を旗印
  にしながら多数派(シーア派)を封じ込めなければならないというデモクラシ
  ーの根源的背理に、アメリカは何の解も与えることができない」

  民族国家という虚構
イラク:「初めは傀儡アラブ人王政、次はコミュニズムと結託した軍事独裁、
そして汎アラブの擬似社会主義政党(バース党)独裁、そしてサッダーム個人
崇拝の恐怖政治と強権支配が続いたのは、部族制の根強いこの地では近代西欧型
の完結した国民(民族)国家が不可能だからだ

「イラク建国:「不可能な国家」の原点」①

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 06:41 投稿番号: [100 / 5091]
  「イラク建国「不可能な国家」の原点」安部重夫(中公新書)840円+税

  「アラビアのロレンス」と共に、イギリスの諜報活動、政府統治顧問を担い、
「砂漠の女王」と呼ばれたガートルード・ベル女史を中心に、イラク建国に至る
話が展開する。

1919年パリ講和会議にベルもロレンスも出席し、アラブ人への約束を果たす
為に尽力するが、列強代表の横車の前で蹉跌を余儀なくされる。

1921年3月カイロ会議。植民地相チャーチルは、、ロレンス、東方秘書官ベ
ルを召集した。ベルはチャーチルにファイサルをイラク国王に提案する。ベルは
キルクーク油田の権益も考慮に入れ、地図に国境線を書き込んでいく。ロレンス
はクルディスタンは異質だと反対した。「この青二才!」ベルは怒鳴った。
この瞬間、新国家イラクの国境線は決定した。

  第一次大戦下、反英武装蜂起をイスラムの聖戦の名の下に組織しようとした
「ドイツのローレンス」たるヴァッスムスとニーダーマイヤーの活動もかなり
詳しく叙述されてる。
  しかし、アフガニスタンではイギリスの財政支援に競り負け、ペルシャ(現イ
ラン)南西部では一定の反英武装闘争を組織したことが描かれている。

  1920年のイラクでの反英武装蜂起に対して、ベルは、
「アラブ人にとって英軍は解放軍ではなく、しょせん新しい支配者が到来したに
  すぎない。面従腹背、おりあらば「どちらかの勝ち馬に乗ろう」という構えで
  ある」と称する。

「「父性」を欠いてはアラブは支配できない」

「彼女は見逃さなかった。ファイサルの政府の中核は、多くがメソポタミア出身
  のアラブ人から構成されている。彼らはもともとトルコの軍人で、近代式訓練
  を受け、欧化したアラブ人である。だが、軍の敗走とともに、ファイサルのも
  とに身を寄せたのだ」
「ベルはいち早く予見していた。将来、メソポタミアに誕生するアラブ政体は、
  彼ら軍人がきっと核になる」

  ベルは、語る、
「当地の唯一の活路は、はじめから(住民の)政治的願望を認めてやることです
  。われわれの鋳型にアラブ人を押し込めようとして、自縄自縛に陥らないよう
  にすることなのです」

  <死者の都>
「オアシス都市ナジャフはネクロポリス(死者の都)である。
  郊外は見渡す限り墓また墓なのだ。墓地は二十平方キロ以上あって、イスラー
  ム圏全土から運ばれた遺骸が安らっている。裕福なシーア派信徒は、死して後
  、この地に遺体を運んで葬ってもらうのが念願なのだ」
「ホメイニー革命後の米国歴代政権が試みたような、この双生児(ペルシャとメ
  ソポタミア)の分断策はやはり無理があるのだ。イラクに点在するシーア派の
  聖廟都市こそ、この国を「不可能な国家」にしてきた異空間であることが分か
  っていない。生と死を交換する砂漠の「気泡」ーナジャフのようなネクロポリ
  スは、近代国家を不可能にする「パンドラの箱」ではないか」
「ナジャフは一種の濾過装置と言っていい。国家が発芽する直前に、その共同幻
  想をハウザに転移してしまう。これは単なる国家観念の「未発達」ではない。
  聖廟都市という「禁制」が部族と国家のあいだに介在して国家として完結でき
  ず、ハウザを通してイランなど「外部」に開孔してしまう構図が見えてくる」
「ユーフラテス西岸地帯は、遊牧民を定住民に変える濾過装置の役を果たす」
「定住と漂流の「攪拌」」

  シーア派の最大イベントたるアーシュラーの祭礼が異様な狂熱を帯びるように
なったのは十九世紀後半からだという。
「これは、失われゆくベドウィンの荒ぶる魂の代償だったのだろう。ナジャフの
  アーシューラーは、遊牧から定住へ移行するシーア派社会そのものの劇化」
「ただ、それが国家という共同幻想の形成には、どこまでも障害となったことは
  否めない」

「イラク建国:「不可能な国家」の原点」

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 06:41 投稿番号: [100 / 5091]
  「イラク建国「不可能な国家」の原点」安部重夫(中公新書)840円+税

  「アラビアのロレンス」と共に、イギリスの諜報活動、政府統治顧問を担い、
「砂漠の女王」と呼ばれたガートルード・ベル女史を中心に、イラク建国に至る
話が展開する。

1919年パリ講和会議にベルもロレンスも出席し、アラブ人への約束を果たす
為に尽力するが、列強代表の横車の前で蹉跌を余儀なくされる。

1921年3月カイロ会議。植民地相チャーチルは、、ロレンス、東方秘書官ベ
ルを召集した。ベルはチャーチルにファイサルをイラク国王に提案する。ベルは
キルクーク油田の権益も考慮に入れ、地図に国境線を書き込んでいく。ロレンス
はクルディスタンは異質だと反対した。「この青二才!」ベルは怒鳴った。
この瞬間、新国家イラクの国境線は決定した。

  第一次大戦下、反英武装蜂起をイスラムの聖戦の名の下に組織しようとした
「ドイツのローレンス」たるヴァッスムスとニーダーマイヤーの活動もかなり
詳しく叙述されてる。
  しかし、アフガニスタンではイギリスの財政支援に競り負け、ペルシャ(現イ
ラン)南西部では一定の反英武装闘争を組織したことが描かれている。

  1920年のイラクでの反英武装蜂起に対して、ベルは、
「アラブ人にとって英軍は解放軍ではなく、しょせん新しい支配者が到来したに
  すぎない。面従腹背、おりあらば「どちらかの勝ち馬に乗ろう」という構えで
  ある」と称する。

「「父性」を欠いてはアラブは支配できない」

「彼女は見逃さなかった。ファイサルの政府の中核は、多くがメソポタミア出身
  のアラブ人から構成されている。彼らはもともとトルコの軍人で、近代式訓練
  を受け、欧化したアラブ人である。だが、軍の敗走とともに、ファイサルのも
  とに身を寄せたのだ」
「ベルはいち早く予見していた。将来、メソポタミアに誕生するアラブ政体は、
  彼ら軍人がきっと核になる」

  ベルは、語る、
「当地の唯一の活路は、はじめから(住民の)政治的願望を認めてやることです
  。われわれの鋳型にアラブ人を押し込めようとして、自縄自縛に陥らないよう
  にすることなのです」

  <死者の都>
「オアシス都市ナジャフはネクロポリス(死者の都)である。
  郊外は見渡す限り墓また墓なのだ。墓地は二十平方キロ以上あって、イスラー
  ム圏全土から運ばれた遺骸が安らっている。裕福なシーア派信徒は、死して後
  、この地に遺体を運んで葬ってもらうのが念願なのだ」
「ホメイニー革命後の米国歴代政権が試みたような、この双生児(ペルシャとメ
  ソポタミア)の分断策はやはり無理があるのだ。イラクに点在するシーア派の
  聖廟都市こそ、この国を「不可能な国家」にしてきた異空間であることが分か
  っていない。生と死を交換する砂漠の「気泡」ーナジャフのようなネクロポリ
  スは、近代国家を不可能にする「パンドラの箱」ではないか」
「ナジャフは一種の濾過装置と言っていい。国家が発芽する直前に、その共同幻
  想をハウザに転移してしまう。これは単なる国家観念の「未発達」ではない。
  聖廟都市という「禁制」が部族と国家のあいだに介在して国家として完結でき
  ず、ハウザを通してイランなど「外部」に開孔してしまう構図が見えてくる」
「ユーフラテス西岸地帯は、遊牧民を定住民に変える濾過装置の役を果たす」
「定住と漂流の「攪拌」」

  シーア派の最大イベントたるアーシュラーの祭礼が異様な狂熱を帯びるように
なったのは十九世紀後半からだという。
「これは、失われゆくベドウィンの荒ぶる魂の代償だったのだろう。ナジャフの
  アーシューラーは、遊牧から定住へ移行するシーア派社会そのものの劇化」
「ただ、それが国家という共同幻想の形成には、どこまでも障害となったことは
  否めない」
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