イラク戦争

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「フセイン政権の支配構造」酒井啓子②

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 06:45 投稿番号: [104 / 5091]
  <第三章>「政治参加」の第一歩
「親政府・北部地縁集団間の連合体」
・国会:選挙権は18歳以上の男女・直接・無記名
     被選挙権は25歳以上の男女
  選挙準備高等委員会による資格審査あり
・80年第一回選挙:立候補者の40%、当選議員の80%がバアス党員
・84年第二回選挙:立候補者の27%、当選議員の40%がバアス党員
  ・イラクとの戦争の帰還兵100万人への雇用が不足
  ・東欧での民主化に対して事前に対策の必要
  ・不満を軽減すべく「上からの民主化」
  ・経済自由化政策により民間企業の活動が活発化したという背景
  ・党エリート、行政エリートから、有識集団へ
・89年選挙
  ・立候補者の「ラカブ(一族の姓)使用の普及」

「党に変わるものとしてアシーラ=部族」を置き換えたのではなく、党自体を
  アシーラ的意識のなかに組み込むことで、党ネットワークを利用すると同時に
  ラカブによって結び付けられたネットワークをも利用する」(p.147)  
  バアス党政権は従来は、ラカブ・アシーラを「封建性、前近代姓の名残」とし
  て公的使用を禁止してきたことを転換。

  ひとたび「党エリート幻想」がその機能を失ったと同時に、それに代わって
「地縁・部族エリート幻想」が表出

「アシーラ=部族」意識は、湾岸戦争後ますます大きくなる
「湾岸戦争をはさんで一斉に部族的ルーツ探しのブームが訪れたかのような様相
  を呈する」(p.148)

  91年「蜂起の最中に地方有力部族は蜂起に参加せず、むしろ政府を支持する
  姿勢を取った」、そのため、
「91年蜂起以降政府は党による制度的支配に消極的となり、親政府部族に地方
  統治を任せるようになった」(p.157)
・部族局という治安組織を設置
・地方社会の治安維持を部族の自衛に任せる
・部族青年への徴兵の免除
・部族長への免税措置
・部族法を復活し、部族長による長老会議を設置
  湾岸戦争後の経済制裁により部族の支配する闇交易に依存する必要性があった

・96年選挙:220議席に対して立候補689人。党員は160名全員が当選
・2000年選挙:立候補512人。党員は165人全員が当選
「アシーラを基盤にした社会支配がフセイン政権の重要な基盤を支えるように
  なっていたことを立候補者が十分自覚していた」
「アシーラにフセイン政権が何を期待しているのかを表明した「プロフィール」
  もしばしば見られる」(p.172)
「フセイン政権の下部政治エリートに参入するためには党のヒエラルキーに加わ
  っている必要がない、ということを明らかにした。その意味で、党の絶対的
  支配体制を相対化するものであったが、同時に、そうした党外から政権に参入
  するものに対しても党が「公認」という形で権威を与える存在である、という
  ことを強調して、党の政治的優位性を護持している」(p.174)

・スンナ派都市部で宗教者の立候補の増加=下部政治エリートへの参入
  南部シーア派では一切見られない

「党ヒエラルキーから外れている層や、既存のヒエラルキーでは中枢に到達する
  のが迂遠なため政権に対して政治的社会的不満を抱く層が、政権から離反しな
  いように、彼らを国会を通じて支配ネットワークのなかに組み込んでおくとい
  う目的もあった」(p.180)
  ただし、「党支配構造を代替すべきネットワークは党のように位階的なもので
  あってはならず」「フセイン自身が「忠誠」関係の解き結びを自由に行うこと
  ができるという意味で、フセインの絶対的権力の大きさをより浮き彫りにする
  もの」(p.180)
「アラブナショナリズムが、アラブ純血主義へと転換を見せながら、再活性化
  される「部族意識」と相互に支えあっていくものとなった」(p.181)
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