「イラク戦争と自衛隊派遣」森本敏編①
投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2004/05/04 08:11 投稿番号: [123 / 5091]
「イラク戦争と自衛隊派遣」森本敏編(東洋経済)2100円
森本敏氏を含め六名の共著です。
森本氏は防衛大→防衛庁→外務省の方なんですが、私のとっては「朝までテレ
ビ」でお馴染みの方という印象を持っています。
アメリカの軍事的突出ということの内実を学びました。
・イラク戦争前から飛行禁止区域を設け、かつ空爆も行い、「航空優勢」の下、
偵察機からの情報や50を超える偵察衛星からの「情報を戦力化」し、ネット
ワークセントリック(指揮・通信・統制・コンピュータ・情報・偵察情報(C
4ISR)の共有化による戦場認識能力の向上に基づきタイム・センシティブ
・ターゲティング(TST):航空攻撃指示方式(約数十分単位にまで短縮)
これに精密誘導兵器や特殊作戦部隊を組み合わせていること。
・今後の米軍事戦略の方向性:前方展開兵力を縮小し、拠点=ハブと、ハブから
必要な時に、必要な部隊を即座に派遣する=スポークスという「ハブ&スポー
クス戦略」
・ハイテク技術の活用による軍事変革:これこそが「軍事革命」
これらのことを学んだことが私にとっての最大の収穫でした。
<はじめに>(森本氏)
「イラク戦争の大義が、(略)その理由・目的がイラクの大量破壊兵器を武装
解除することにあったとすれば、この点に関するイラク戦争の大義はないと
いうことになる」
「本書は、イラク戦争の真の理由は大量破壊兵器問題だけにあったのではない
という立場」
イラク戦争が途中から対テロ戦争へと変化した。
「フセイン側がイラク戦争の開始以前から、バグダッド陥落後の戦闘に重点を
置いて備えていたとしか考えられない」
「米国の一極主義、単独行動主義だけでは、困難な国際問題を解決し、国際秩序
を取り戻すことが不可能」
<第1章>イラク戦争の背景(森本氏)
「新しい戦争の始まりを示す代表的な冷戦後型戦争」
「途上国から見ても米国の新保守主義は覇権主義的傾向が強いことから、米国の
一極制は他の主要国や途上国から常に挑戦や反発を受ける」
「グローバル化の陰の部分が国際社会の安定と繁栄を損ないつつある」
「国家間の関係は『力の均衡』から『力の協調』へと変化し、軍事力よりもソフ
トパワーが重視されるようになっているが、同時に、『伝統的な同盟関係』
よりも、『価値観に基づく国家関係』が国際社会の主流を占めるようになり
つつある」
「日米同盟の再定義がナイ・イニシアティブの結論という形で明らかに」
この辺りの叙述は、パウエル国務長官の「パートナーシップ戦略」
(「論座」2月号収録)を彷彿とさせる叙述になっていると感じました。
「一般論として、テロ事件を宗教上の対立という観点からとらえることは誤り
である」
<第2章>米国のイラク戦争とイラク情勢(森本氏と大野氏)
イラク戦争に至る過程を時系列に沿って整理してくれていますので、きちんと
把握していなかった私としては、きちんと整除されていて復習になりました。
「イラクが化学剤を貯蔵していた可能性はあるが、化学兵器という形でいつでも
使用可能な状況にはなかった」
「イラク戦争の国際法上の根拠は確定されたものがない」
湾岸戦争後の経済制裁によって、高福祉産油国という「パトロン関係」の維持
が困難となり、フセインの独裁構造が崩壊し、中間層が消滅。
他方、地方部族は農業を経済基盤としていたため、制裁下の食糧不足に乗じて
、勢力を強める。フセインは部族に一定の地方自治を認めざるをえなかった。
96年からの「オイル・フォー・フード」がフセインを生き返らせた。
食糧配給システムを握ったフセインは、歴代のイラク政権が成し遂げることが
できなかった地方部族勢力を封じ込める。
また、人道物資の輸入先決定権を得たフセインは海外政府や企業とも政治的裏
取引を再開。私腹も肥やす。
こうして、フセイン政権は国内で唯一の『持てる者』になった。
<第3章>イラク戦争の作戦過程(森本氏と大野氏)
湾岸戦争後の「奇妙な秩序は、域内各国にとって好ましいものであったかも
しれないが、制裁と封じ込めの『つけ』は常にイラク国民が負っていた」
「フセイン政権の崩壊自体は、多くの国民に歓迎されるべきものであったかもし
れないが、、極めて強力な支配体制を築いていたフセイン政権の代替選択肢が
示されないままに戦争に突入することは、将来への不安を拡大させたに違いな
い」
これまでの20世紀型の戦争とは異なった新しい戦争のプロトタイプ
森本敏氏を含め六名の共著です。
森本氏は防衛大→防衛庁→外務省の方なんですが、私のとっては「朝までテレ
ビ」でお馴染みの方という印象を持っています。
アメリカの軍事的突出ということの内実を学びました。
・イラク戦争前から飛行禁止区域を設け、かつ空爆も行い、「航空優勢」の下、
偵察機からの情報や50を超える偵察衛星からの「情報を戦力化」し、ネット
ワークセントリック(指揮・通信・統制・コンピュータ・情報・偵察情報(C
4ISR)の共有化による戦場認識能力の向上に基づきタイム・センシティブ
・ターゲティング(TST):航空攻撃指示方式(約数十分単位にまで短縮)
これに精密誘導兵器や特殊作戦部隊を組み合わせていること。
・今後の米軍事戦略の方向性:前方展開兵力を縮小し、拠点=ハブと、ハブから
必要な時に、必要な部隊を即座に派遣する=スポークスという「ハブ&スポー
クス戦略」
・ハイテク技術の活用による軍事変革:これこそが「軍事革命」
これらのことを学んだことが私にとっての最大の収穫でした。
<はじめに>(森本氏)
「イラク戦争の大義が、(略)その理由・目的がイラクの大量破壊兵器を武装
解除することにあったとすれば、この点に関するイラク戦争の大義はないと
いうことになる」
「本書は、イラク戦争の真の理由は大量破壊兵器問題だけにあったのではない
という立場」
イラク戦争が途中から対テロ戦争へと変化した。
「フセイン側がイラク戦争の開始以前から、バグダッド陥落後の戦闘に重点を
置いて備えていたとしか考えられない」
「米国の一極主義、単独行動主義だけでは、困難な国際問題を解決し、国際秩序
を取り戻すことが不可能」
<第1章>イラク戦争の背景(森本氏)
「新しい戦争の始まりを示す代表的な冷戦後型戦争」
「途上国から見ても米国の新保守主義は覇権主義的傾向が強いことから、米国の
一極制は他の主要国や途上国から常に挑戦や反発を受ける」
「グローバル化の陰の部分が国際社会の安定と繁栄を損ないつつある」
「国家間の関係は『力の均衡』から『力の協調』へと変化し、軍事力よりもソフ
トパワーが重視されるようになっているが、同時に、『伝統的な同盟関係』
よりも、『価値観に基づく国家関係』が国際社会の主流を占めるようになり
つつある」
「日米同盟の再定義がナイ・イニシアティブの結論という形で明らかに」
この辺りの叙述は、パウエル国務長官の「パートナーシップ戦略」
(「論座」2月号収録)を彷彿とさせる叙述になっていると感じました。
「一般論として、テロ事件を宗教上の対立という観点からとらえることは誤り
である」
<第2章>米国のイラク戦争とイラク情勢(森本氏と大野氏)
イラク戦争に至る過程を時系列に沿って整理してくれていますので、きちんと
把握していなかった私としては、きちんと整除されていて復習になりました。
「イラクが化学剤を貯蔵していた可能性はあるが、化学兵器という形でいつでも
使用可能な状況にはなかった」
「イラク戦争の国際法上の根拠は確定されたものがない」
湾岸戦争後の経済制裁によって、高福祉産油国という「パトロン関係」の維持
が困難となり、フセインの独裁構造が崩壊し、中間層が消滅。
他方、地方部族は農業を経済基盤としていたため、制裁下の食糧不足に乗じて
、勢力を強める。フセインは部族に一定の地方自治を認めざるをえなかった。
96年からの「オイル・フォー・フード」がフセインを生き返らせた。
食糧配給システムを握ったフセインは、歴代のイラク政権が成し遂げることが
できなかった地方部族勢力を封じ込める。
また、人道物資の輸入先決定権を得たフセインは海外政府や企業とも政治的裏
取引を再開。私腹も肥やす。
こうして、フセイン政権は国内で唯一の『持てる者』になった。
<第3章>イラク戦争の作戦過程(森本氏と大野氏)
湾岸戦争後の「奇妙な秩序は、域内各国にとって好ましいものであったかも
しれないが、制裁と封じ込めの『つけ』は常にイラク国民が負っていた」
「フセイン政権の崩壊自体は、多くの国民に歓迎されるべきものであったかもし
れないが、、極めて強力な支配体制を築いていたフセイン政権の代替選択肢が
示されないままに戦争に突入することは、将来への不安を拡大させたに違いな
い」
これまでの20世紀型の戦争とは異なった新しい戦争のプロトタイプ
これは メッセージ 89 (imonoyamashotengai さん)への返信です.
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