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1939年9月3日 ノモンハン45 攻勢中止命令

投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2013/01/14 16:27 投稿番号: [2181 / 2250]
辻正信著   「ノモンハン秘史」   毎日ワンズ
261〜263p


《 三十一日以後の戦場は平穏で、第六軍はひたすら爾後の攻勢作戦を準備し、

第一線の師団もまた復仇の観念に燃え、夜襲突破の訓練に余念がなかった。

上下一致して必勝の成果を収めようと喜び勇んでいたとき、

九月三日突然、次のような大命を受けた。僅かに三日の後である。



関東軍司令官宛                 参謀総長

大陸命第三四九号

      命令


一、情勢に鑑み大本営は爾今ノモンハン方面国境事件の自主的終結を企図す。

二、関東軍司令官はノモンハン方面に於ける攻勢作戦を中止すべし。

   之がため戦闘の発生を防止し得る如く、

   まづ兵力をハルハ河右岸地区繋争地域(ハンダガヤ付近以東を除く)外に、

   適宜離隔して位置せしむべし。

   航空作戦に関しては、状況己むを得ざれば大陸命第三三六号によるべし。

   作戦軍主力を原駐地に帰還せしむべき時期は迫って命ず。



  全く意外。朝令暮改の真因は那辺   (なへん)   にあるかの判断に苦しんだ。

  九月四日、中島次長は再び飛来した。

  次長に対し、軍司令官は謹厳な態度を以て臨んだ。

「大命は謹んで奉じます」



  次長は次の参謀総長の御言葉を伝えた。

「大陸命第三四九号に基づき隠忍自重、他日の雪辱を期し、

克   (よ)   く上下を抑制して時局の収拾に善処せんことを切望す。

欧州情勢の急迫に鑑み、今後日ソ一般国交調整、

とくに国境保全の外交交渉を行う予定なるも、停戦交渉は行わざる主義なり」



植田軍司令官   「ついては一つお願いがあります。

   攻勢作戦は大命に基づき中止しますが、第二十三師団の屍体収容は

   まだできていません。是非これだけやらせていただきたい」

参謀次長   「これさえも御許しにならないのが、大命の趣旨です」

軍司令官   「屍体収容のための戦闘が、持久戦にならないように、

   私が自ら戦場に出てその責任に任じますから、

   最小限度の戦場掃除だけでも御許しを願いたい」



参謀次長   「それは大命の趣旨に反します」

軍司令官   「大命を拝し恐懼   (きょうく)   に堪えません。

   事茲   (ここ)   に至りましたのは、全く軍司令官一人の責任です。

   もはや戦場整理案も御許しなき以上、自分がこのまま職に留まることはできません。

   一刻も早く後任司令官を御任命になり、事件を収拾せられることを希望します。

   また一切の責任は司令官一人です。参謀長以下はよく自分の意図を体して、

   行動したのでこれに責任の及ばないよう取り計らって下さい」



参謀次長   「軍司令官の御希望は、直ちにこれを伝達します。

   中央部の自分としても大いに責任を感じています」

軍司令官   「中央部に責任はありません。私一人の責任です」


つづく
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