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1937年12月12日 第16師団佐々木隊の戦い1

投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2012/09/06 18:32 投稿番号: [1877 / 2250]
《 佐々木倒一少将の日記
十二月十二日


終夜咳が甚しくて睡つては醒   (さ)   めして安眠が取れず、

一個月来の作戦に疲労したからだにはかなりこたへた。

早朝起きて見たが頭が割れるばかりに痛みどうにもならず、

重大時期にと考へて見ても重い頭はやはり重い。

「副官、困つたな。これでは何も考へられん」

「お休みください、ご計画通り吾   (われ)   々でやりますから」

「うむ」



藁   (わら)   の中に寝転んで見たが激しい銃砲声を聞いては寝ては居れない

午前十時頃に至り遂に意を決して飛出し銀孔山に指揮所を進めた。

塹壕やその後方の斜面は実に夥   (おびただ)   しい敵の死体である。

部隊は昨夜命じた部署に就いて曹長から敵の主陣地帯を攻撃してゐる、

今日中に之を攻略しなければ敵の退路を遮断することができない。

そう考へるから病気なんかの為寝てはゐられなかつたのである。



見ると前面近くの高地に三八長が突ッ立つて督戦してゐる、

(やつて居るな)   併   (しか)   し予は直ぐさま電話を以て

「軽挙はするな」   と云つてやつたのである。

指揮官の勇敢なる態度は必要であるが、高い姿勢は敵弾を吸収する、

そして損害を受けるものは周囲にゐる者である。

だがこゝにも高い姿勢が敵陣地を注視してゐ敵の小銃弾が盛んにやつてくる。



鳥竜山砲台から又撃つてくる、高地の稜線後にゐても砲台からは丸見えである。

又この砲台の高射砲は最後迄我軍の飛行機を射撃してゐた、

三門斉発の射弾が丁度吾々の頭上に炸裂するのを凄〃見た。


我十加   (10センチ・キャノン砲か?)   が一万米の射距離で制圧射撃を始めた。

観測所が現在同じ所に在るので砲撃の結果を刻〃知ることができる。

命中弾を得たと云つてゐた。 》


つづく
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