7月29日 通州虐殺事件3−1
投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2010/12/29 18:55 投稿番号: [682 / 2250]
浜口特務機関員兄妹の死1
寺平忠輔著 『日本の悲劇 盧溝橋事件』 読売新聞社刊
383〜385p
《 次にもう一人、通州特務機関員、浜口良二氏の夫人、
茂子さんから当時の模様をきいてみよう。
主人は機関の方のお仕事が忙しいため、そのころは連日連夜、
特務機関に詰め切っておりました。
私は二十八日の夜、同じく特務機関にタイピストとしてお勤めしておりました主人の妹、
文子さんと、枕を並べて寝ておりましたところ、
明け方近く、突然、パンパーンという激しい銃声が始まりました。
これが冀東保安隊の反乱だなどとは、どうして想像いたしましょう。
私はお近くの安田さんの奥さんやその他の方々と
「これはきっと宝通寺にいた二十九軍の敗残兵が、
意趣返しにやって来たに違いありませんワ。ナーニ、
「守備隊には日本の兵隊さんがいらっしゃるし、城内には城内で、
冀東の保安隊が沢山いるんだから、私達、親船に乗った気持でいればいいのよ。
この機会に、ちょっと戦争見物でもさせていただきましょうか」
など話し会って、コワイ中にもお互い励ましあっておりました。
ところが銃声は下火になるどころか、ますます激しさを加えて参ります。
そしてだんだん私共の家の方に近づいて来る事がわかって来ました。
一人の奥さんが 「ちょっと外の様子を確かめてみましょう」 と、表の戸を
開けたとたん、ビュッ、と飛んで来た一発の小銃弾で、負傷なさってしまいました。
間もなくその敵兵は、門を壊し土塀を乗り越え、ドヤドヤ家の中へとび込んで参りました。
そのカーキ色の服を見た時 「アラッ!冀東の保安隊じゃない?」
私達は覚えず声を挙げて驚くと同時に、にわかに怖ろしさが増して来ました。
今の今まで、何よりの味方と信頼し切っていたその保安隊に、
スッカリ裏切られてしまったんですもの!
小銃、拳銃の弾が情け容赦なく、パンパン私共の方に注がれて参ります。
一緒に集まっていた方々が、私の眼の前でバタバタ斃 (たお) されて行くのです。
私が実の妹のように可愛がっていた文子さんも、とうとうやられてしまいました。
私も一発、右腹部に弾をうけましてその場に倒れてしまいました。
保安隊は片ッ端から掠奪を始めています。私と安田さんの奥さんとは、
真っ赤に返り血を浴びて倒れていましたため、多分もう死んだとでも思ったのでしょう。
それでも大刀で私の肩を小突きながら 「死んだか。死んだか」
と確かめているのです。
ちょっとでも動いたらバッサリやられてしまうんですから、
私はもう、本当に息を殺して死んだ風を装っておりました。
そしたら保安隊の一人が、突然、私の指輪を、指も千切れんばかりにもぎ取りました。
次に腕時計を剥ぎ取りました。
他の方々の死体を彼方 (あっち) に転がしたり此方 (こっち) に転がしたりして、
まだ何か金目のものはないかと探しているらしいのです。》
つづく
寺平忠輔著 『日本の悲劇 盧溝橋事件』 読売新聞社刊
383〜385p
《 次にもう一人、通州特務機関員、浜口良二氏の夫人、
茂子さんから当時の模様をきいてみよう。
主人は機関の方のお仕事が忙しいため、そのころは連日連夜、
特務機関に詰め切っておりました。
私は二十八日の夜、同じく特務機関にタイピストとしてお勤めしておりました主人の妹、
文子さんと、枕を並べて寝ておりましたところ、
明け方近く、突然、パンパーンという激しい銃声が始まりました。
これが冀東保安隊の反乱だなどとは、どうして想像いたしましょう。
私はお近くの安田さんの奥さんやその他の方々と
「これはきっと宝通寺にいた二十九軍の敗残兵が、
意趣返しにやって来たに違いありませんワ。ナーニ、
「守備隊には日本の兵隊さんがいらっしゃるし、城内には城内で、
冀東の保安隊が沢山いるんだから、私達、親船に乗った気持でいればいいのよ。
この機会に、ちょっと戦争見物でもさせていただきましょうか」
など話し会って、コワイ中にもお互い励ましあっておりました。
ところが銃声は下火になるどころか、ますます激しさを加えて参ります。
そしてだんだん私共の家の方に近づいて来る事がわかって来ました。
一人の奥さんが 「ちょっと外の様子を確かめてみましょう」 と、表の戸を
開けたとたん、ビュッ、と飛んで来た一発の小銃弾で、負傷なさってしまいました。
間もなくその敵兵は、門を壊し土塀を乗り越え、ドヤドヤ家の中へとび込んで参りました。
そのカーキ色の服を見た時 「アラッ!冀東の保安隊じゃない?」
私達は覚えず声を挙げて驚くと同時に、にわかに怖ろしさが増して来ました。
今の今まで、何よりの味方と信頼し切っていたその保安隊に、
スッカリ裏切られてしまったんですもの!
小銃、拳銃の弾が情け容赦なく、パンパン私共の方に注がれて参ります。
一緒に集まっていた方々が、私の眼の前でバタバタ斃 (たお) されて行くのです。
私が実の妹のように可愛がっていた文子さんも、とうとうやられてしまいました。
私も一発、右腹部に弾をうけましてその場に倒れてしまいました。
保安隊は片ッ端から掠奪を始めています。私と安田さんの奥さんとは、
真っ赤に返り血を浴びて倒れていましたため、多分もう死んだとでも思ったのでしょう。
それでも大刀で私の肩を小突きながら 「死んだか。死んだか」
と確かめているのです。
ちょっとでも動いたらバッサリやられてしまうんですから、
私はもう、本当に息を殺して死んだ風を装っておりました。
そしたら保安隊の一人が、突然、私の指輪を、指も千切れんばかりにもぎ取りました。
次に腕時計を剥ぎ取りました。
他の方々の死体を彼方 (あっち) に転がしたり此方 (こっち) に転がしたりして、
まだ何か金目のものはないかと探しているらしいのです。》
つづく
これは メッセージ 681 (kireigotowadame さん)への返信です.