盧溝橋事件48 秦徳純との会談4
投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2010/08/19 18:34 投稿番号: [542 / 2250]
寺平忠輔著 『日本の悲劇
盧溝橋事件』 読売新聞社刊
184〜185p
《 私はこの話を聞きながら、人情という字、面子という字を指先で卓の上に
書いてみた。!いやしくも交渉内容に人情だとか面子だとか、
こんな問題を持ち込んでくるようになったらもうおしまいだ。
秦徳純が話し終るや否や、私は直ちに反撃に転じた。
「いま、あなたは最後の理由と前提されて、人情論面子論を持ち出してこられました。
しかし今、金振中一個の問題にこだわって、この不拡大交渉が停頓したら、
貴国側は今後、長辛店、保定、石家荘、鄭州、あるいはもっと南の方から京漢線を通じ、
大兵団を続々この戦場に送ってくる事になるでしょう。
また一方、日本軍もこれは放っておけぬと、天津軍の全兵力がこの戦場に
注ぎ込まれる事はもちろん、さらに続いて関東軍が長城線を突破してとび込んで来る。
やがて朝鮮軍や内地師団あたりが続々これに増加して来て戦線を拡大し始めたら、
それこそ東部戦場、西部戦場というような事になり、
つまりは日華両国の全面的衝突という、最も悲しむべき事態にまで、
進展しないとだれが保証出来ますか?
最後に一言、申し上げますが、現地指揮官たる金振中営長は、
この第一案には絶対賛成の意を表しているんです。
すぐにでも実行に移したいが上司の命令がない限りそれが出来ない。
馮師長から実行命令が下りさえすれば、喜んで宛平城を開放し、
率先して和平解決の動機を作り出したいといっているのです。
いわばこの第一案は、日本側一方的の案じゃ決してない。
現地における日華両軍合同作製の案といっても何等差し支えないのです。
残された問題は、この現地案をブチ毀すおつもりなのか、護り立てるおつもりなのか、
唯この一点だけです。
どうかよくよくご考慮になって頂きたい」
秦徳純はとうとう、本当に腕を阻んで考え込んでしまった。
しばらくするとようやく口を開いて、
「ただいまのお話、あなたの条理をつくしたご説明によって、
事件の本質というものが非常によく了解出来ました。
ただ、事は極めて重大ですから、私一個の考えだけでも決定致し兼ねます。
どうかもう暫くお待ち下さい。
いま、別室で、綏靖公署の連中と、二十九軍首脳者とが、会議を開いている最中ですから、
あなたのご意見を、一応みんなと相談してみることに致します」
秦徳純は座を起って、会議室の方へ消えて行った。》
つづく
これは メッセージ 541 (kireigotowadame さん)への返信です.
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