盧溝橋事件48 秦徳純との会談2
投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2010/08/17 18:32 投稿番号: [540 / 2250]
寺平忠輔著 『日本の悲劇
盧溝橋事件』 読売新聞社刊
181〜182p
《「ではおたずねします。現に金振中営長や桜井顧問が今朝程来、
声を枯らして射撃中止を叫んでいるんですが、
ヤレ日本軍の斥候が出て来ただの、ヤレ中国軍の一部が出撃して来ただのいって、
この地区での射ち合いはいつまでたっても止もうとしないのです。
この点は現地の情況を一度ご覧になったら一番よくわかると思います。
したがって、ただいまおっしゃった西五里店案は、現地の実情に即しない、
姑息な、そしてまた非常に効果不徹底な案なのです」
「そうなりますかなあ! それで?」
「私のお話する案というのは、決して一方だけに偏しない、即ち中国側だけに
撤退を要求しておいて、日本側はノホホンとしているような案じゃない。
私の方も多数犠牲者を出し、またズブ濡れにまでなってようやく進出した西岸陣地、
これを捨てて東岸に下るというんです。第一線としてはなかなかツライ仕事ですよ。
それというのも不拡大に徹底したい。即ち二十九軍はあくまで友軍であって敵ではない
という信念から、忍び難いところもこの際あえて忍ぼうという考えからなんです」
「しかしそういわれれば、盧溝橋にいる二十九軍だって、
これは昨年九月まで豊台におった部隊なんですよ。
それが豊台事件の時に、前の特務機関長松室少将や天津軍方面の強硬なご意見で、
今の盧溝橋宛平城まで撤退したわけなんです。
それをさらにまた永定河の西まで引き下れといわれるのですか?
河の西は原ッパばかりで、兵の寝泊まりする家なんか一軒だってありはしない」
「家がないって、それは日本軍だって同じことです。宛平城北側の原ッパで
野ざらしになっているんですからお互い様です。
それに私が今述べている撤退案は、永久駐屯とか何とか、
そんな事を意味しているんじゃ決してない。
今日の事件だけを丸く納めるための一時的対策、臨機の措置便法なんです。
この点、よくよくお考えになっていただきたい」
「第二案というのは、いよいよあなたの方で第一案受諾し難しという場合に
起ってくる問題なんです。第一案、いよいよ放棄に決定されますか?」
「ハハハ……まあのちほど、また改めて研究は致しますが、
ともかく第二案の方も一つ伺っておきましょう」
「じゃあお話します。中国軍がどうしても宛平城から撤退しないという事になる。
この際日本軍指揮官としての決心、もちろん宛平城を攻撃するという事になるでしょう。
つまり武力によって中国軍と永定河の西に移動させるというわけですね。
そうなると今日、現に私がこの目で見て来た情況なんですが、
宛平城内にはまだ非常に沢山の住民が住んでいます。お爺さんお婆さん女子供、
王冷斉県長に聞いてみたら優に二千人はいるだろうという事です。
あの罪とがもない一般民衆か砲撃の目標にさらす事は、日本軍としてどうしたって
出来ません。そこであの住民をどこか城外の適当な場所に避難させていただきたいんです」
「それは何時までにですか?」
「あなたの方で第一案を放棄と決定されたら即刻」
「その避難が完了したら直ちに、日本軍は宛平県城の攻撃を開始する、
というわけですな」
「そうです。その攻撃開始の時期がすぐになるかもう少し延びるか、
その点は私にはわかりません。
第一線部隊長がしかるべく決定する事になるでしょうから。」》
つづく
181〜182p
《「ではおたずねします。現に金振中営長や桜井顧問が今朝程来、
声を枯らして射撃中止を叫んでいるんですが、
ヤレ日本軍の斥候が出て来ただの、ヤレ中国軍の一部が出撃して来ただのいって、
この地区での射ち合いはいつまでたっても止もうとしないのです。
この点は現地の情況を一度ご覧になったら一番よくわかると思います。
したがって、ただいまおっしゃった西五里店案は、現地の実情に即しない、
姑息な、そしてまた非常に効果不徹底な案なのです」
「そうなりますかなあ! それで?」
「私のお話する案というのは、決して一方だけに偏しない、即ち中国側だけに
撤退を要求しておいて、日本側はノホホンとしているような案じゃない。
私の方も多数犠牲者を出し、またズブ濡れにまでなってようやく進出した西岸陣地、
これを捨てて東岸に下るというんです。第一線としてはなかなかツライ仕事ですよ。
それというのも不拡大に徹底したい。即ち二十九軍はあくまで友軍であって敵ではない
という信念から、忍び難いところもこの際あえて忍ぼうという考えからなんです」
「しかしそういわれれば、盧溝橋にいる二十九軍だって、
これは昨年九月まで豊台におった部隊なんですよ。
それが豊台事件の時に、前の特務機関長松室少将や天津軍方面の強硬なご意見で、
今の盧溝橋宛平城まで撤退したわけなんです。
それをさらにまた永定河の西まで引き下れといわれるのですか?
河の西は原ッパばかりで、兵の寝泊まりする家なんか一軒だってありはしない」
「家がないって、それは日本軍だって同じことです。宛平城北側の原ッパで
野ざらしになっているんですからお互い様です。
それに私が今述べている撤退案は、永久駐屯とか何とか、
そんな事を意味しているんじゃ決してない。
今日の事件だけを丸く納めるための一時的対策、臨機の措置便法なんです。
この点、よくよくお考えになっていただきたい」
「第二案というのは、いよいよあなたの方で第一案受諾し難しという場合に
起ってくる問題なんです。第一案、いよいよ放棄に決定されますか?」
「ハハハ……まあのちほど、また改めて研究は致しますが、
ともかく第二案の方も一つ伺っておきましょう」
「じゃあお話します。中国軍がどうしても宛平城から撤退しないという事になる。
この際日本軍指揮官としての決心、もちろん宛平城を攻撃するという事になるでしょう。
つまり武力によって中国軍と永定河の西に移動させるというわけですね。
そうなると今日、現に私がこの目で見て来た情況なんですが、
宛平城内にはまだ非常に沢山の住民が住んでいます。お爺さんお婆さん女子供、
王冷斉県長に聞いてみたら優に二千人はいるだろうという事です。
あの罪とがもない一般民衆か砲撃の目標にさらす事は、日本軍としてどうしたって
出来ません。そこであの住民をどこか城外の適当な場所に避難させていただきたいんです」
「それは何時までにですか?」
「あなたの方で第一案を放棄と決定されたら即刻」
「その避難が完了したら直ちに、日本軍は宛平県城の攻撃を開始する、
というわけですな」
「そうです。その攻撃開始の時期がすぐになるかもう少し延びるか、
その点は私にはわかりません。
第一線部隊長がしかるべく決定する事になるでしょうから。」》
つづく
これは メッセージ 539 (kireigotowadame さん)への返信です.