盧溝橋事件46 参謀本部不拡大の指示
投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2010/08/14 11:01 投稿番号: [536 / 2250]
戦史叢書 『支那事変
陸軍作戦1』 155〜156p
《 参謀本部は、事態必ずしも軽視すべきでないと見て、八日十八時四十二分、
支那駐屯軍司令官あて、臨命第四〇〇号をもって次の指示を発した。
指 示
事件ノ拡大ヲ 防止スル為 更ニ進ンテ 兵力ヲ行使スルコトヲ 避クヘシ
不拡大方針決定の考えについて石原少将 (のち中将) は次のように回想している。
不拡大の決心をするため重大な関係をもつものは対ソ戦の見通しであった。
すなわち対支戦争が長期戦となりソ連が対日参戦するようになれば、
目下の日本はこれに対する戦争準備ができていない。
しかるに責任者の中には満州事変のように今度の事変もあっさり片付け得る
という通念をもつ者があったが、これは支那の国民性をわきまえないものである。
近時殊に綏遠事件によって支那側を増長させているので、
事を構えれば全面戦争になると確信していた。
事変が始まると間もなく傍受電により孔祥煕が数千万円の武器注文を
どしどしやるので、支那の抵抗決意はなみなみでないことを察知した。
この際戦争になれば行く所まで行くと判断したので、極力戦争を避けたいと思っていた。
また当時軍務課長であった柴山兼四郎大佐 (のち中将) は次のように述べている。
不拡大方針には陸軍部内にも相当の反対があり、
この方針の完遂には相当の困難が予見された。
しかし当時軍は着々軍の内容を充実し、殊に空軍兵カの増強を企図し、
北満に一二五中隊を設置する案を立て、当時の国家財政から見れば、
膨大な予算を見込まれる三十数億の軍事費を政府に要求する案を
審議しつつあったのである。
従ってこの軍の充実を待ってすべての問題を解決するも遅くはない。
それにかくすることにより対支問題は武力に訴えなくとも解決する道はなくない。
一方、今まさに建設途上にある満州国の建設は武力行使により頓挫 (とんざ) する
ことになり、これが将来の国力培養に影響するところ極めて大なるものがある。
第三に、もし本事件を拡大するときは、蒋介石はどこまでも抵抗を続ける
であろうことは想像に難くない。
こうなると、まるでどろ田に脚をつっこんだと同じで、
結局抜き差しならなくなるおそれがたぶんにある。
この間、日本の疲弊するのを待ち受けソ連の対日宣戦ということも
考えておかねばならぬ。
それだけでなく事件の進展に伴い、あるいはついに英、米の対日戦参加という
ことにならぬとも限らぬ。もしこのような事になっては一大事である。
以上のような理由で、なんとしてもこれを本格的日支戦争にならぬよう
努力することとなった。
八日深更、陸軍大臣(杉山元大将−12期)は、京都以西の各師団に対し、
七月十日定例除隊すべき歩兵聯隊二年兵の除隊延期を命じた。
これにより在営者四万の増加を期待できることになった。
海軍中央部は、八日、中国側の不穏な動静及び事件に対する陸軍の態度にかんがみ、
事件拡大の場合を考慮し、軍令部の方針に基づき、とりあえず、
(一) 台湾方面で演習中の第三艦隊の復帰、
(二) 事件の拡大に備える警備の強化、刺激的行動の禁止、
(三) 対支応急派兵待機兵力の準備などに着手した。》
《 参謀本部は、事態必ずしも軽視すべきでないと見て、八日十八時四十二分、
支那駐屯軍司令官あて、臨命第四〇〇号をもって次の指示を発した。
指 示
事件ノ拡大ヲ 防止スル為 更ニ進ンテ 兵力ヲ行使スルコトヲ 避クヘシ
不拡大方針決定の考えについて石原少将 (のち中将) は次のように回想している。
不拡大の決心をするため重大な関係をもつものは対ソ戦の見通しであった。
すなわち対支戦争が長期戦となりソ連が対日参戦するようになれば、
目下の日本はこれに対する戦争準備ができていない。
しかるに責任者の中には満州事変のように今度の事変もあっさり片付け得る
という通念をもつ者があったが、これは支那の国民性をわきまえないものである。
近時殊に綏遠事件によって支那側を増長させているので、
事を構えれば全面戦争になると確信していた。
事変が始まると間もなく傍受電により孔祥煕が数千万円の武器注文を
どしどしやるので、支那の抵抗決意はなみなみでないことを察知した。
この際戦争になれば行く所まで行くと判断したので、極力戦争を避けたいと思っていた。
また当時軍務課長であった柴山兼四郎大佐 (のち中将) は次のように述べている。
不拡大方針には陸軍部内にも相当の反対があり、
この方針の完遂には相当の困難が予見された。
しかし当時軍は着々軍の内容を充実し、殊に空軍兵カの増強を企図し、
北満に一二五中隊を設置する案を立て、当時の国家財政から見れば、
膨大な予算を見込まれる三十数億の軍事費を政府に要求する案を
審議しつつあったのである。
従ってこの軍の充実を待ってすべての問題を解決するも遅くはない。
それにかくすることにより対支問題は武力に訴えなくとも解決する道はなくない。
一方、今まさに建設途上にある満州国の建設は武力行使により頓挫 (とんざ) する
ことになり、これが将来の国力培養に影響するところ極めて大なるものがある。
第三に、もし本事件を拡大するときは、蒋介石はどこまでも抵抗を続ける
であろうことは想像に難くない。
こうなると、まるでどろ田に脚をつっこんだと同じで、
結局抜き差しならなくなるおそれがたぶんにある。
この間、日本の疲弊するのを待ち受けソ連の対日宣戦ということも
考えておかねばならぬ。
それだけでなく事件の進展に伴い、あるいはついに英、米の対日戦参加という
ことにならぬとも限らぬ。もしこのような事になっては一大事である。
以上のような理由で、なんとしてもこれを本格的日支戦争にならぬよう
努力することとなった。
八日深更、陸軍大臣(杉山元大将−12期)は、京都以西の各師団に対し、
七月十日定例除隊すべき歩兵聯隊二年兵の除隊延期を命じた。
これにより在営者四万の増加を期待できることになった。
海軍中央部は、八日、中国側の不穏な動静及び事件に対する陸軍の態度にかんがみ、
事件拡大の場合を考慮し、軍令部の方針に基づき、とりあえず、
(一) 台湾方面で演習中の第三艦隊の復帰、
(二) 事件の拡大に備える警備の強化、刺激的行動の禁止、
(三) 対支応急派兵待機兵力の準備などに着手した。》
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