盧溝橋事件33 両軍の引離し策を考える
投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2010/07/29 18:24 投稿番号: [521 / 2250]
この前の段階省略
(日本軍は永定河の西岸にまで達し、金振中と桜井顧問は
撃ち方やめを言いに行ったが、桜井顧問は諦めて城内に戻って来た)
寺平忠輔著 『日本の悲劇
盧溝橋事件』 読売新聞社刊
150〜151p
《 私は、眺 (なが) めるともなしに盧溝橋一帯の地図をジーッと見つめていたが、
やがてふと、思いついたように語り出した。
「日本軍が河の西岸までとりついてしまったという事になると、これはどうやら、
相当拡大の可能性が強くなってきたようですね。
昼間は現状のままで相対峠している事も出来ますが、
夜に入ったら西岸は西岸でいがみ合いを始めるし、
東岸は東岸でこの宛平城を中心に、両軍いくさを始める事になる。
そうなったら本当に収拾つかんものになってしまいますよ」
「ウン、その可能性は確かにあるね」
「せめて日本軍は河の東岸、中国軍は河の西岸、というふうにでもハッキリ分ける事が
出来たら、不拡大交渉は比較的容易に進める事が出来ると思うんですけれど……。
私はここいらの地形はあまりよく知りませんが、
永定河の深さは、いったいどのくらいあるんです?」
「そうだねえ。胸たけくらいは十分あるね。いま、日本軍がザブザブ渡ってる
ところを見て来たんだが、あるいはもっと深いところがあるかも知れん」
「障害としての価値は十分ですな」
「そりや十分だ。それに河幅だって随分広いんだからね。
そこでいま、君のいった両軍を河の東西に分けるという案だね。こりや確かに名案だ。
どうせ細かい戦術判断なんか、睡眠不足のいまの俺達にゃ出来っこないが、
極めて大雑把な大局的判断といったら、まずこれが一番の早道だ。だがこれは、
実際問題として、両軍とも、なかなかオイソレとは引き下るまいぜ」
「問題はそこです。結局」
「だがどうせ僕達はもう、三途の川の川ッ縁まで来てしまってるんだ。
いまから最善と信ずる方法をふりかざして、
思いっ切り強く中国側にぶつかってみるんだね」
「やりましょう。当って砕けろだ」
「オイ林君!
ご苦労だが君、
ちょっと盧溝橋の橋のところまで行って金営長を呼んできてくれないか!
いま、日本側としての調停案がまとまったから、すぐここに来てくれといって!」
林耕宇は不承不承出かけて行った。》
つづく
これは メッセージ 520 (kireigotowadame さん)への返信です.
固定リンク:https://yarchive.emmanuelc.dix.asia/552022058/ffea4ca4fcf9qbfma4kfn5febbv7obfbfaj5doc0a47a4dea47a4ga4a6_1/521.html