1939年 ノモンハン事件17 激怒する参謀本部
投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2012/11/23 14:56 投稿番号: [2068 / 2250]
辻正信著
「ノモンハン秘史」
毎日ワンズ
153〜155p
《 偉大な戦果を収め得た感激は蔽
(おお)
い得ないものがあった。
早速東京を電話で呼び出し、寺田参謀が
参謀本部作戦課長稲田大佐に直接戦果を告げたとき、 「馬鹿ッ、戦果が何だッ」
と怒号する東京の声が、甲高く漏れ聞こえた。
受話機を持った寺田参謀の手は慄
(ふる)
え、顔面には青筋が立っている。
死を賭して敢行した大戦果に対し、しかも明らかに我は報復行為に出たのに対し、
第一線の心理を無視し、感情を蹂躪して何の参謀本部であろう。
中央部に事前に連絡せず、否むしろ故意に秘匿して奇襲した点は、
幕僚勤務としては確かに妥当でないことを内心秘かに申し訳ないと感じていたのである。
もしもこの際、 「やあ、おめでとう。しかし、この次からは連絡に注意してくれよ……」
とでも言われたら、お詫びの電報でも出したであろうに。
参謀本部作戦課長のこの電話は、関東軍と中央部とを、決定的に対立させる導火線になった。
稲田大佐は実戦の経験は全くなかった。
寺田大佐とは同期生であり、しかもかつて机を並べて共に勤務した仲である。
余りと言えば無礼の一言だ。大戦果の蔭に散った英霊に対し、許し得ない。
この憤激は全幕僚の声であった。
その夜、次のような電報に接した。
軍参謀長宛
参謀次長
関作命甲第一号航空部隊を以てする外蒙内部に対する爆撃の件、本日初めて承知し、
従来当部の諒解しある貴軍の処理方針と根本に於てその主旨を異にし、
事前に連絡なかりしを甚だ遺憾と感じあり。
本問題に関しては申すまでもなく、その影響するところ極めて重大にして、
貴方限りに於て決定せらるべき性質のものに非ず。
当部としては今後と雖
(いえど)
も依然断乎として従来の主義を
厳守せらるべき方針なるにつき、右企図の中止方至急御考慮あり度。
右命に依り。
興奮し切っていた作戦室では、即刻次の返電を起案して発信した。
次長宛
軍参謀長
国境事件処理の根本方針として当軍の堅持しあるところは彼が蠢動
(しゅんどう)
を
未然に封殺し、またはその不法行為を初動に於て痛撃破摧
(はさい)
し、
彼を情伏せしめ、北面の備えを強化しつつ、支那事変の根本的解決に貢献せんとするにあり。
ただ現場の認識と手段に於ては貴部と聊
(いささ)
かその見解を
異にしあるが如きも、北辺の些事
(さじ)
は当軍に信頼して安心せられ度。》
つづく
これは メッセージ 2066 (kir**gotowa**me さん)への返信です.
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