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1939年 ノモンハン13  タムスク攻撃計画

投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2012/11/18 15:22 投稿番号: [2058 / 2250]
辻正信著   「ノモンハン秘史」   毎日ワンズ
141〜142p


《 敵は六月十八、十九日、大編隊を以て

カンヂュル廟とハロンアルシャン方面を爆撃したのにもかかわらず、

手綱を引き緊めて敢えて進攻を許さなかったのは、

ただ中央部の不拡大方針に忠実ならんとする関東軍司令官の意図からであった。



地上においても述べたような徹底した兵力で、敵を撃破しようと決心した以上は、

空中においても先制急襲によって、制空権を我が手に収める必要が当然考えられる。

進んでタムスク飛行場を攻撃する考案が立てられた。



六月二十日、小松原師団長に作戦命令を伝えた後、敵の再度の越境を確かめるべく、

四たびハイラルに出張した。飛行集団に交渉し、司偵機に搭乗して、

タムスク根拠飛行場を偵察するため、南に飛んだ。



操縦士は曹長であり、酸素吸入の準備が間に合わないため、

高度を四千メートルに取って、ボイル湖上空からまっすぐタムスクの上空に突進した。

曹長は敵の戦闘機を心配したのであろう。

ついに五千メートルまで高度を上げたため呼吸は段々苦しくなった。

「おーい、苦しいぞ、少し下げてくれ」

悲鳴を上げたがなかなか首肯(き) かぬ。ああ、秋山少尉が欲しい。



タムスクの上空で旋回し、地上を見下ろすと、草原の上に数十条の轍痕が

鮮やかに残っている。しかし、飛行機らしいものはさっぱり見当たらなかった。

ただ、灰白色の袋状をしたものが、無数に積まれてある。

「何だろう、得体の知れないものだ」

低空に降下して正体を確かめようとしたとき、敵戦闘機の一群を前方の雲の間に発見した。

曹長は急旋回して東に飛んだ。残念だが仕方がない。

秋山少尉ならば必ず偵察の目的を達したであろうに   −。



夕刻、新京に着陸した。

前作戦課長安倍克己大佐は、飛行戦隊長として、新京飛行場に迎えてくれた。

転任してからまだ三、四カ月も経たぬ間に、立派に部下を掌握し、

偵察戦隊を使いこなされている。



この大佐は、元編制動員の主任として参謀本部に重きをなし、

次いで関東軍作戦課長に転じ、約二年にわたる対ソ作戦準備に偉績を収めた人材である。

余りに切れて、余りにも烈しかったため、

味方の中に敵を作ったことも転任の一因ではあろうが、

しかし大佐はこの第一線勤務に喜んで転出したのであった。



タムスク偵察の報告を聞いて、

灰白色の堆積は恐らくガソリンであろうと判断を下された。

その結果に基づき、また全般の空中戦と、第二飛行集団長の意見具申によって

下されたタムスク基地急襲の軍命令は、次の通りである。》


つづく
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