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1938年12月28日 汪兆銘の蒋介石への回答

投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2012/08/09 18:54 投稿番号: [1821 / 2250]
児島襄著   『日中戦争5』   文春文庫
190〜191p


《 汪兆銘は、十二月二十八日、近衛声明にこたえる前に、

重慶の国民党中央執行常務委員会および最高国防会議あてに

「和平提議」   電を発信した。



「中国が当面している困難は、いかにして戦争を持続するかの問題であり、

日本が当面している困難は、いかにして戦争を終熄せしめるかにある」


汪兆銘は、自分は十二月九日の会議で、そう蒋介石に指摘したと述べ、

一年前にドイツ大使 O・トラウトマンが和平仲介をしたさいの日本側条件は

不明確かつ苛酷であったが、蒋介石は交渉にのりだした、

より明確で妥当な今回の近衛声明には積極的に応ずべきではないか、

と強調した。



汪兆銘は、のちに、自分が和平交渉にふみきった考え方について、言明する。

  国民政府内の抗戦主張論の根拠は、汪兆銘によれば、

  ①すでに抗戦方針が定まっている、

  ②抗戦してこそ国内が統一できる、

  ③和平は共産党に擾乱の機会をあたえる、

  ④第三国が和平を希望しない、



という四点に集約できるが、汪兆銘は、

①は戦争のための戦争をいうにひとしく、

②は、国家の生存独立という戦争目的を   「府内統一」   あるいは

   「保身」にすりかえるものだ、と判断する。

③についても、共産党の攪乱工作は平時も戦時も同じであるし、

④は外交の自主性を放棄することにほかならない。



「和戦は、いずれも国家の生存独立を守るためのものである。

和平の可否は、その条件によって決せられる。

その条件にして国家の生存独立を妨げるならば、和すべからず。

然らざれば、和すべきである」



近衛声明、いいかえれば、汪兆銘も間接的に事前協議に参画した

上海会議を基礎にした和平条件は、中国の   「生存独立」   の保持を可能にする。

だから、和平交渉をおこなうべきだ、と、汪兆銘は強調するのである。

この汪兆銘の主張には、既述した各国の中国の抗戦能力についての悲観的観測、

いいかえれば汪兆銘自身も中国の継戦の   「困難」   を明言するように、

軍事的敗北を予測していることと、蒋介石から遊離するよりは

ともに和平をもとめようという意向が、うかがえる。》



*   汪兆銘は   「一年前にドイツ大使O・トラウトマンが和平仲介をしたさいの

   日本側条件は不明確かつ苛酷であったが、蒋介石は交渉にのりだした」

   と言っているが、これは、嘘。

   実際は、拒絶している。

   中国人は、こういう時、都合よく、話を造り変える。
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