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3月28日 またまた猫の目指令

投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2012/04/08 15:12 投稿番号: [1570 / 2250]
児島襄著   『日中戦争4』   文春文庫
314〜316p


《 郭里集では、支隊長瀬谷少将の激励をうけた赤柴大佐が、

左から右に、第六十三連隊第二大隊、第十連隊第二大隊、

同第一大隊を配置して、攻撃をすすめていた。

砲撃と突撃をおこなうたびに、中国軍部隊は潰乱状態になって退却し、

瀬谷支隊は、中国軍が逃げこむ部落をひとつずつ掃蕩しながら急進し、

第十連隊第一大隊の退路遮断によって、典型的な殲滅戦にうつった。



支隊長瀬谷少将は、 「ほぼ敵一個師を潰滅」   して背後の安全が確保できたと判定し、

午後六時すぎ、第六十三連隊長福栄大佐に電報した。

支隊主力は明二十九日、台児荘にむかって前進する、主力の攻撃開始は

「三十日の正午以後」   になる予定だ   ―   との趣意である。

瀬谷少将は、その一時間後、転進準備のために、とりあえず第六十三連隊

第一大隊は棗荘、第十連隊は郭里集、砲兵隊はエキ県に集合するよう、命令した

・・・


台児荘の攻防は、いまや日中両軍の不安の対象になってきた。

蒋介石は、その失陥を懸念し、全軍に通電した。

「……即有一兵一卒、亦須本犠牲精神、努力死ベン、如果失守、

不特全体官兵応加重懲、即李長官、白副参謀総長亦有処分」

この場合の   「処分」   は、銃殺刑をいう。

・・・



第十師団長磯谷中将が、再び瀬谷少将にたいして、支隊主力による攻撃を命令すれば、

第二軍司令官西尾寿造中将も、第五師団長板垣征四郎中将に瀬谷支隊救援を命じ、

板垣中将は、坂本支隊長に沂州攻撃の一時中止と瀬谷支隊支援を下令した。

午前十時、坂本少将は支隊主力を転進させる意図を第十一、第二十一連隊に連絡した。



また   「猫眼作戦」   か   ―   と、激怒したのは、第二十一連隊長片野定見大佐である。

第二十一連隊と第十一連隊は、途中の部落の掃蕩に手間どったが、

沂州城の間近までせまっていた。

「一つの任務を完成しない間に、また次の作戦に移る。

こんなことで実効ある作戦ができるとでも思っているのか」・・・

沂州攻略は、坂本支隊の本来の任務であるし、瀬谷支隊への支援としてなら、

沂州の占領とそれにともなう中国軍兵力の撃破のほうが、

台児荘の側面攻撃よりははるかに有効のはずである。



片野大佐は、坂本少将あてに意見を具申した。

「沂州城眼前ニ在リ。 敵ノ戦意モ大ナルモノ無シ。 一挙之ヲ奪取シタル後、

向城ニ転進スルハ、 将来ノ作戦上有利ニシテ   兵及ビ敵ノ士気ニ   及ボス影響

大ナルモノアリ……」

だが、坂本少将は、正午、瀬谷支隊の戦況が急進していることを指摘して、

正式に転進命令を示達した。



意図の内報にたいしては、意見具申もこころみたが、

命令とあっては、異議は無用である。

第二十一連隊長片野大佐は、ただちに攻撃を中止して反転準備をいそいだ。



つづく
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