イスラエル/パレスチナ和平

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『イスラエルに生きる人々』

投稿者: r911911911 投稿日時: 2003/06/30 15:13 投稿番号: [6019 / 20008]
ジアド・アブ・ジアド、42歳、東エルサレム日刊紙『アル=ファジル』編集長。
「いいですか、既成事実があるんです。もうすでにイスラエル人がいるんです」

若い人から面と向かって、西岸のラマラまではパレスチナに入るのに地中海沿岸平野部のラムラが入らないのはどうしてです、ときかれたら?
「馬鹿なことを言うなって答えてやりますよ。私たちはさんざん、こんなことに血道をあげてとんでもない目にあってきたんです。こっちに正義があれば、向こうにだって正義がある」

アタラ・ナジャール、30歳、イスラエル市民『アル=ファジル』ベテラン記者。アラブ人居住区ベイト・ハニナに家族と住むイスラエルのアラブ人。仮にパレスチナ人の国家ができた場合、どんな国家になると思うか。

「それは模範的な国家ですよ!つまり典型的なモデル国家でなけりゃならない。開放的で、啓蒙的で、民主的で進歩的な国家というわけです。『アラブの光』ですよ。パレスチナ人が味わったさまざまな体験からすれば、それだけのことはなければね」

「私がアラファトに腹を立てていることがあるとすれば、はっきりイスラエルを承認しようとしないことです」

アブ・ハレド、文芸欄編集長。
「1967年、あなたの戦車がナブルスに侵入してきたときは、目の前が真っ暗になりました。その後、ある朝、(彼の薬剤店に)きちんとしたスーツとネクタイ姿の感じのいい若者が店先へやってきて、自分はイスラエル人のビジネスマンで何とかいう会社の外交員だって、みごとなアラビア語で言うんです。いや、たまげました。それまで生身のイスラエル人には会ったこともなかったんです。とにかく、生身のイスラエル人なんてものは、じっさいにはいないと思ってましたからね」

「そりゃあもちろん、ベングリオンやモシェ・ダヤンのことはある程度、耳にしてました。でもそれだって、すべて漫画みたいな話です。シオニストといえば、けだものだと思う習慣がついていました。もちろん、けだものそのものじゃなくて、むしろ食肉動物と病気をふりまくウジ虫がまじりあったものぐらいに考えてました。一種の化け物ですよ」

「1968年、私がイスラエルへ行くのは初めてでした。ナタニヤで、あたりを見回すと、年とったひとたちが公園のベンチに座ってひなたぼっこをしたり、ステッキにすがったり、おしゃべりをしていて、ナブルスの老人たちとまるっきり同じなんです。ちょっと奇妙な感じがしました。いらいらしました。シオニストというのは兵隊のはずだ!   連中は残忍な敵なんだ!   ナブルスの老人みたいなはずがない!ふと見るとちいさな子供たちが道ばたで遊んでいました……急に、そういう人たちを憎めない気になってきたのです。そういう人たちが、ちゃんと人間に見えたのです」

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『イスラエルに生きる人々』(原書発行1983年)より


○オスロどころか第一次インティファーダ前の本なので古い。ピースナウの「同じひとつの屋根の下」といった理想が、かなりの多数のイスラエル人にも遠からず実現すると「確信」していた時代の本だ。ただし、思想や夢を語る論旨を別にすれば、さすがに小説家による「実話」なので、登場人物たちの言動が生き生きとわかる。

○僕自身がこの本を読んだのは、常習的な「テロ」が起こってからのことだったので、「現実的な方向性」というような読み方をしたわけではない。「ヨルダン川から地中海まで」というパレスチナの「教義」はいやというほど見聞してしまっていた。

○にも関わらず、この本に登場してくる「光と陰」は、今の時代にも脈々と続いてはいると思う。上記の引用では、その「光」の部分、「希望の血」の一端を紹介した。

○この作者の、今の主張は、「二つの民族、二つの国家」であり従って「パレスチナが帰還権に拘るかぎり和平はない」というものだ。僕としては、昔からある「希望の血」を、「ひとつ屋根の下」ではなく「二つの国家」へと生かすことは可能だと思う。
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