特攻隊員の母、鳥浜トメ 蛍帰るその二
投稿者: ninnikumanx 投稿日時: 2007/07/29 16:14 投稿番号: [8577 / 9207]
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jog/jog_index_frame.htm
■3.少年兵たちのオアシス■
昭和17年、知覧に飛行学校(大刀洗陸軍飛行学校知覧分教
場)が出来て、富屋が軍の指定食堂となった時、女主人トメは
数え年41歳であった。指定食堂と言っても、健全で清潔で安
心して軍人が立ち寄れる所だと推薦してくれるだけの事だった。
過酷な訓練に明け暮れ、たまの日曜日に外出しても、何の娯
楽もない少年兵たちに、富屋はたちまち大人気のオアシスとな
った。少年兵たちが壁にかかったメニューを見ていると、小母
さんが中から出てきて「何か食べたいものはあるかね。」
と聞く。
食べたいものなら、何でも作ってあげるよ。そのために
日曜日には材料を用意してみんなの来るのを待っているん
だからね。何でも言ってごらん。
少年たちがもじもじしていると、アンコロ餅はどうか、と聞
く。少年兵たちの顔が緩むと、さっそく1個作って、この大き
さなら何個欲しい、と聞く。「3個!」「おれも!」
ためらいながら「天ぷら」と言う少年兵には、「おとといあ
たりから海がしけていて、白身のいい魚がないから、イカとエ
ビと野菜だけで我慢してくれる?」
「でも」「でも、なあに」「おれ50銭しか持ってないんだ。
エビって高いんだろ」「アハハ」とトメは笑う。「男はおカネ
の事は言わないの」 着物や家財道具を売りながら、少年兵た
ちに食べさせてやるので、トメの家は少しづつ広くなっていっ
た。
時には、「本日休業」の札を出して、少年兵たちに貸し切り
にしてしまう。少年兵たちは畳の部屋に寝そべったり、トラン
プや将棋に興じたり、郷里に手紙を書いたり、小母さんの手料
理に舌鼓を打つ。風呂で背中を流して貰うこともあった。
■4.いま目の前にいるこの子が明日死んでしまうなんて■
3月27日に娘の礼子が知覧の飛行場に動員され、木立の中
に三角屋根の特攻隊の兵舎が作られている、という情報をもた
らした。
翌日夜、小林威夫少尉が訊ねてきた。かつて教官として知覧
に駐在していたことがあり、その時に下宿を探してやったりし
て、わが子同様に可愛がった青年である。「小母さん、小林で
す。久しぶりにお目にかかれてこんなうれしい事はありませ
ん」と言う。トメはいそいそと小林の好きなものを作ったが、
小林は何ものどを通らない様子。
「今度はどちら方面に行くの」と聞くと、「小母さん、聞かな
いでくれよ」。トメは気がついた。もしかして、この人はあの
特攻隊に選ばれたのだ、、、いま目の前にいるこの子が明日死
んでしまうなんて、自分の娘たちとあまり齢のかわらぬこの子
が明日には死んでしまうなんて、そんなことってあるのだろう
か。
■3.少年兵たちのオアシス■
昭和17年、知覧に飛行学校(大刀洗陸軍飛行学校知覧分教
場)が出来て、富屋が軍の指定食堂となった時、女主人トメは
数え年41歳であった。指定食堂と言っても、健全で清潔で安
心して軍人が立ち寄れる所だと推薦してくれるだけの事だった。
過酷な訓練に明け暮れ、たまの日曜日に外出しても、何の娯
楽もない少年兵たちに、富屋はたちまち大人気のオアシスとな
った。少年兵たちが壁にかかったメニューを見ていると、小母
さんが中から出てきて「何か食べたいものはあるかね。」
と聞く。
食べたいものなら、何でも作ってあげるよ。そのために
日曜日には材料を用意してみんなの来るのを待っているん
だからね。何でも言ってごらん。
少年たちがもじもじしていると、アンコロ餅はどうか、と聞
く。少年兵たちの顔が緩むと、さっそく1個作って、この大き
さなら何個欲しい、と聞く。「3個!」「おれも!」
ためらいながら「天ぷら」と言う少年兵には、「おとといあ
たりから海がしけていて、白身のいい魚がないから、イカとエ
ビと野菜だけで我慢してくれる?」
「でも」「でも、なあに」「おれ50銭しか持ってないんだ。
エビって高いんだろ」「アハハ」とトメは笑う。「男はおカネ
の事は言わないの」 着物や家財道具を売りながら、少年兵た
ちに食べさせてやるので、トメの家は少しづつ広くなっていっ
た。
時には、「本日休業」の札を出して、少年兵たちに貸し切り
にしてしまう。少年兵たちは畳の部屋に寝そべったり、トラン
プや将棋に興じたり、郷里に手紙を書いたり、小母さんの手料
理に舌鼓を打つ。風呂で背中を流して貰うこともあった。
■4.いま目の前にいるこの子が明日死んでしまうなんて■
3月27日に娘の礼子が知覧の飛行場に動員され、木立の中
に三角屋根の特攻隊の兵舎が作られている、という情報をもた
らした。
翌日夜、小林威夫少尉が訊ねてきた。かつて教官として知覧
に駐在していたことがあり、その時に下宿を探してやったりし
て、わが子同様に可愛がった青年である。「小母さん、小林で
す。久しぶりにお目にかかれてこんなうれしい事はありませ
ん」と言う。トメはいそいそと小林の好きなものを作ったが、
小林は何ものどを通らない様子。
「今度はどちら方面に行くの」と聞くと、「小母さん、聞かな
いでくれよ」。トメは気がついた。もしかして、この人はあの
特攻隊に選ばれたのだ、、、いま目の前にいるこの子が明日死
んでしまうなんて、自分の娘たちとあまり齢のかわらぬこの子
が明日には死んでしまうなんて、そんなことってあるのだろう
か。
これは メッセージ 8576 (ninnikumanx さん)への返信です.
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