長沙の引揚げ2 状況の険悪化
投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2011/01/22 16:43 投稿番号: [718 / 2250]
戦史叢書 『中国方面海軍作戦〈1〉』
290〜291p
《 二十四日〜二十五日の中央党部の指令により湖南省党部特務室は
湖南人民抗敵後援会を組織し、かつ、日貨を取扱う者、日本人と往来する者を、
軍警の手を借りず直接特務室へ引致処分し始めた。
二十七日から一両日の聞に二十数名の中国人を 「スパイ」 、漢奸の名目で引致した。
二十八日の新聞に重慶、宜昌、沙市の我が居留民の引揚げ準備、
第二九軍への我が爆撃が報ぜられるや、市中は落ち着きを失い、商取引も途絶した。
同夜、何鍵は電話で高井領事代理に急に全国的に対日空気悪化し当地治安維持上
寒心に堪えず、せっかく最善の努力を払うつもりであるが、
貴官においても特別に注意警戒されたいと申し出た。
二十八日夕、吉見艦長は、第三艦隊から重慶、宜昌、長沙には汽船をおおむね
何日でも一隻ずつ使用し得るよう船繰りしつつ運航せよとの指令を受け、
○ (サンズイ+元) 江丸を定期どおり二十九日朝下江させることとし、引揚用として
在長沙曳船 (ひきぶね) 竹丸及び鉄製 「ライター」 を使用することとした。
同夜、同艦長は谷本司令官の照会電に接し、長沙領事は
「些 (いささか) ニテモ 不穏ノ兆(きざし) ヲ 見ルニ至ラバ 直チニ引揚命令ヲ出ス。
但シ長沙ノ情況 如何 (いかん) ニ拘 (かかわ) ラズ 日支全面的開戦トナル見込
立タバ直チニ発令ス」 る決心をしており、小官は 「長沙ノミノ情勢ニ基ク限リ
即時引揚発令ハ 過早ナリト認ム」 るも 「全面的開戦ノ公算 大ナリト認メラルル
現状ニ於テハ」 「居留民引揚前ニ行ハルベキ 警備艦ノ交戦等ヲ考慮シ、
過早ノ引揚コソ 万全ノ策ナリト認ム」 る旨返電した。
二十九日、日本居留民会その他に雇われている中国人が圧迫され、なお、
省党部特務室は時機切迫せば主要日本人暗殺を計画しておるとの情報もあった。
二十九日夜、吉見艦長は、長谷川長官及び谷本司令官に長沙引揚げに関する
予想を、次のように打電した。
一 戦況急変ナキ限リ 八月三日早朝 ○ (サンズイ+元) 江丸ニテ 居留民引揚ヲ
行フコトニナルベシ。 (売掛金回収ヲ考慮)
二 予メ準備ヲ進メ置キ 引揚命令発令後 六時間以内ニテ 出帆可能ノ見込ナリ。
右に対し、谷本司令官は直ちに次のように返電した。
○ (サンズイ+元) 江丸三十日漢口発、三十一日長沙着の予定。
領事ト協議ノ上 同船貴地着後 準備完了次第 引揚ヲ可ト認ム。
よって、吉見艦長は高井領事代理と協議した。
高井領事代理は、八月三日以前の引揚げに同意せず、かつ引揚げ発令時機が不適当な
場合は一部居留民の売掛金回収不能などによる破産を招く虞 (おそれ) があるので、
今回の引揚げは命令によらず、引揚げ勧告の形式で実施したいと主張した。
三十日、北支戦局の影響は、長沙の排日気分に敏感に反映し、
市中には戦争気分がみなぎった。
三十一日、長沙の対日空気は更に悪化し、日本人使用人に対する圧迫顕著となった。
「勢多」 へ石炭、重油を運搬する船頭は水上警察署巡響から脅迫され、
今後運搬不能の旨、申し出た。
また○ (サンズイ+元) 江丸行動用石炭販売を拒絶した石炭商に対し、
我が方は公安局を動かしてようやく入手するほどであった。
○ (サンズイ+元) 江丸はこの日夕刻、長沙に到着した。
* 何鍵は 「貴国居留民の生命財産は絶対に保証する」 と言ったそうだが、
日貨を取扱う者、日本人と往来する者を、スパイとして引致し、
日本人に雇われている中国人を圧迫したら、何にもならない。
こういうやり方が、中国の巧妙なところ。 直接危害を加えず間接的にやる。
言葉に 間違いはない。 しかし・・・・。
日本人はこういうレトリックを理解しない。
つづく
290〜291p
《 二十四日〜二十五日の中央党部の指令により湖南省党部特務室は
湖南人民抗敵後援会を組織し、かつ、日貨を取扱う者、日本人と往来する者を、
軍警の手を借りず直接特務室へ引致処分し始めた。
二十七日から一両日の聞に二十数名の中国人を 「スパイ」 、漢奸の名目で引致した。
二十八日の新聞に重慶、宜昌、沙市の我が居留民の引揚げ準備、
第二九軍への我が爆撃が報ぜられるや、市中は落ち着きを失い、商取引も途絶した。
同夜、何鍵は電話で高井領事代理に急に全国的に対日空気悪化し当地治安維持上
寒心に堪えず、せっかく最善の努力を払うつもりであるが、
貴官においても特別に注意警戒されたいと申し出た。
二十八日夕、吉見艦長は、第三艦隊から重慶、宜昌、長沙には汽船をおおむね
何日でも一隻ずつ使用し得るよう船繰りしつつ運航せよとの指令を受け、
○ (サンズイ+元) 江丸を定期どおり二十九日朝下江させることとし、引揚用として
在長沙曳船 (ひきぶね) 竹丸及び鉄製 「ライター」 を使用することとした。
同夜、同艦長は谷本司令官の照会電に接し、長沙領事は
「些 (いささか) ニテモ 不穏ノ兆(きざし) ヲ 見ルニ至ラバ 直チニ引揚命令ヲ出ス。
但シ長沙ノ情況 如何 (いかん) ニ拘 (かかわ) ラズ 日支全面的開戦トナル見込
立タバ直チニ発令ス」 る決心をしており、小官は 「長沙ノミノ情勢ニ基ク限リ
即時引揚発令ハ 過早ナリト認ム」 るも 「全面的開戦ノ公算 大ナリト認メラルル
現状ニ於テハ」 「居留民引揚前ニ行ハルベキ 警備艦ノ交戦等ヲ考慮シ、
過早ノ引揚コソ 万全ノ策ナリト認ム」 る旨返電した。
二十九日、日本居留民会その他に雇われている中国人が圧迫され、なお、
省党部特務室は時機切迫せば主要日本人暗殺を計画しておるとの情報もあった。
二十九日夜、吉見艦長は、長谷川長官及び谷本司令官に長沙引揚げに関する
予想を、次のように打電した。
一 戦況急変ナキ限リ 八月三日早朝 ○ (サンズイ+元) 江丸ニテ 居留民引揚ヲ
行フコトニナルベシ。 (売掛金回収ヲ考慮)
二 予メ準備ヲ進メ置キ 引揚命令発令後 六時間以内ニテ 出帆可能ノ見込ナリ。
右に対し、谷本司令官は直ちに次のように返電した。
○ (サンズイ+元) 江丸三十日漢口発、三十一日長沙着の予定。
領事ト協議ノ上 同船貴地着後 準備完了次第 引揚ヲ可ト認ム。
よって、吉見艦長は高井領事代理と協議した。
高井領事代理は、八月三日以前の引揚げに同意せず、かつ引揚げ発令時機が不適当な
場合は一部居留民の売掛金回収不能などによる破産を招く虞 (おそれ) があるので、
今回の引揚げは命令によらず、引揚げ勧告の形式で実施したいと主張した。
三十日、北支戦局の影響は、長沙の排日気分に敏感に反映し、
市中には戦争気分がみなぎった。
三十一日、長沙の対日空気は更に悪化し、日本人使用人に対する圧迫顕著となった。
「勢多」 へ石炭、重油を運搬する船頭は水上警察署巡響から脅迫され、
今後運搬不能の旨、申し出た。
また○ (サンズイ+元) 江丸行動用石炭販売を拒絶した石炭商に対し、
我が方は公安局を動かしてようやく入手するほどであった。
○ (サンズイ+元) 江丸はこの日夕刻、長沙に到着した。
* 何鍵は 「貴国居留民の生命財産は絶対に保証する」 と言ったそうだが、
日貨を取扱う者、日本人と往来する者を、スパイとして引致し、
日本人に雇われている中国人を圧迫したら、何にもならない。
こういうやり方が、中国の巧妙なところ。 直接危害を加えず間接的にやる。
言葉に 間違いはない。 しかし・・・・。
日本人はこういうレトリックを理解しない。
つづく
これは メッセージ 717 (kireigotowadame さん)への返信です.