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7月29日 通州守備隊襲撃される5

投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2010/12/26 15:36 投稿番号: [679 / 2250]
児島襄著 『日中戦争4』 文春文庫
51〜53p

《 襲撃は、まず特務機関、警察分署、旅館、出張所、食堂、民家、
次いで守備隊など、日本人の所在地にたいして、いっせいにおこなわれた。

特務機関には、軍人は機関長細木繁中佐と補佐官甲斐厚少佐の二人だけで、
ほかに機関員九人、給仕二人がいた。

この夜は、機関長細木中佐は官舎で就寝し、武道場には
『恵通航空公司』   連絡員緒方一策が宿泊していた。

攻撃してきた保安隊は、小銃、機銃を乱射し、青竜刀をふりかざし、
あっという間に建物を包囲した。



特務機関の武器は拳銃、小銃、軽機関銃、手榴弾である。

甲斐少佐は、自鉢巻をし、ワイシャツの袖をまくりあげ、拳銃と軍刀をもって
応戦の指揮をとり、軍人でない機関員たちも思い思いに武器をとって戦った。

だが、保安隊は四方から射弾を集中するだけでなく、
屋根にのぼり、瓦をはがして内部を射つ。

甲斐少佐と機関員四人は応接室に追いこまれ少佐が六発の弾丸をうけて
斃 (たお) れると、他の四人も次々に死傷した。

残る六人と〝宿泊人〟緒方一策は、情報室にたてこもって応戦した。



機関長細木中佐は、異変を知ると、さっそく自動車で   「冀東防共自治政府」   に
むかったが、門前で約一個中隊の保安隊に阻止された。

じつは、政府庁舎はすでに保安隊におそわれ、日本人顧問三人と経済調査員として
赴任したばかりの柘植大学二年生亀井実が惨殺されていた。

ただし、襲撃はこの日本人四人だけに限られ、
政府主席殷汝耕の部屋には一兵もはいらなかった。

細木中佐は、知らない。

車をおり、指揮官らしい保安隊員に近づいたが、とたんに銃声がひびき、
胸部に拳銃弾をうけてよろめく中佐の頭上に、青竜刀がふりおろされた。

グシッーという異音とともに、中佐の頭部が断裁され、噴出する血をさけて
飛びのく保安隊の前に、即死した中佐の身体が棒倒しにたおれた。



特務機関では、情報室での攻防がつづいていたが、一人が頭部を射たれて
斃れたあと、片隅のガソリン罐が被弾して火災が発生した。

情報室には暗号書その他の機密書類があるので、
危急の場合の焼却用にガソリンが常備されていたのである。

火災発生は、書類焼却という緊急措置にかなったわけだが、
機関員たちはそれと気づく余裕もなく、また一人が斃されながら、

隣接する風呂場に退避したのち、脱出した。》


つづく
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