盧溝橋事件66 竜王廟の夜襲1
投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2010/09/16 18:28 投稿番号: [570 / 2250]
寺平忠輔著 『日本の悲劇
盧溝橋事件』 読売新聞社刊
226〜227p
《 七月十日午後四時、張允栄と盧南生とが特務機関にやって来て、
停戦協定の下相談を済ませた後、正式協定の締結にはまだ相当手間取るだろうが、
取りあえず今晩のところ、両軍に射ち合いさせない事が先決問題だというので、
その席でこれに対する双方の申し合せを行なった。
この内容は
申し合せ事項
一、十日夜における両軍の行動
イ、日本軍は西五里店付近に兵力を集結し、本夜前方に向って行動する事なし。
ただし背後における連絡行動を妨げず。
ロ、中国軍は絶対永定河を越えて東進することなし。
ただし該河以西において後退行動をとるを妨げず。
二、現地に派遣する日華調停員
日本側 中島顧問 笠井顧問
中国側 周参謀 王団付 王県長
ちょうどそのころ、桜井顧問は単身車をとばせ、航空署街に秦徳純を訪ね、
これまた同趣旨の問題を交渉した。
ところが午後五時四十分、豊台の小野口副官から私のところに、
あわただしい電話がかかって来た。
「第一線の情況が急変しました。午後五時十分、約百名の中国軍が衙門口に現われ、
迫撃砲の射撃を交えつつ、いま、竜王廟に向って前進中です。
牟田口連隊は出動を準備中だとのことです」 続いて十五分の後
「永定河右岸からも新たに迫撃砲を射ち始めました。
旅団長はいま、牟田口連隊長に、竜王廟に出してある将校斥候は、
日没後直ちに一文字山に撤退させてしまうこと、
並に、八宝山方面の偵察には、一切斥候を用いる事なく、
土民の諜報だけでやるよう厳命されました」
これより先、この情況の急変を真ッ先に知った牟田口連隊長は、
一文字山の台上で仁王立ちに立ち上り大声で木原第一大隊長を呼んだ。
「木原少佐! 第一大隊は直ちに小銃機関銃各一ケ小隊を竜王廟に出せッ!
そして第二大隊の山下将校斥候を救援しろ! 早く早くッ!」
木原少佐はとりあえず手近にあった世良少尉の機関銃小隊に、田淵准尉の
小銃小隊をつけ、意図を含めて一文字山から真っ直ぐ、竜王廟に向って出発させた。
命ぜられた処置を終った大隊長が盧溝橋駅の大隊本部の方に戻って行く途中、
小岩井中尉が息せき切って迫かけて来た。
大きな声で 「第一大隊長殿! 連隊命令でありますッ!」 とどなっている。
木原少佐はふり返った。
すると 「命令をお伝えしますッ! 木原大隊は、協定に違反して竜王廟付近に
進出して来た当面の敵を、全力をあげて撃滅すべし。
目的達成後は、また速かに兵を引き、現在地に復帰して現任務を統行すべし。
特に、衙門口方面に深入りせざる事肝要なり。命令終りッ!」
通州から炎暑を冒し、盧溝橋の戦場に駆けつけて以来、
また一度も戦争らしい戦争もせず、
手ぐすね引いて攻撃命令を待ちうけていた木原大隊である。
将兵の士気は勃然として奮い起った。》
つづく
* 日本軍に 「軍を動かさないように」 と持ちかけておいて、
相手が油断している所を襲撃する。 これぞ中国的やり方。
だから、日本軍は自分から一方的に戦争をやめる事ができなかった。
話し合ってさえ、こうなのだから。
226〜227p
《 七月十日午後四時、張允栄と盧南生とが特務機関にやって来て、
停戦協定の下相談を済ませた後、正式協定の締結にはまだ相当手間取るだろうが、
取りあえず今晩のところ、両軍に射ち合いさせない事が先決問題だというので、
その席でこれに対する双方の申し合せを行なった。
この内容は
申し合せ事項
一、十日夜における両軍の行動
イ、日本軍は西五里店付近に兵力を集結し、本夜前方に向って行動する事なし。
ただし背後における連絡行動を妨げず。
ロ、中国軍は絶対永定河を越えて東進することなし。
ただし該河以西において後退行動をとるを妨げず。
二、現地に派遣する日華調停員
日本側 中島顧問 笠井顧問
中国側 周参謀 王団付 王県長
ちょうどそのころ、桜井顧問は単身車をとばせ、航空署街に秦徳純を訪ね、
これまた同趣旨の問題を交渉した。
ところが午後五時四十分、豊台の小野口副官から私のところに、
あわただしい電話がかかって来た。
「第一線の情況が急変しました。午後五時十分、約百名の中国軍が衙門口に現われ、
迫撃砲の射撃を交えつつ、いま、竜王廟に向って前進中です。
牟田口連隊は出動を準備中だとのことです」 続いて十五分の後
「永定河右岸からも新たに迫撃砲を射ち始めました。
旅団長はいま、牟田口連隊長に、竜王廟に出してある将校斥候は、
日没後直ちに一文字山に撤退させてしまうこと、
並に、八宝山方面の偵察には、一切斥候を用いる事なく、
土民の諜報だけでやるよう厳命されました」
これより先、この情況の急変を真ッ先に知った牟田口連隊長は、
一文字山の台上で仁王立ちに立ち上り大声で木原第一大隊長を呼んだ。
「木原少佐! 第一大隊は直ちに小銃機関銃各一ケ小隊を竜王廟に出せッ!
そして第二大隊の山下将校斥候を救援しろ! 早く早くッ!」
木原少佐はとりあえず手近にあった世良少尉の機関銃小隊に、田淵准尉の
小銃小隊をつけ、意図を含めて一文字山から真っ直ぐ、竜王廟に向って出発させた。
命ぜられた処置を終った大隊長が盧溝橋駅の大隊本部の方に戻って行く途中、
小岩井中尉が息せき切って迫かけて来た。
大きな声で 「第一大隊長殿! 連隊命令でありますッ!」 とどなっている。
木原少佐はふり返った。
すると 「命令をお伝えしますッ! 木原大隊は、協定に違反して竜王廟付近に
進出して来た当面の敵を、全力をあげて撃滅すべし。
目的達成後は、また速かに兵を引き、現在地に復帰して現任務を統行すべし。
特に、衙門口方面に深入りせざる事肝要なり。命令終りッ!」
通州から炎暑を冒し、盧溝橋の戦場に駆けつけて以来、
また一度も戦争らしい戦争もせず、
手ぐすね引いて攻撃命令を待ちうけていた木原大隊である。
将兵の士気は勃然として奮い起った。》
つづく
* 日本軍に 「軍を動かさないように」 と持ちかけておいて、
相手が油断している所を襲撃する。 これぞ中国的やり方。
だから、日本軍は自分から一方的に戦争をやめる事ができなかった。
話し合ってさえ、こうなのだから。
これは メッセージ 569 (kireigotowadame さん)への返信です.