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中国の対日戦準備

投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2010/06/17 18:34 投稿番号: [479 / 2250]
児島襄著 『日中戦争3』 文春文庫
379〜381p


《 日本は戦争を望んでいないと判断され、
その判断は、川越声明で裏書きされたといえる。

蒋介石は、六月三十日、これまでの措置が 「皆有相当之成就也」
と満足の意を日誌に記述し、翌日、七月一日には、

「中国 応具 必戦之決心 而後 可以免戦、必 如是 乃得 達成不戦 而 収復失地之目的」
と、こんごの方針を定めた。

戦争の決意と準備をしてこそ、戦争も回避できるし、
戦わずに失地回復の目的も達成できる、といった趣意である。

日本に 「戦意」 がないと見定め、逆に中国側の 「戦意」 と武備の誇示
によって日本の譲歩をさそおうとする方策でもあろうか……。


では、蒋介石は、いつまでに対日戦備をととのえようとするのか。

既述したように、蒋介石は二月には 「三年ないし五年」 を予定し、
ソ連の五カ年計画、ドイツの四カ年計画の研究も指示している。

日本の参謀本部が 「一九四〇年」 をメドに対ソ戦備の充実を企図している如く、
蒋介石もほぼ同時期を対日戦備の完成期に想定していたのであろうか。

いやもっと早く、日本側の 「戦意」 と戦備不足に乗じて対日宣戦をする   ―   と
推理したのが、米大使館参事官W・ペックであった。

参事官ペックは、蒋介石が 「必戦之決心」 方針をさだめた七月一日、
外交部長王寵恵と会談した。


王部長は、ソ連との経済交渉が頓挫している旨を語り、
対日関係についても率直に次のように述べた。

「日本政府は、当分、新たな侵略行動には出ないと思う。
その間に、中国政府は、

国益を守るには武力に依存せねばならぬことを考え、
自衛力の増強のために全力をあげる。

とくに十一月十二日の国民大会までは、(日本との)武力衝突がないことを願っている。

陝西省北部の共産軍の一部は、すでに提案を受諾しているが、政府は、
有事のさいの 『有力な武器』 としての共産軍の維持につとめている」

参事官ペックは、この王部長の発言から、中国は、日本側の準備未熟の機会をとらえて、
「おそらく十一月の国民大会で対日宣戦をする」 ものと、予測したのである。


蒋介石は、訪米中の財政部長孔祥煕にたいして 「十年以上」 の延払いで建設機材、
発電機械および 「煉鋼廠」「人工煉油廠」「機関車頭製造廠」「造船廠」「飛機製造廠」

などのプラント輸出、また軌道千キロ分、機関車百輌の売却を米政府にもとめるよう
指示したが、七月二日、綏遠省主席傳作義に次のように急電している。

「指示関 於 綏東綏北 各区工事、務於 八月十五日以前 全部 完成、
切望 厳督各部、星夜カン築、勿誤」

なぜ、なにがなんでも 「八月十五日」 までに完工させねばならないのか。
この日付けで連想できるのは、いわゆる 「廬山会議」 である。》


つづく
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