第一次南京事件8 漢口5
投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2010/03/21 16:37 投稿番号: [381 / 2250]
『もう一つの南京事件・日本人遭難者の記録』 田中秀雄編集・解説
芙蓉書房
86〜88p
《南小路から平和街に出る角の理髪店の隣家の田村氏の宅では、産後まもなく
身を病床に横たえていた妻女が、暴徒の襲来と聞いて気絶してしまった。
主人は二階にいたが暴徒に支えられて降れない。
理髪店の城谷氏は変を聞いて駆け付けるところを暴徒に捉われ、
かろうじて本願寺の土塀を乗り越えて免れたが、残された病女は暴徒のために
蒲団を剥がれ足蹴にされた上に、醜い死骸となってそこに遺棄された。
同じ家並みの愛知亭では、妊娠五ケ月の妻女が暴徒のために二階から引きずり降され、
散々に殴打されて数ケ所の負傷に血まみれになって仆れていたのを、
おりから暴徒の包囲から遁れてきた隣家の一心堂主人に助けられた。
その次の花井洋行は事変勃発後直ぐに戸を閉ざし、家内中が二階に隠れたと
ほとんど同時に凶器を以って表戸を毀つ音がする。
続いて商店棚や商品の毀される音、大勢の罵り騒ぐ声がして二階にまで押し寄する
気配がしたが、階段の仕切戸が固かったために断念したのか音もしないようになった。
と思うまもなく盛んに煙が漏れてくる。火を放けたなと思うが如何ともしようなし。
そのうちに隣の愛知亭では女の悲鳴が聞こえる。
一同生きた心地もなく、息を潜めていると、南小路の方面に銃声が起こり、
ドッという喊声とともに暴民が引き上げる様子、続いて店内を荒らしていた一団も逃げ
出したので始めて階下に下り、水道をあけて火を消し皆で裏口から逃れて水兵に収容された。
この前後に本願寺に逃げ込んだ七八人の一団は、一室にこもって内から
戸を押えていると跡を追うて来た暴徒に苦もなく破られる。
次の室に退くとまた戸を破られる。
こうして室から室を逃げ廻り最後に隣家の薄暗い一室に隠れ、
椅子卓子などを積み上げて入口を防ぎ、
本願寺の住持の最後の称名に一同覚悟を定めていたが、
支那人ボーイが機転でこの室には病人がいると言うたので
暴徒もそのまま立ち去った様子に始めて蘇生の思いをした。
顔見合した一同の頬には自ずから熱涙が伝うたという。
僅々二十分くらいの間にこれだけの凶暴を働いた群衆は、
勢いに乗じてまたもや南小路になだれ込み掠奪にかかった。
そこには雑貨店、呉服屋、食料品店、貴金属店などが軒を連ねている。
暴徒としては見逃せないところだ。
各戸の運命は風前の灯火と迫った。危機まさに間一髪、ドドドッと音立てて
打ち放された機関銃の弾は、猛り狂う暴徒の前面に火花を散らして四散した。
急を聞いて駆け付けた陸戦隊が、南小路の四辻近くに機関銃を据え付け
最後の処置を断行したのである。
時の指揮官は岡野海軍中佐。当時海軍省は左の如く発表している。
(前略)副領事帰ラントスルヤ 暴民ニ襲ハレ水兵ヲ追ヒ駆ク。 陸戦隊ノ揚陸
半舷上陸中ナリシモ 急ヲ聞キテ陸戦隊ハ 直ニ準備ヲ為ス。 一週間以来
甚シキ支那人ノ愚弄ニ 慷慨シ居リ 且ツ 目前ノ暴行ヲ知レル乗員ハ 期セズシテ
総員上陸ヲ願ヒ 直チニ準備ヲ整フ。 時二午後四時頃 一小隊総領事館前ニ
整列ス 折シモ数千ノ 群衆小学校前迄来リ、小供ヲ先ニ立テ 赤旗ヲ振フ
指揮者ノ下ニ 喊声ヲアゲテ 河岸ニ殺到セントス。 陸戦隊直ニ道路ニ散開シテ
小銃ヲ擬ス。 先ヅ空砲ヲ放チ 次デ数発ノ実弾ヲ射ツ。暴民雪崩ヲ打ツテ退却、
掠奪シツヽ租界外ニ向フ。平和街ニ接近スルヤ 頑トシテ退カズ。 己ムヲ得ズ
陸戦隊ハ本願寺ノ土堤ニ向ツテ 機銃ノ威脅射撃ヲ行フ。
群衆ハ 痛ク殴打サレタル 邦人四名ヲ残シテ 逃去レリ。 一隊ハ集合所ノ
兵員収容ノタメ 投石侮辱ノ中ヲ潜リツヽ 実包威嚇射撃ニテ 漸ク集合所ニ達シ、
上陸員一三〇名ヲ収容、 帰途鉄路外ノ邦人ヲモ 収容租界内ニ引揚ケ 二百名ノ
陸戦隊ニテ 租界ヲ護ル。更ニ電燈会社ニ 機関兵ヲ派シテ 運転点燈ス。》
つづく
86〜88p
《南小路から平和街に出る角の理髪店の隣家の田村氏の宅では、産後まもなく
身を病床に横たえていた妻女が、暴徒の襲来と聞いて気絶してしまった。
主人は二階にいたが暴徒に支えられて降れない。
理髪店の城谷氏は変を聞いて駆け付けるところを暴徒に捉われ、
かろうじて本願寺の土塀を乗り越えて免れたが、残された病女は暴徒のために
蒲団を剥がれ足蹴にされた上に、醜い死骸となってそこに遺棄された。
同じ家並みの愛知亭では、妊娠五ケ月の妻女が暴徒のために二階から引きずり降され、
散々に殴打されて数ケ所の負傷に血まみれになって仆れていたのを、
おりから暴徒の包囲から遁れてきた隣家の一心堂主人に助けられた。
その次の花井洋行は事変勃発後直ぐに戸を閉ざし、家内中が二階に隠れたと
ほとんど同時に凶器を以って表戸を毀つ音がする。
続いて商店棚や商品の毀される音、大勢の罵り騒ぐ声がして二階にまで押し寄する
気配がしたが、階段の仕切戸が固かったために断念したのか音もしないようになった。
と思うまもなく盛んに煙が漏れてくる。火を放けたなと思うが如何ともしようなし。
そのうちに隣の愛知亭では女の悲鳴が聞こえる。
一同生きた心地もなく、息を潜めていると、南小路の方面に銃声が起こり、
ドッという喊声とともに暴民が引き上げる様子、続いて店内を荒らしていた一団も逃げ
出したので始めて階下に下り、水道をあけて火を消し皆で裏口から逃れて水兵に収容された。
この前後に本願寺に逃げ込んだ七八人の一団は、一室にこもって内から
戸を押えていると跡を追うて来た暴徒に苦もなく破られる。
次の室に退くとまた戸を破られる。
こうして室から室を逃げ廻り最後に隣家の薄暗い一室に隠れ、
椅子卓子などを積み上げて入口を防ぎ、
本願寺の住持の最後の称名に一同覚悟を定めていたが、
支那人ボーイが機転でこの室には病人がいると言うたので
暴徒もそのまま立ち去った様子に始めて蘇生の思いをした。
顔見合した一同の頬には自ずから熱涙が伝うたという。
僅々二十分くらいの間にこれだけの凶暴を働いた群衆は、
勢いに乗じてまたもや南小路になだれ込み掠奪にかかった。
そこには雑貨店、呉服屋、食料品店、貴金属店などが軒を連ねている。
暴徒としては見逃せないところだ。
各戸の運命は風前の灯火と迫った。危機まさに間一髪、ドドドッと音立てて
打ち放された機関銃の弾は、猛り狂う暴徒の前面に火花を散らして四散した。
急を聞いて駆け付けた陸戦隊が、南小路の四辻近くに機関銃を据え付け
最後の処置を断行したのである。
時の指揮官は岡野海軍中佐。当時海軍省は左の如く発表している。
(前略)副領事帰ラントスルヤ 暴民ニ襲ハレ水兵ヲ追ヒ駆ク。 陸戦隊ノ揚陸
半舷上陸中ナリシモ 急ヲ聞キテ陸戦隊ハ 直ニ準備ヲ為ス。 一週間以来
甚シキ支那人ノ愚弄ニ 慷慨シ居リ 且ツ 目前ノ暴行ヲ知レル乗員ハ 期セズシテ
総員上陸ヲ願ヒ 直チニ準備ヲ整フ。 時二午後四時頃 一小隊総領事館前ニ
整列ス 折シモ数千ノ 群衆小学校前迄来リ、小供ヲ先ニ立テ 赤旗ヲ振フ
指揮者ノ下ニ 喊声ヲアゲテ 河岸ニ殺到セントス。 陸戦隊直ニ道路ニ散開シテ
小銃ヲ擬ス。 先ヅ空砲ヲ放チ 次デ数発ノ実弾ヲ射ツ。暴民雪崩ヲ打ツテ退却、
掠奪シツヽ租界外ニ向フ。平和街ニ接近スルヤ 頑トシテ退カズ。 己ムヲ得ズ
陸戦隊ハ本願寺ノ土堤ニ向ツテ 機銃ノ威脅射撃ヲ行フ。
群衆ハ 痛ク殴打サレタル 邦人四名ヲ残シテ 逃去レリ。 一隊ハ集合所ノ
兵員収容ノタメ 投石侮辱ノ中ヲ潜リツヽ 実包威嚇射撃ニテ 漸ク集合所ニ達シ、
上陸員一三〇名ヲ収容、 帰途鉄路外ノ邦人ヲモ 収容租界内ニ引揚ケ 二百名ノ
陸戦隊ニテ 租界ヲ護ル。更ニ電燈会社ニ 機関兵ヲ派シテ 運転点燈ス。》
つづく
これは メッセージ 380 (kireigotowadame さん)への返信です.