1939年7月 ノモンハン23 ソ連将校を捕虜に
投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2012/11/30 18:53 投稿番号: [2082 / 2250]
辻正信著
「ノモンハン秘史」
毎日ワンズ
172〜174p
《 太陽が上ると共に、歩兵第七十一連隊の主力が、
次いで歩兵第七十二連隊の主力が、波状隊形で戦場に駆けつけた。
大隊の損害は、ただ一人の大隊長だけであった。
それは全員が掘り終わった壕内に身を隠し、敵の戦車を通過させ、
後方から肉迫したためであった。
捕獲した敵戦車一輌を大隊の自動車運転手が操縦し、日の丸の旗を天蓋に立てながら、
第一線前方を、小松台に向かって突進していった。
大隊長の復仇
(ふっきゅう)
の意気物凄く進んだ。
横田大隊の渡河した場所で、工兵が一本の橋を架け、
それを渡った師団主力は両連隊を併列して南方に深く突進した。
敵は全く奇襲せられたようで、数百輌の戦車が、何らの統制もないように、
二、三十輌毎の群を作って、あるいは前方から、あるいは側方から、
あるいは横隊で、あるいは縦隊で、盲目減法にぶつかってくる。
速射砲と山砲は、四百メートル以内に敵を引きつけて、一弾必中の猛射を浴びせた。
黒煙に包まれ、火を吹く戦車の数は、一々記憶してはおれない。
第一線大隊のすぐ後ろから、戦車の機関銃弾を潜りながら前進していくうちに、
焼け出した戦車の傍を通ると、草原に伏しているソ連の将校がいた。
死んだように見える。近寄ってよく見るとどこにも血痕がない。
偽っているものと判断した。
軍刀を抜いて切尖
(きっさき)
でお尻をつついたら、奇声を上げて飛び起きた。
麻縄でその腰を縛って、第一線に進出した。習ったロシア語が初めて戦場に役立ったのである。
第七十一連隊の散兵線で、第二回目の敵の逆襲を受けたのは、午後二時頃であった。
神妙に、弾丸の中をついてきた捕虜の中尉がだんだん可愛くなってきた。
縄を解いて当番兵代わりに使った。
「何が欲しいか」
「パンと煙草」
「よし、俺と同じ姿勢で、戦さが終わるまで見ていたら褒美にパンと煙草をやるよ」
傍に岡本少尉の指揮する速射砲一門が陣地を占めて、敵の大逆襲を待ち構えている。
「おい、弾丸の補給はないぞ、二百メートルまで近寄せて撃て、一発必中だぞ」
射手は、突進する戦車の大群から撃ち出す機関銃弾を被
(こうむ)
りながらも容易に撃たない。
二百メートル以内に入ったとき突然発射して、先頭車に命中させた。
真っ赤な火が黒煙と共に上がる。
「命中!」
と叫ぶ声が朗らかに聞こえた。
次々に必中弾が浴びせられ、合計七輌を約十分間に炎上させた。
十発の弾である。多くの速射砲でもこの分隊は特別であろう。
約半数をやられた敵は、我が陣地に突入することなく、反転して退却した。》
つづく
これは メッセージ 2080 (kir**gotowa**me さん)への返信です.
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