入って中国人に南京事件真相議論しましょう

Yahoo! Japan 掲示板トピックビューアー

[ << 最初のページ | < 前のページ | メッセージリスト | 掲示板表示 | [ メッセージ # ] | 次のページ > | 最後のページ >> ]

1939年7月 ノモンハン事件22 ハルハ河渡河

投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2012/11/29 18:47 投稿番号: [2080 / 2250]
辻正信著   「ノモンハン秘史」   毎日ワンズ
169〜171p


《 部隊は再び起ち上がった。

重い舟に汗だくになった兵を叱咤しつつ、静粛行進どころではない。

走るように河岸に突進した。

間もなく高さ約三十メートルの断崖にはばまれた。



やや躊躇の色が見えたとき、

「鵯越   (ひよどりごえ)   の逆落   (さかお)   としだ、舟を辷   (すべ)   らせッ、兵も一緒に!」

と大隊長は命令し、十隻の折畳舟   (おりたたみぶね)   は将兵と共に、

高い断崖を辷り、否   (いな)   転がり降りた。

偶然にもそこはハルハ河の岸に近い道路の傍   (かたわら)   である。

ホッとして工兵が、素早く舟を水上に浮かべた。

折から珍しく小雨か霧雨が降ってきた。



大隊は十隻の小舟で、五十メートルばかりの河を漕ぎ渡った。

流速は思ったより速く、水深も深い。

しかし幸いにして前岸には敵はいなかった。

将兵は貪   (むさぼ)   るように河水を飲んだ。

昨日から灼熱の砂漠で、水に困り抜いていた将兵だ。

戦いも忘れるように貪り飲んだ。



大隊長は早くも各中隊を掌握し、夜襲の隊形を部署した。

大隊長自ら斥候を兼ね、教導を兼ねて、

ただ一つの夜光磁石によって、真南に進んだ。

約一時間以上も、無言のままただ南へ南へと直進した。

敵陣地は河岸からそんなに遠くないはずだ。



大隊長は真っ先に突入する覚悟であろうが、不思議にいつまで待っても

軍刀を抜かなかった。ただ一本の鞭を持ったままである。

もう敵とぶつかりそうだ。軍刀を幾度か抜こうと思ったが、

隣りの大隊長が抜かない前に抜いたら、笑われるだろうと我慢して進んだ。



赤土の色が直前に見える。確かに敵の第一線だ。

「突っ込め!」

という大隊長の力強い声と共に突入した。だが、この陣地はもぬけの殻であった。

がっかりした。さらに約五百メートル南方の第二線に突入した。

ここにもまた敵はいなかった。

  数日前   「モス」   で低空から偵察した通りどの陣地も皆、戦車の掩体であった。

だが数百メートル前方に微かに光がある。懐中電燈らしい。



「辻君、変だね、居らんぞ」

「横田さん、この辺で陣地を作りましょう。余り進み過ぎると架橋の掩護になりません」

大隊長はこの意見を容れて、全大隊を以て円形陣地を作らせた。

夜が明けたら、どこからやられるかわからない。

全周に約半時間で、立射散兵壕を掘り終わった。



その直後、突然激しい銃声が、続いて砲声が南に起こった。

夜光を曳く弾道が明らかに敵の数を現わしている。

「戦車だッ」   と叫ぶ声。

「壕に入れ、肉迫攻撃準備!」

と隣りに立っていた横田大隊長が怒鳴った瞬間斃   (たお)   れた。頭部貫通だ。



右から、左から、正面から十数輌の敵戦車が、大隊の陣地に突入してきた。

静寂だった戦場はたちまち修羅場となり、各所に手榴弾が、機関銃弾が飛んだ。

真っ赤な火焔が上がった。一輌、二輌と、続いて火を発した。

この戦闘は約三十分の後止んだ。

戦車二輌を火焔瓶で焼き、一輌を砲塔に飛び乗って捕えた。



大隊長を失ったことは限りなく残念であった。その位置には、未だ壕が掘ってなかった。

中央に突っ立ったまま大隊全員にまず壕を掘らせた大隊長であり、

軍刀も抜かず鞭を握ったまま斃れた。惜しい先輩を惜しいところで失った。

この責任もまた当然、自分の負うべきものである。》



つづく
[ << 最初のページ | < 前のページ | メッセージリスト | 掲示板表示 | [ メッセージ # ] | 次のページ > | 最後のページ >> ]

Yahoo! Japan 掲示板 アーカイヴ

[検索ページ] (中東) (東亜) (捕鯨 / 捕鯨詳細)