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1939年 塚本大尉 晴気氏の部下になる

投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2012/10/16 18:42 投稿番号: [1976 / 2250]
晴気慶胤著   『上海テロ工作76号』   毎日新聞社
75p


《 呉佩孚工作の中止に伴い、土肥原中将や大迫少将は二月のはじめに内地に帰還した。

そしてその後始末は、参謀本部から新しく派遣された川本芳太郎中佐

(のち上海特務部長)   が大迫少将から引き継いだ。



塚本大尉と中島少尉は上海に着任して、私の両腕となった。

私は特工の目的と計画を説明して、塚本大尉には憲兵隊との、

また中島少尉には丁黙邨との連絡担当を頼んだが、

両君とも   「丁たちをそんなに手軽く信頼するのは軽率だ」   と心配する。



そういわれるとその通りで一言もないが、賽   (さい)   はもう投げてしまったのだ。

ちょうど奔馬に目隠しで乗ったようなものだ。

面目ないがどこへどう行きつくのやら自信はない。

いわば一か八かの賭博をはって万一を僥倖   (ぎょうこう)   にするようなものだった。



もちろん成功を願って最善は尽くすが、

大筋としては成り行きをしばらくみるよりほかにもう手段はない。

工作の成果だけが丁たちの誠意と能力を明らかにするだろうが、

今までのところではだいたい間違いないと思う。

万一思わしくないときに処する腹は据えているつもりだが、

当分の間は工作の発展を静観したい、



と私の考えを説明したが、両君とも

「そんな冒険をしてよいのか」   といった様子で、なかなか納得しなかった。

だが、こう広言したものの、私の心の底にもまだ

「危ないぞ、考え直せ」   という声が、ささやきつづけていたのだ。

両君が私の虚勢を危ぶんでいたのも無理はなかった。》
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