1937年12月12日 ラーベの日記 2
投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2012/09/17 15:22 投稿番号: [1900 / 2250]
十八時半
《 紫金山の大砲はひっきりなしに轟いている。
あたりいちめん、閃光と轟音。突然、山がすっぽり炎につつまれた。
どこだかわからないが、家や火薬庫が火事になったのだ。
紫金山の燃える日、それは南京最後の日。昔からそういうではないか。
南部から逃げてくる人たちが、安全区を通って家へ急ぐのが見える。
その後から中国軍部隊がぞろぞろつづいている。
日本軍に追われているといっているが、そんなはずはない。
いちばんうしろの連中がぶらぶらのんびり歩いているのをみればわかる。
この部隊は中華門、あるいは光華門で手ひどくやられ、
パニック状態で逃げてきたことがわかった。
しだいに落ち着き、最初は気が狂ったように逃げていたのが、
いつしかのんびりとした行進にかわっていた。
それはともかくとして、日本軍がもう城門の前まで攻めてきていること、
したがって最終戦が目前に迫っていることは、もはや疑いようがない。
・・・
夜の八時少し前、龍と周がやってきた。
ここに避難させてもらえないかといってきたので、私は承知した。
韓と一緒に本部から家に帰るまえに、この二人は、本部の金庫に三万ドル預けていた。
二十時
南の空が真っ赤だ。・・・。ふたつある門の両方でノックの音がする。
なかにいれてもらおうと、女の人や子どもたちがひしめいている。
ドイツ人学校の裏の塀を乗り越えてがむしゃらに逃げこんできた男たちもいる。
これいじょう聞いていられなくなって、私は門をふたつとも開けた。
防空壕はすでにいっぱいなので、建物の間や家の陰に分散させた。
ほとんどの人はふとんを持ってきている。
庭に広げてある大きなドイツ国旗の下で寝ようというちゃっかりした連中もいる。
ここが、一番安全だと思っているのだ。
・・・
十二時ちょっとまえ、門のところでドシンというすごい音がした。
行ってみると友人のクリスティアン・クレーガーだった。
・・・
クリスティアンの話だと、メインストリートには、軍服や手榴弾、
そのほかありとあらゆる兵隊の持ち物がばらまかれているという。
中国軍が逃走中に投げ捨てたものだ。
・・・
真夜中になってようやくいくらか静かになった。私はベッドに横たわった。
北部では、交通部のりっぱな建物が燃えている。
・・・
夜の九時に龍が内密で教えてくれたところによると、唐将軍の命により、
中国軍は今夜九時から十時の間に撤退することになっているという。
後から聞いたのだが、唐将軍は八時には自分の部隊を置いて船で浦口に逃げたという。
それから、龍はいった。
「私と周の二人が負傷者の面倒をみるために残されました。
ぜひ力を貸していただきたいんです」
本部の金庫に預けた三万ドルは、
このための資金だという。
私はこれをありがたく受け取り、協力を約束した。》
*
この二人は、便衣隊による攪乱工作の密命を受けているかもしれない。
次回は、そう疑う根拠を示します。そして、その後で本来のルートに戻ります。
これは メッセージ 1887 (kir**gotowa**me さん)への返信です.
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