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1938年7月 高宗武と影佐大佐の会見

投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2012/06/02 13:59 投稿番号: [1684 / 2250]
塚本誠著   『ある情報将校の記録』   中公文庫   264〜265p


《 影佐さんは高宗武と箱根で二回会見する。

高は、「蒋政権を否認した日本の現状としては、

日中間の和平を招来するためには蒋以外の人を求めなければなるまい。

それには汪精衛   (汪兆銘)   を措いて他にこれを求め難い。



汪はかねてから速やかに日中問題を解決する必要を痛感し、

和平論を唱道しているが、国民政府内においては到底彼の主張は容れられないので、

むしろ政府の外部から国民運動を起こし、和平運動を展開、

蒋介石をして和平論を傾聴させる契機を醸成するのが適当である」

との考えを述べた。



影佐さんはこれに賛意を表したが、

それを実行するには日本は非常な責任を負わねばならないこともわかっていた。

日本は軍事的にはもちろんのこと、政治的経済的にも

中国に侵略を企図しているのではなく、

また中国においてますます発展する民族主義を否認するものでもない。



むしろこれに十分の理解と同情とをもって協力することを事実の上で示さねばならない。

高の計画遂行を援助するためには非常な努力を要するだろうと痛感していた。



影佐大佐は十三年の六月、陸軍省軍務課長に転じたので自ら主任となり

陸、海、外、大蔵の事務当局と共に日中関係調整方針要領案を作成した。

この案の基本方針は、

日中両国は道義に立脚して各々その本質を発展充実することを基本として、

両国の政治、軍事、経済、文化万般にわたり

互恵平等の原則による提携協力を求めようとするものである。

同案はその後、国の最高方針として決定された。》
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