12月12日 第16師団佐々木支隊の戦い
投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2009/09/02 18:39 投稿番号: [164 / 2250]
佐々木倒一少将の日記
十二月十二日
終夜咳が甚しくて睡つては醒めして安眠が取れず、
一個月来の作戦に疲労したからだにはかなりこたへた。
早朝起きて見たが頭が割れるばかりに痛みどうにもならず、
重大時期にと考へて見ても重い頭はやはり重い。
「副官、困つたな。これでは何も考へられん」
「お休みください、ご計画通り吾々でやりますから」
「うむ」
藁 (わら) の中に寝転んで見たが激しい銃砲声を聞いては寝ては居れない
午前十時頃に至り遂に意を決して飛出し銀孔山に指揮所を進めた。
塹壕やその後方の斜面は実に夥 (おびただし) しい敵の死体である。
部隊は昨夜命じた部署に就いて曹長から敵の主陣地帯を攻撃してゐる、
今日中に之を攻略しなければ敵の退路を遮断することができない。
そう考へるから病気なんかの為寝てはゐられなかつたのである。
見ると前面近くの高地に三八長が突ッ立つて督戦してゐる、(やつて居るな) 併 (しか) し
予は直ぐさま電話を以て 「軽挙はするな」 と云つてやつたのである。
指揮官の勇敢なる態度は必要であるが、高い姿勢は敵弾を吸収する、
そして損害を受けるものは周囲にゐる者である。
だがこゝにも高い姿勢が敵陣地を注視してゐ敵の小銃弾が盛んにやつてくる。
鳥竜山砲台から又撃つてくる、高地の稜線後にゐても砲台からは丸見えである。
又この砲台の高射砲は最後迄我軍の飛行機を射撃してゐた、
三門斉発の射弾が丁度吾々の頭上に炸裂するのを凄〃見た。
我十加 (10センチ・キャノン砲か?) が一万米の射距離で制圧射撃を始めた。
観測所が現在同じ所に在るので砲撃の結果を刻〃知ることができる。
命中弾を得たと云つてゐた。
紫金山北麓の敵野砲も亦盛に撃つてきた。
第一線歩兵の攻撃は幸に着々進捗、
遺棄死体等に依つて判断するに我支隊当面の敵は第七十八帥と四十八帥の一部であるらしい、
数倍の敵を刻〃圧迫しつゝあるのであるから痛快である。
正午頃我右翼前方に在つた敵を撃退し得たのでこゝに再び左旋回を行ひ
南京城北側地区に進出することに決した。
一時頃堯化門 (地名) 附近の雑樹林に於て転身に関する命令を下した後行動に就く、
然るに該地を去つて五分間も経たぬうちに敵の迫撃砲弾が予の立つてゐた土饅頭に命中、
それをふッ飛ばした。
紫金山北麓を前進して是より先敵既設陣地の攻撃を開始した歩三三の第一大隊は
多数の死傷者を生じつゝも敵を圧迫してゐるので、
これを拠点として我支隊主力は左旋回を為さねばならぬ、
然るにその進路は砲兵の前進に適せずとの砲兵斥候の報告であり
砲兵大隊長も不可能であるとの意見なる故砲兵を堯化門に残し
歩兵のみを以て前進することに決した。
本道から畑の中の間道に入つて間もなく忽ち石橋の落とされてゐるのに会ひ、
工兵小隊に依つて修理を加へる間、兎も角歩兵の各部隊殊に山砲は苦辛しつゝ畑の中に進入する。
・・・
午後三時頃紫金山北麓岔路口附近の敵撤退す、戦は勝ったとの感がする、
しかし正面の敵はまだ頑張つてなかなか撃退することはできない。
夕刻興街村着、紫金山の裾の寒村。一小隊を直ぐ左の高地に上げて左翼を警戒、
前面からは小銃弾がプスプスやつてくる。
十二月十二日
終夜咳が甚しくて睡つては醒めして安眠が取れず、
一個月来の作戦に疲労したからだにはかなりこたへた。
早朝起きて見たが頭が割れるばかりに痛みどうにもならず、
重大時期にと考へて見ても重い頭はやはり重い。
「副官、困つたな。これでは何も考へられん」
「お休みください、ご計画通り吾々でやりますから」
「うむ」
藁 (わら) の中に寝転んで見たが激しい銃砲声を聞いては寝ては居れない
午前十時頃に至り遂に意を決して飛出し銀孔山に指揮所を進めた。
塹壕やその後方の斜面は実に夥 (おびただし) しい敵の死体である。
部隊は昨夜命じた部署に就いて曹長から敵の主陣地帯を攻撃してゐる、
今日中に之を攻略しなければ敵の退路を遮断することができない。
そう考へるから病気なんかの為寝てはゐられなかつたのである。
見ると前面近くの高地に三八長が突ッ立つて督戦してゐる、(やつて居るな) 併 (しか) し
予は直ぐさま電話を以て 「軽挙はするな」 と云つてやつたのである。
指揮官の勇敢なる態度は必要であるが、高い姿勢は敵弾を吸収する、
そして損害を受けるものは周囲にゐる者である。
だがこゝにも高い姿勢が敵陣地を注視してゐ敵の小銃弾が盛んにやつてくる。
鳥竜山砲台から又撃つてくる、高地の稜線後にゐても砲台からは丸見えである。
又この砲台の高射砲は最後迄我軍の飛行機を射撃してゐた、
三門斉発の射弾が丁度吾々の頭上に炸裂するのを凄〃見た。
我十加 (10センチ・キャノン砲か?) が一万米の射距離で制圧射撃を始めた。
観測所が現在同じ所に在るので砲撃の結果を刻〃知ることができる。
命中弾を得たと云つてゐた。
紫金山北麓の敵野砲も亦盛に撃つてきた。
第一線歩兵の攻撃は幸に着々進捗、
遺棄死体等に依つて判断するに我支隊当面の敵は第七十八帥と四十八帥の一部であるらしい、
数倍の敵を刻〃圧迫しつゝあるのであるから痛快である。
正午頃我右翼前方に在つた敵を撃退し得たのでこゝに再び左旋回を行ひ
南京城北側地区に進出することに決した。
一時頃堯化門 (地名) 附近の雑樹林に於て転身に関する命令を下した後行動に就く、
然るに該地を去つて五分間も経たぬうちに敵の迫撃砲弾が予の立つてゐた土饅頭に命中、
それをふッ飛ばした。
紫金山北麓を前進して是より先敵既設陣地の攻撃を開始した歩三三の第一大隊は
多数の死傷者を生じつゝも敵を圧迫してゐるので、
これを拠点として我支隊主力は左旋回を為さねばならぬ、
然るにその進路は砲兵の前進に適せずとの砲兵斥候の報告であり
砲兵大隊長も不可能であるとの意見なる故砲兵を堯化門に残し
歩兵のみを以て前進することに決した。
本道から畑の中の間道に入つて間もなく忽ち石橋の落とされてゐるのに会ひ、
工兵小隊に依つて修理を加へる間、兎も角歩兵の各部隊殊に山砲は苦辛しつゝ畑の中に進入する。
・・・
午後三時頃紫金山北麓岔路口附近の敵撤退す、戦は勝ったとの感がする、
しかし正面の敵はまだ頑張つてなかなか撃退することはできない。
夕刻興街村着、紫金山の裾の寒村。一小隊を直ぐ左の高地に上げて左翼を警戒、
前面からは小銃弾がプスプスやつてくる。
これは メッセージ 163 (kireigotowadame さん)への返信です.