上海への陸軍派兵を拒む米内海相
投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2012/03/27 18:37 投稿番号: [1547 / 2250]
揚子江上流が不穏になって来たことや、
中国が急速に上海包囲網を展開していることから、
第三艦隊司令長官は、海軍中央部に陸軍の派兵を依頼していました。
戦史叢書 『中国方面海軍作戦〈1〉』
311p
《 長谷川長官の八月七日発電の具申
此 (この) 数日 更 (さら) ニ キュウ江碼頭 (マトウ:埠頭に同じ)
附近一帯ノ地ニ 江岸ニ面スル 防禦工事ヲ 施シツツアリ。
右ノ工事ハ軈 (やが) テ 呉淞ニ延長セラルベク 黄浦江岸ヨリハ
陸兵ノ上陸困難 トナルベキ場合ヲ顧慮シ 第一段作戦ノ 派遣陸軍ハ
揚子江本流ノ 上陸作戦ニモ適スル兵団ヲ 充当スルヲ要スル モノト認ム。
八月九日発電の具申 (第三艦隊機密第四八四番電)
上海附近 支那側軍備急速強化 ノ実情ハ 累次電報ノ通ナルガ、
右ハ殆ド 我ガ方ノ 予想セザリシ所 ニシテ、
今ヤ漢口ニ於ケル 居留民引揚時ノ 情況ヲ髣髴 (ほうふつ) セシムルモノアリテ、
現在ノ 上海特別陸戦隊 及 艦船陸戦隊ノ 全力ヲ以テスルモ 租界警備上
兵力不足ヲ 感ズルニ至レル ヲ以テ、 約五箇大隊ノ 兵力増援必要 ナリト認ム。
仍 (よ) ツテ此ノ際
一 佐世保待機中ノ 特別陸戦隊ヲ 至急 上海ニ派遣シ
二 先遣陸軍部隊ヲ 速 (すみやか) ニ 上海ニ派遣スルカ、 又ハ
少クトモ之ヲ 乗船地ニ 待機セシムル 要アリ。》
この日にちより前から具申はあったのですが、それに対して海軍中央部は
「当時進行中の機微な外交交渉を考慮し、事態を急速破局に導かないよう要望」 し、
かつ 軍令部は、海軍省に対し、陸軍兵力 (上海二コ師団、青島一コ師団) を
必要に応じ派遣する件を、海軍からの要請として閣議に提案するよう要求したのですが、
314p
《 米内海相は、多分に当時進行中の機微な外交措置に望みをかけ、
今明日中にその成果が期待できると思われるので、
閣議において今後の情勢に応じ直ちに要求貫徹を容易ならしめるよう措置しておくが、
今日直ちに陸軍派兵を決定するのはしばらく待ちたい、との態度であった。
・・・
十一日 10:30 、伏見宮軍令部総長は米内海相と会談した。
海相は、外交交渉の成否は予想はできないが、これを促進させることは大切であり、
今打つべき手があるにもかかわらず直ちに攻撃するは大義名分が立たず、
今しばらく模様を見ることとし、我が居留民に危害が及ぶような事態になれば
直ちに出兵する旨の意見を述べた。》
* ということで、米内海相は、なおかつ、中国を信じ、
和平が話し合いで出来ると思っていたようです。
戦前は、軍部が戦争をしたがっていたというのが通説になっていますが、
米内海相の考えは、まったく逆ですね。
むしろ、今の平和主義者に近いようです。
つづく
中国が急速に上海包囲網を展開していることから、
第三艦隊司令長官は、海軍中央部に陸軍の派兵を依頼していました。
戦史叢書 『中国方面海軍作戦〈1〉』
311p
《 長谷川長官の八月七日発電の具申
此 (この) 数日 更 (さら) ニ キュウ江碼頭 (マトウ:埠頭に同じ)
附近一帯ノ地ニ 江岸ニ面スル 防禦工事ヲ 施シツツアリ。
右ノ工事ハ軈 (やが) テ 呉淞ニ延長セラルベク 黄浦江岸ヨリハ
陸兵ノ上陸困難 トナルベキ場合ヲ顧慮シ 第一段作戦ノ 派遣陸軍ハ
揚子江本流ノ 上陸作戦ニモ適スル兵団ヲ 充当スルヲ要スル モノト認ム。
八月九日発電の具申 (第三艦隊機密第四八四番電)
上海附近 支那側軍備急速強化 ノ実情ハ 累次電報ノ通ナルガ、
右ハ殆ド 我ガ方ノ 予想セザリシ所 ニシテ、
今ヤ漢口ニ於ケル 居留民引揚時ノ 情況ヲ髣髴 (ほうふつ) セシムルモノアリテ、
現在ノ 上海特別陸戦隊 及 艦船陸戦隊ノ 全力ヲ以テスルモ 租界警備上
兵力不足ヲ 感ズルニ至レル ヲ以テ、 約五箇大隊ノ 兵力増援必要 ナリト認ム。
仍 (よ) ツテ此ノ際
一 佐世保待機中ノ 特別陸戦隊ヲ 至急 上海ニ派遣シ
二 先遣陸軍部隊ヲ 速 (すみやか) ニ 上海ニ派遣スルカ、 又ハ
少クトモ之ヲ 乗船地ニ 待機セシムル 要アリ。》
この日にちより前から具申はあったのですが、それに対して海軍中央部は
「当時進行中の機微な外交交渉を考慮し、事態を急速破局に導かないよう要望」 し、
かつ 軍令部は、海軍省に対し、陸軍兵力 (上海二コ師団、青島一コ師団) を
必要に応じ派遣する件を、海軍からの要請として閣議に提案するよう要求したのですが、
314p
《 米内海相は、多分に当時進行中の機微な外交措置に望みをかけ、
今明日中にその成果が期待できると思われるので、
閣議において今後の情勢に応じ直ちに要求貫徹を容易ならしめるよう措置しておくが、
今日直ちに陸軍派兵を決定するのはしばらく待ちたい、との態度であった。
・・・
十一日 10:30 、伏見宮軍令部総長は米内海相と会談した。
海相は、外交交渉の成否は予想はできないが、これを促進させることは大切であり、
今打つべき手があるにもかかわらず直ちに攻撃するは大義名分が立たず、
今しばらく模様を見ることとし、我が居留民に危害が及ぶような事態になれば
直ちに出兵する旨の意見を述べた。》
* ということで、米内海相は、なおかつ、中国を信じ、
和平が話し合いで出来ると思っていたようです。
戦前は、軍部が戦争をしたがっていたというのが通説になっていますが、
米内海相の考えは、まったく逆ですね。
むしろ、今の平和主義者に近いようです。
つづく
これは メッセージ 1545 (kir**gotowa**me さん)への返信です.