1月25日 ラーベの日記
投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2012/02/03 18:36 投稿番号: [1432 / 2250]
一月二十五日
《 外交部に設けられた病院で働く中国人の男女二人の看護人が、
マギーに連れられて本部へやって来た。
病院で働いていた苦力が一人、日本兵に刺し殺されたのだ。
我々はくわしい事情を聞き、極秘文書に記録した。
それと同時に、どうやらひどい状態らしい軍政部の病院について、
人かに報告してもらうことにした。
我々が届けを出さなかった事件の一つにこういうのがある。
ある中国人が日本人のために一日中働き、お金の代わりに米をもらった。
疲れきって家族とともに食卓に着くと、テーブルには妻が今さっき
置いたばかりの鉢がのっており、おかゆがすこし入っていた。
これが一家六人の夕食だった。
そこへ通りかかった日本兵が面白がってその鉢に放尿し、笑いながら立ち去った。
彼は何の罰も受けずに済んでしまった。
この話を聞いたとき、 『奴隷となるよりは死を』 という
リリーエンクローンの詩が思いうかんだ。
だが中国人たちにあの自由人、リリーエンクローンのまねをしろと
いったところでどだい無理な話だ。
これでもかとばかりに踏みつけにされ、
中国人はもう長いことひたすら苛酷な運命に甘んじてきたのだ。
前にも言ったように、
これなどほとんど気にもとめられないほどの小さな出来事なのだ。
もし強姦した人間が残らず仕返しに殴り殺されたら、
日本軍はすでに全滅していることだろう。
ドイツ大使館を通じて、たった今妻のドーラから手紙を受け取った。
「いまならすぐに休暇でドイツへ帰れます。いま逃げださないと、
あと五年、待つことになりますよ」。
まあ、そこまでひどくなることはもうないと思うが。
三月一日までここに残ってもいいと会社がいってくれるかどうか、
とりあえず待つことにしよう。
もっともそのときになってもまだ片づいていないかもしれないが。
私としては、休暇は歓迎だ。
実際のところ、いま中国にはいいかげん嫌気がさしている。
けれど、だからといって逃げだすわけにはいかないのだ!
二十二時十分
ラジオ上海によると、クレーガーが日曜日の晩、一月二十三日に、
屋根のない列車に十二時間揺られた末、無事に上海に到着したそうだ。》
* 「食卓に着くと、・・・鉢がのっており、おかゆがすこし・・・
これが一家六人の夕食だった。そこへ通りかかった日本兵が面白がって
その鉢に放尿し、笑いながら立ち去った。」
食事は家の中、日本兵が外を通っていても、食事中かどうかわからない。
一軒一軒入って、調べるわけがない。
ましてや、放尿など、その時、出るとは限らないだろう。
かつて清国の官憲は、宣教師たちに、中国人の訴えを信用するなと言ったが、
まさに、これこそが、それだろう。
《 教士 (宣教師) は性直にして、詭譎 (あやしげ) な情形を知らず、
教民が実在 (じっさい) にいじめられたと思って、遂に地方官と難を為す。
そのじつ、ひとたび対質 (といただし) を経れば、事みな虚無なり》
届け出を出さなかったのは、ラーベ達も確証がなかったのでは。
《 外交部に設けられた病院で働く中国人の男女二人の看護人が、
マギーに連れられて本部へやって来た。
病院で働いていた苦力が一人、日本兵に刺し殺されたのだ。
我々はくわしい事情を聞き、極秘文書に記録した。
それと同時に、どうやらひどい状態らしい軍政部の病院について、
人かに報告してもらうことにした。
我々が届けを出さなかった事件の一つにこういうのがある。
ある中国人が日本人のために一日中働き、お金の代わりに米をもらった。
疲れきって家族とともに食卓に着くと、テーブルには妻が今さっき
置いたばかりの鉢がのっており、おかゆがすこし入っていた。
これが一家六人の夕食だった。
そこへ通りかかった日本兵が面白がってその鉢に放尿し、笑いながら立ち去った。
彼は何の罰も受けずに済んでしまった。
この話を聞いたとき、 『奴隷となるよりは死を』 という
リリーエンクローンの詩が思いうかんだ。
だが中国人たちにあの自由人、リリーエンクローンのまねをしろと
いったところでどだい無理な話だ。
これでもかとばかりに踏みつけにされ、
中国人はもう長いことひたすら苛酷な運命に甘んじてきたのだ。
前にも言ったように、
これなどほとんど気にもとめられないほどの小さな出来事なのだ。
もし強姦した人間が残らず仕返しに殴り殺されたら、
日本軍はすでに全滅していることだろう。
ドイツ大使館を通じて、たった今妻のドーラから手紙を受け取った。
「いまならすぐに休暇でドイツへ帰れます。いま逃げださないと、
あと五年、待つことになりますよ」。
まあ、そこまでひどくなることはもうないと思うが。
三月一日までここに残ってもいいと会社がいってくれるかどうか、
とりあえず待つことにしよう。
もっともそのときになってもまだ片づいていないかもしれないが。
私としては、休暇は歓迎だ。
実際のところ、いま中国にはいいかげん嫌気がさしている。
けれど、だからといって逃げだすわけにはいかないのだ!
二十二時十分
ラジオ上海によると、クレーガーが日曜日の晩、一月二十三日に、
屋根のない列車に十二時間揺られた末、無事に上海に到着したそうだ。》
* 「食卓に着くと、・・・鉢がのっており、おかゆがすこし・・・
これが一家六人の夕食だった。そこへ通りかかった日本兵が面白がって
その鉢に放尿し、笑いながら立ち去った。」
食事は家の中、日本兵が外を通っていても、食事中かどうかわからない。
一軒一軒入って、調べるわけがない。
ましてや、放尿など、その時、出るとは限らないだろう。
かつて清国の官憲は、宣教師たちに、中国人の訴えを信用するなと言ったが、
まさに、これこそが、それだろう。
《 教士 (宣教師) は性直にして、詭譎 (あやしげ) な情形を知らず、
教民が実在 (じっさい) にいじめられたと思って、遂に地方官と難を為す。
そのじつ、ひとたび対質 (といただし) を経れば、事みな虚無なり》
届け出を出さなかったのは、ラーベ達も確証がなかったのでは。
これは メッセージ 1421 (kir**gotowa**me さん)への返信です.