1月18日 政府の捕捉説明
投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2012/01/19 18:43 投稿番号: [1399 / 2250]
児島襄著
『日中戦争4』
275〜277p
《 二日後 (18日)、日本政府は、さらに次のような 「補足的声明」 を発表した。
「爾後国民政府ヲ対手トセズ ト云フノハ、同政府ノ否認ヨリモ 強イモノデアル」
それというのも、外務省は 「対手トセズ」 声明を発表するさい、
なお将来の交渉の可能性を考えて、 「相手」 とすべきところを
「対手」 にかえた、という。
「相手」 を 「対手」 にすればその意味になるかどうかは、はっきりしないが、
いずれにせよ、声明にたいしてはその 「軟調子」 を批判する声が高まった。
明確に蒋介石政権を否認したらどうか。
すでに北支に誕生している臨時政府は、いわば 「漢奸」 になる覚悟で
日本に協力している。 まだ同政府を正式承認できないのであれば、
なおのこと、激励の意味からも蒋否認ぐらいは声明すべきではないか……。
そこで、政府の再声明となり、 「補足的声明」 は、次のようにも強調していた。
「今回ハ……之 (国民政府) ヲ抹殺セントスルモノデアル」
― ところで、
この 「対手トセズ」 声明については、しばしばその意義の重大さが指摘される。
日中両国大使の召還をともなって実質的な国交断絶をまねき、
軍事課長田中大佐が指摘する
「三つの支那」 (西北共産支那、国民政府支那、親日支那) の並存をきそい、
つまりは 「日中戦争」 の泥沼化の 「元兇」 だ ― という。
のちに、首相近衛文麿も、
「この声明は、識者に指摘されるまでもなく、非常な失敗であった……
従って……再び重慶との撚 (よ) りを戻すことに種々手を打ったのであるが、
成功せず……」 と、遺憾の意をこめて手記している。
だが、はたしてそうであろうか ― 。
問題は、 「対手トセズ」 声明そのものよりは、この声明を生みだした
「母体」 にあったはずである。
これまでに述べたように、声明は、参謀次長多田中将が 「奇怪」 に感じたほどの
政府の強腰が推進力となり、参謀本部も結局は同調して、誕生した。
そこには、必至の長期戦にたいする用意はさらになく、
あるのは 「政治的興奮」 だけであり、
眼前に横たわるのは、政戦略の裏付けを欠く 「暗澹タル前途」 である。
そして、中国側は、とっくに和平拒否、抗戦継続を決定して、戦備にはげんでいる。
となれば、南京攻略にともなう和平条件の加重が、そもそもの発端であり、
声明発表までの内部論争も、声明を 「失敗」 だとみなす反省も、
すべては日本側の 「一方的空転」 にすぎなかった、といえる。
― 一方、
蒋介石は、 「対手トセズ」 声明を知ると、まずは 「有一笑而己」 と述べ、
日本側がいう 「新興支那政権」 の樹立は、要するに中国の領土主権を
破壊する意図を宣言するものであり、
かえって、国際世論を反日親中国におしやる結果になる、との判断を示した。》
《 二日後 (18日)、日本政府は、さらに次のような 「補足的声明」 を発表した。
「爾後国民政府ヲ対手トセズ ト云フノハ、同政府ノ否認ヨリモ 強イモノデアル」
それというのも、外務省は 「対手トセズ」 声明を発表するさい、
なお将来の交渉の可能性を考えて、 「相手」 とすべきところを
「対手」 にかえた、という。
「相手」 を 「対手」 にすればその意味になるかどうかは、はっきりしないが、
いずれにせよ、声明にたいしてはその 「軟調子」 を批判する声が高まった。
明確に蒋介石政権を否認したらどうか。
すでに北支に誕生している臨時政府は、いわば 「漢奸」 になる覚悟で
日本に協力している。 まだ同政府を正式承認できないのであれば、
なおのこと、激励の意味からも蒋否認ぐらいは声明すべきではないか……。
そこで、政府の再声明となり、 「補足的声明」 は、次のようにも強調していた。
「今回ハ……之 (国民政府) ヲ抹殺セントスルモノデアル」
― ところで、
この 「対手トセズ」 声明については、しばしばその意義の重大さが指摘される。
日中両国大使の召還をともなって実質的な国交断絶をまねき、
軍事課長田中大佐が指摘する
「三つの支那」 (西北共産支那、国民政府支那、親日支那) の並存をきそい、
つまりは 「日中戦争」 の泥沼化の 「元兇」 だ ― という。
のちに、首相近衛文麿も、
「この声明は、識者に指摘されるまでもなく、非常な失敗であった……
従って……再び重慶との撚 (よ) りを戻すことに種々手を打ったのであるが、
成功せず……」 と、遺憾の意をこめて手記している。
だが、はたしてそうであろうか ― 。
問題は、 「対手トセズ」 声明そのものよりは、この声明を生みだした
「母体」 にあったはずである。
これまでに述べたように、声明は、参謀次長多田中将が 「奇怪」 に感じたほどの
政府の強腰が推進力となり、参謀本部も結局は同調して、誕生した。
そこには、必至の長期戦にたいする用意はさらになく、
あるのは 「政治的興奮」 だけであり、
眼前に横たわるのは、政戦略の裏付けを欠く 「暗澹タル前途」 である。
そして、中国側は、とっくに和平拒否、抗戦継続を決定して、戦備にはげんでいる。
となれば、南京攻略にともなう和平条件の加重が、そもそもの発端であり、
声明発表までの内部論争も、声明を 「失敗」 だとみなす反省も、
すべては日本側の 「一方的空転」 にすぎなかった、といえる。
― 一方、
蒋介石は、 「対手トセズ」 声明を知ると、まずは 「有一笑而己」 と述べ、
日本側がいう 「新興支那政権」 の樹立は、要するに中国の領土主権を
破壊する意図を宣言するものであり、
かえって、国際世論を反日親中国におしやる結果になる、との判断を示した。》
これは メッセージ 1384 (kireigotowadame さん)への返信です.