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飢饉でも食糧を徴発した中国軍

投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2011/11/30 19:14 投稿番号: [1180 / 2250]
劉震雲著   『温故一九四二』   中国書店   劉燕子訳   より


22頁

《「春になったとたんに、雨が一滴も降らん。麦は三割しか収穫できなかった。

一粒もとれない畑さえあった。・・・」

「餓死者が発生したのでしょう?」

花瓜おじはうなずいた。

「何十人   (註:その村だけの話、全省では3百万人)   も、餓死したぞ」



「麦の収穫は、三割あったはずでしょう?   なぜ餓死したの?」

おじは、ぼくを睨みつけた。

「おまえは小作料を払わんのか?   軍糧は払わんのか?   租税は払わんのか?

田畑を売ったって、まだ足りんかった。

たとえ餓死せんでも、お役所に殴り殺されるさ!」



31〜32頁

一九四三年一月一七日に書かれた   「預災実録」   より

△現在、木の葉は食べ尽くされ、村の出入り口にある杵と臼では、連日、

   落花生の皮や楡   (にれ)   の皮をつき、それを蒸して食べる・・・


△最近、私は、どの被災者の顔もむくみ、鼻孔と目尻が黒ずんでいることに

   あらためて気づいた。最初は飢えによる症状だと思い込んでいたが、後になって、

   「黴花 (ばいか)」   と呼ばれる野草の毒にあたって、むくんでいるのだと知った。

   ・・・「旦那、こんなものさえ、もうねえよ! おれたちはみんな食っちまって、

   歯も顔も手も足も痛いほど痺れちまってるぜ!」・・・



△河南では、原始の物々交換の時代に戻った。

   女子どもを売ろうとしても買い手がないので、自分の若い嫁や十五、六歳の娘は、

   ロバの背中に乗せて、河南省東部の駄河、周家口、界首などの人売りの市場まで

   連れて行き、娼妓として売った。一人売っても、四斗の穀物も買えない。・・・


46頁

しかし、食糧徴発計画は変わらなかった。


45〜46頁

農民に課せられた軍糧は実際の必要を上回っていた。

中国軍隊において長い歴史があり、今も依然として横行している慣例では、

上級組織にたいして報告する部隊の人数は水増しされる。

こうして彼らは水増し報告によって支給された人件費を着服し、私利を貪るのである。

洛陽の公開市場に山積みされている穀物は、このようなルートを経たものである

・・・

楡の皮や乾いた木の葉を食べる被災民が、彼らの最後の食糧である種子を

納税機関に渡すことを余儀なくされた。

虚弱な身体で、ほとんど歩けないような農民も、軍隊に軍馬の飼料を

納めなければならなかった。

これらの飼料は、彼らが自分の口に押しこむものより、

ずっと栄養価値の高いものであった。


47頁

重大なのは、これらの被災民を統治する何人もの役人が、この災難を利用して、

金儲けのチャンスを狙ったことである。


アメリカの記者、ホワイトは、ある部隊の司令官が部隊の余った食糧を

被災民に売りつけ、大儲けしたことを、その目で確かめている。

西安と鄭州から来た商人、政府の木っ端役人や軍の士官、

そして、食糧を手にして儲けている地主らが、

しきりにあくどい低価格で農民の祖先が残してきた田畑を買いあさっていた。》
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