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芸術・真実・政治 ハロルド・ピンター 6

投稿者: messaiah2101 投稿日時: 2005/12/31 12:51 投稿番号: [86189 / 118550]
  作家の人生は、か弱いものです。裸同然の活動であります。しかし、だからといって、泣くことはありません。作家は自分自身で選択し、選んだものに固執します。しかし、あらゆる風にさらされ、ときとして凍(い)てついた風に吹き付けられるのだというのも、真実です。でも、自分自身の足だけで立っていなければなりません。避難所もなければ、保護するものもない。それも、嘘をつくなら、話は別です。その場合、あなたはもちろん、自分で自分の守りを固めていく。そうして――議論の余地はありますが――、政治家になっていく……。

  今宵、わたしは何度も死者について語って来ました。ここでわたしの詩、『死(Death)』を引くことにしましょう。

    死体が出たのはどこだ?
    死体を見つけたのはだれだ?
    死体は出てきたとき死んでいたか?
    死体はどうやって出て来たか?

    死体はだれだ?

    死体は父か、娘か、弟か?
    叔父か、妹か、母か、息子か?
    死んで捨てられたものの

    死体は裸か旅装をしてたか?

    死体が死んだというのは、どうして?
    死体が死んだとあなたが言ったの?
    死体が死体だとどうして知ったの?
    死体が死んでいるとどうしてわかるの?

    死体をあなたは洗いましたか?
    死体の両の目を閉じたのですか?
    死体をあなたは埋めましたか?
    死体をあなたは捨てましたか?
    死体にあなたはキスしましたか?


  わたしたちが鏡を見るとき、目の前に現れた映像を寸分の狂いもない正しいものと考えます。でも、わたしたちが1ミリ、動いても、映像は変化します。わたしたちは実は、無限の反射の射程(しゃてい)に向き合っているのです。作家はしかし、ときにその鏡を破壊しなければなりません。鏡の向こう側から、真実がわたしたちを見ているからです。

  途方もない困難が現に存在します。しかし、ひるまず、ゆるがず、市民として、わたしたちの生の現実における真実を言葉にする、強固な知的決意をすることは、わたしたちがみな、譲り受けるべき、きわめて重大な責務であります。それは、わたしたちに与えられた使命です。

  もしかりにそうした決意がわたしたちの政治のヴィジョンに体現されなければ、わたしたちはすでにほとんど失いかけているものを復興する希望をなくしてしまうことでしょう。失いかけているもの――それは、人間の尊厳です。


(大沼安史による試訳)


出典サイト:
http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2005/12/index.html

原文サイト:
http://books.guardian.co.uk/news/articles/0,,1661516,00.html

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