対イラク武力行使

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芸術・真実・政治 ハロルド・ピンター 4

投稿者: messaiah2101 投稿日時: 2005/12/31 12:34 投稿番号: [86187 / 118550]
  こうした文脈のなかで、死は無意味化されます。ブッシュもブレアも、誰が死のうとお構いなし。イラク人の武装抵抗が始まる前に、少なくとも10万人ものイラク人がアメリカの爆弾やミサイルで殺されました。死んだ人びとは、見向きもされなかった。彼(女)らの死は、存在していません。空白のままです。死んでいる、と記録もされない。「われわれは死者のボデー・カウントをしない」と、アメリカの将軍、トミー・フランクは言いました。

  イラク侵略が始まって間もないころ、イギリスの新聞の第1面に、トニー・ブレアがイラクの小さな男の子の頬にキスしている写真が載りました。写真説明はこうでした。「感謝する少年」。それから数日後、新聞の奥のページに、両腕を失った、別の4歳の男の子の話と記事に掲載されました。少年の家族は、一発のミサイルで吹き飛ばされていたのです。そして、この子だけが助かった。少年はこう言いました。「ぼくの腕をいつ返してくれるの?」。その記事はその後、削除されました。そうです、ブレアはその子を抱かなかった。腕や足をなくしたどんな子も、血まみれのどんな死体も、ブレアは抱きませんでした。血は汚れているのです。血は、テレビで誠実そうに演説する、シャツやネクタイを汚すのです。

  2000人のアメリカ人が死んで、慌てています。闇に紛れて、墓地へ運ばれて行きました。葬式は地味に、危険のない場所で。手足を失った者はベッドに朽ち、ある者は一生をかけて果ててゆく。つまり死者も非不具者も、ともに朽ちてゆく。墓の種類が違うだけです。

  〔チリの詩人〕パブロ・ネルーダの詩、『そのわけを話そう』の一節を引くことにしましょう。

    そしてある朝、すべてが燃え出した
    ある朝、大きな炎が
    大地から噴き出し
    人間をむさぼりつくした
    そしてそのときから   火が
    弾薬が
    血が

    飛行機に乗りムーア人を連れた悪党どもが
    指輪をはめて公爵夫人を連れた悪党どもが
    祝福する黒衣の修道士を連れた悪党どもが
    子どもを殺しに空から舞い降り
    子どもの血が通りを流れる
    静かに   子どもの血のように

    ジャッカルにさえ蔑まれるジャッカルどもよ
    乾いたアザミの花さえ棘を刺し、唾棄(だき)する石どもよ
    マムシにさえ毛嫌いされるマムシどもよ

    お前たちの面前に   わたしは見たのだ   血が
    スペインの血が   波の塔になって逆巻き
    お前たちをひと呑みにする
    誇りと刃のうねりになって

    裏切り者ども
    将軍どもよ
    殺されたわが家を見よ
    破壊されたスペインを見よ
    燃え盛る家々から金属が溶け出る
    花たちに代わって
    抉(えぐ)り取られた、ひとつひとつのスペインから
    スペインが現れる
    そして死んだ子どものひとりひとりから、両目を持ったライフルが
    そしてひとつひとつの犯罪のあとから、弾丸が生まれ出て
    いつの日か必ず
    お前たちの心臓の的を狙うのだ

    諸君らは尋ねる   スペインの詩はなぜに
    夢を葉を歌わないかと
    ふるさとの大地の偉大なる火山の歌を歌わないかと

    来て、見てくれ   通りに流れた血を
    来て、見てくれ
    通りに流れた血を
    来て、見てくれ   血を
    通りを!

  わたしがパブロ・ネルーダの詩を引用したのは、〔フランコのファシストに滅ぼされた〕スペイン人民共和国をサダム・フセインのイラクになぞらるためではないことを、はっきり言わせてください。わたしがネルーダを引いたのは、現代詩のなかに、これほどパワフルに、民衆への爆撃の悲惨を描き切ったものがほかにないからです。

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