対イラク武力行使

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芸術・真実・政治 ハロルド・ピンター 2

投稿者: messaiah2101 投稿日時: 2005/12/31 12:34 投稿番号: [86185 / 118550]
主権国家を直接的に侵略することは、たしかにこれまで、アメリカ好みのやり方ではありませんでした。アメリカはこれまで、主として「低強度紛争」といわれるやり方を好んで来た。低強度紛争とは、爆撃で一撃のもと死ぬのではなく、より緩慢(かんまん)に数千人の人びとが死んでいくことです。それはある国の中心を侵し、悪を増殖させ、壊疽(えそ)が広がるのを見ていることです。人びとが制圧され――殴り殺され――それは同じことですが――たあと、権力の座に快適に座る、あなた方の友人たち、軍や大企業のみなさんが、カメラの前に出て来て、デモクラシーが勝利したと言う……。これはわたしが言及した戦後期の米外交に共通するものです。


(中略   氏はここでニカラグアを例に取り上げ、世界における米国のはたした役割の一例を述べています)


米国は第2次大戦後、多くの場合、世界の右翼軍事独裁政権をつくって来ました。わたしが言っているのは、インドネシア、ギリシャ、ウルグァイ、ブラジル、パラグァイ、ハイチ、トルコ、フィリピン、グァテマラ、エルサルバドルのことです。そして、もちろん、チリのことも。1973年、米国がチリにもたらした恐怖は、忘れることができないものであり、決して許されないことです。

  こうした国々では数十万の人びとが死亡しました。ほんとうに起きたの?   全部が全部、米国の外交政策のせいなの?   答えはイエス。それは実際に起き、アメリカの外交のせいなのです。しかし、みなさんは知らずにいた。

  だからそれは起きなかった。なにひとつ、起きなかった。それが起きつつある時でさえ、それは起きなかった。どうでもよかった。なんの関心もなかった。
  これらの米国の犯罪は、組織的であり持続的であり、悪意に満ちて情け容赦のないものでした。にもかかわらず、それについて発言する人はほとんどいなかった。すべてをアメリカの手に委ねてしまわなければならなかった。アメリカは一方で普遍的な善のための力を偽装しつつ、世界中で権力の臨床操作を行って来たのです。それは、頭のいい、機知にさえ富んだ、すばらしい成功を積み上げて来た催眠術でした。

  わたしは米国こそ、疑いなく、巡業中の最も偉大なるショーであると言いたい。残虐で冷淡で、嘲りに満ち、容赦のないところがあるにせよ、非常に賢い。セールスマンとして旅に出ており、その最も売れ筋の商品が自己愛なのです。米国は勝利者です。アメリカの大統領がテレビでいう言葉を聞いてごらんなさい。「アメリカのみなさん(The American people)」という言葉が、次のような文章のなかで出て来ます。「アメリカのみなさんに向かって、わたしはいまこそ祈りのときであり、アメリカのみなさんの権利を守るときであると言いたい。そしてわたしはアメリカのみなさんに、いまアメリカのみなさんのために行動を起こそうとする、あなたがたの大統領を信じてほしいとお願いしたい」

  眩いばかりの戦術です。実際問題として、思考を窮地に追い込むべく、言葉が使われています。「アメリカのみなさん」という言葉は、なんども安心させる、ほんとうに官能的なクッションです。考える必要などありません。クッションに身をゆだねるようしていればいい。そのクッションは知性と批判精神を窒息させるかも知れませんが、とても気持ちのいいものなのです。もちろん、この言葉は、貧困線下にあえぐ4000万人のアメリカ人や、米国各地に広がる牢獄につながれた200万人の男女に当てはまるものではありませんが……。

  米国は最早、低強度紛争のことで頭を使うこともありません。口を噤んだり、遠まわしの言い方で逃げることに意味を見出さなくなりました。恐れることなく、あるいは親切心もなく、テーブルの上にカードを曝(さら)け出すようになっている。米国が無力で無関係とみなす、国連や国際法、批判的異見など、どうでもいいものと、ただただ思っているのです。そしてそれは、弱々しい子羊を背後に引き連れている。病人のように無気力な英国という羊を。

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