>イスラム独裁政権とアメリカ
投稿者: bonno_216 投稿日時: 2005/08/10 18:18 投稿番号: [77009 / 118550]
>アメリカに対する憎悪が高まったのは、アメリカが他のアラブ諸国
>(ヨルダン、レバノン、サウジアラビア)などをエジプト、シリア
>イラクのナサーやバース党から守るために援助したことにある。
汎アラブ主義が、強制的なアラブ統一を目指すものでないことは、今や誰でも知っています。「ナセルがアラブ帝国の実現を目指して、周辺国を侵略しようとしている」というようなプロパガンダは、50年代の遺物でしかないのです。
アラブは、英仏によって多くの王国に分割されましたが、もともとは同一民族であり、それぞれの王国でも民衆同士は「兄弟国家」という考え方が強いのです。クウェート王国の憲法にも「クウェートの人民はアラブ国民の一部をなす」と規定されているように、サバハ家はアラブの一行政区の「領主」にすぎず、我々はアラブ国民の一部だ…という意識が浸透しています。
イラク戦争でフセイン政権が崩壊した直後、シリア政府は「旧イラク領をシリアが併合すべき」という声明を出しましたが、この一見「とんでもない」と思える主張も、アラブの論理では結構な説得力を持っているのです。ちなみに、1991年、イラクのクウェート併合も同じ文脈であり、日本に喩えれば「沖縄返還」と、それほど変わらない感覚だったということは、一応知っておくべきでしょう(もちろん、国家主権侵害が正当だと言うつもりじゃありません)。
ナセル大統領や汎アラブ主義の台頭が、「地方提督」としての王室を脅かしたことは確かですが、それは軍事的な侵略ではなく、思想的な浸透です。各王室は、主として自国の国民から突きつけられる「民主化要求」こそが、一番の敵であると見ていました。
そうしたところへ、王室を守るために米国が介入してきたわけです。すでに共和国へと移行していた国々は、米国による「内政干渉」に悩まされ、国家ぐるみで「反米」化しましたが、米国に「守られていた」王国では、「親米政権、反米国民」という捻れ現象が起きたのです。王国の国民が、汎アラブ主義や、新生の共和国による侵略を恐れ、米国に救いを求めたのであれば、こうした捻れは生じません。王室と民意が著しく乖離しているところへ、王室の権力を救済する目的で米国が進出したこと、これが一番の問題だったのです。
それと、「アラブ諸国の没落は米国の陰謀」などと言う考えを持つアラブ人は、ほとんど居ないと思いますよ。アラブ人は元々、ベドゥインの民であり、生活ぶりは質素でした。しかし、石油の発見によって貧富の差が急激に広がったことから、階層間憎悪が増幅し、政情が不安定になっただけのことです。外国政府の干渉がなければ、早々に革命が起こり、共和国化していたかも知れませんが、民衆の憎悪は主に「国の富」を占有する王室や富豪たちに向かっていたのであり、米国をはじめとする外国の企業等は、むしろ「庶民に仕事と富をもたらす」福の神と見られていました。
今でも、アラブ人たちは米国企業(に限らず、日本等の企業も含めて)の進出を歓迎しています。しかし、外国資本が自国の政府と結託して、自国の資本や産業や労働者との競争を、アンフェア化してしまうことには怒りを持っています。アラブを没落させたのは米国じゃないってことくらい、アラブ人は百も承知でしょう。しかし、今現在、アラブの発展を阻害しているのは、米国の中東政策であると言う事実も、彼らは知っているのです。
>(ヨルダン、レバノン、サウジアラビア)などをエジプト、シリア
>イラクのナサーやバース党から守るために援助したことにある。
汎アラブ主義が、強制的なアラブ統一を目指すものでないことは、今や誰でも知っています。「ナセルがアラブ帝国の実現を目指して、周辺国を侵略しようとしている」というようなプロパガンダは、50年代の遺物でしかないのです。
アラブは、英仏によって多くの王国に分割されましたが、もともとは同一民族であり、それぞれの王国でも民衆同士は「兄弟国家」という考え方が強いのです。クウェート王国の憲法にも「クウェートの人民はアラブ国民の一部をなす」と規定されているように、サバハ家はアラブの一行政区の「領主」にすぎず、我々はアラブ国民の一部だ…という意識が浸透しています。
イラク戦争でフセイン政権が崩壊した直後、シリア政府は「旧イラク領をシリアが併合すべき」という声明を出しましたが、この一見「とんでもない」と思える主張も、アラブの論理では結構な説得力を持っているのです。ちなみに、1991年、イラクのクウェート併合も同じ文脈であり、日本に喩えれば「沖縄返還」と、それほど変わらない感覚だったということは、一応知っておくべきでしょう(もちろん、国家主権侵害が正当だと言うつもりじゃありません)。
ナセル大統領や汎アラブ主義の台頭が、「地方提督」としての王室を脅かしたことは確かですが、それは軍事的な侵略ではなく、思想的な浸透です。各王室は、主として自国の国民から突きつけられる「民主化要求」こそが、一番の敵であると見ていました。
そうしたところへ、王室を守るために米国が介入してきたわけです。すでに共和国へと移行していた国々は、米国による「内政干渉」に悩まされ、国家ぐるみで「反米」化しましたが、米国に「守られていた」王国では、「親米政権、反米国民」という捻れ現象が起きたのです。王国の国民が、汎アラブ主義や、新生の共和国による侵略を恐れ、米国に救いを求めたのであれば、こうした捻れは生じません。王室と民意が著しく乖離しているところへ、王室の権力を救済する目的で米国が進出したこと、これが一番の問題だったのです。
それと、「アラブ諸国の没落は米国の陰謀」などと言う考えを持つアラブ人は、ほとんど居ないと思いますよ。アラブ人は元々、ベドゥインの民であり、生活ぶりは質素でした。しかし、石油の発見によって貧富の差が急激に広がったことから、階層間憎悪が増幅し、政情が不安定になっただけのことです。外国政府の干渉がなければ、早々に革命が起こり、共和国化していたかも知れませんが、民衆の憎悪は主に「国の富」を占有する王室や富豪たちに向かっていたのであり、米国をはじめとする外国の企業等は、むしろ「庶民に仕事と富をもたらす」福の神と見られていました。
今でも、アラブ人たちは米国企業(に限らず、日本等の企業も含めて)の進出を歓迎しています。しかし、外国資本が自国の政府と結託して、自国の資本や産業や労働者との競争を、アンフェア化してしまうことには怒りを持っています。アラブを没落させたのは米国じゃないってことくらい、アラブ人は百も承知でしょう。しかし、今現在、アラブの発展を阻害しているのは、米国の中東政策であると言う事実も、彼らは知っているのです。
これは メッセージ 77000 (oxnardnokakashi さん)への返信です.
固定リンク:https://yarchive.emmanuelc.dix.asia/552019567/bpa5a4a5ia5afipno9tbbh_1/77009.html