>>>イラクの政治勢力(1
投稿者: bonno_216 投稿日時: 2005/05/06 16:36 投稿番号: [70523 / 118550]
>たぶんキーパーソンはシスタニ氏とハキーム氏のように見受け
>られるのですが、どのように分析されますか?
ちょっと長くなりますが、日本で唯一と言ってよいイラク研究家、酒井啓子さんが、開戦前の2003年2月に以下のようなことを書いておられます。
【引用】
だが、国を離れて何十年にもなる旧特権層の人々が、フセイン体制後のイラクの国づくりを即座に担えるわけではない。彼らが「民主化」を担うとして、かつての限定的民主主義、「革命的」勢力によって打倒された「大衆」不在の議会制度以上のものが期待できるだろうか。
その限界を補完するため、イラクの新政権をより「民主的」でイラク社会を広範に代表しているように見せるために、米政権がシーア派やクルド民族などの「地場勢力」に対する抱き込みを本格化するようになったのは、99年以降のことである。この年、アメリカは初めてイスラーム主義を掲げるシーア派を中心とした政治組織、SCIRIへの支援を明らかにした。
このことは一見、アメリカが「革命的」イスラーム勢力を「新政権」の一翼に組み込んだかのように見える。
だが実態はむしろ「シーア派」という宗派集団を一種のエスニック的に独自の存在と捉えて、多文化主義的色彩を「新政権」にまぶすための措置であると言えよう。ポスト・フセイン政権を構想する際、なるべくイラク全体を「代表」しているように見える体制を整えるために「革命的」イスラーム主義組織であるSCIRIはむしろ「シーア派」の代表として支援対象に選ばれた。
このような「シーア派=イスラーム主義」という分類は、先に指摘したように、もともとバアス党政権が「革命的」勢力を押し込めるために採用した考え方である。イスラーム勢力の間には、本来全国政党として中央に進出していくべき性格の政党であるにもかかわらず、「イラク南部=シーア派地域」のみに限定された「地方勢力」として制約されることに、根強い不満がある。
ブッシュ政権がフセイン後の政権構想のために接触を持っているイラク反体制派の様相を総合すると、次のようになろう。すなわち、欧米的発想の通用しやすい欧米在住の個人政治家を通じて、基本的には王制期の「貴族的議会制度」の流れを汲む地方名士を登用し、それがイラク社会全体を代表しているような形式をとるためにエスニック・宗派ラインに沿った権力の分散を図る。
だがこうした権力のエスニック・宗派的な分散は、もともと存在している社会集団に対してなされるのではない。むしろこうした措置は、「権力」を前に新たな「民族」や「部族」の出現や消滅を促し、既存の社会を分断し亀裂を生むことになりかねない。表面的な地方分権に反発し、イラクの都市政治エリートの間に再び中央集権への野望が駆り立てられる可能性もある。地方に君臨する「封建貴族」に対する都市下層住民の「革命」志向という、かって経験された展開が踏襲されるのではないか。
【引用終わり】
あらら、引用が長くなりすぎて文字数制限にかかりそうなので、項を改めますね。
>られるのですが、どのように分析されますか?
ちょっと長くなりますが、日本で唯一と言ってよいイラク研究家、酒井啓子さんが、開戦前の2003年2月に以下のようなことを書いておられます。
【引用】
だが、国を離れて何十年にもなる旧特権層の人々が、フセイン体制後のイラクの国づくりを即座に担えるわけではない。彼らが「民主化」を担うとして、かつての限定的民主主義、「革命的」勢力によって打倒された「大衆」不在の議会制度以上のものが期待できるだろうか。
その限界を補完するため、イラクの新政権をより「民主的」でイラク社会を広範に代表しているように見せるために、米政権がシーア派やクルド民族などの「地場勢力」に対する抱き込みを本格化するようになったのは、99年以降のことである。この年、アメリカは初めてイスラーム主義を掲げるシーア派を中心とした政治組織、SCIRIへの支援を明らかにした。
このことは一見、アメリカが「革命的」イスラーム勢力を「新政権」の一翼に組み込んだかのように見える。
だが実態はむしろ「シーア派」という宗派集団を一種のエスニック的に独自の存在と捉えて、多文化主義的色彩を「新政権」にまぶすための措置であると言えよう。ポスト・フセイン政権を構想する際、なるべくイラク全体を「代表」しているように見える体制を整えるために「革命的」イスラーム主義組織であるSCIRIはむしろ「シーア派」の代表として支援対象に選ばれた。
このような「シーア派=イスラーム主義」という分類は、先に指摘したように、もともとバアス党政権が「革命的」勢力を押し込めるために採用した考え方である。イスラーム勢力の間には、本来全国政党として中央に進出していくべき性格の政党であるにもかかわらず、「イラク南部=シーア派地域」のみに限定された「地方勢力」として制約されることに、根強い不満がある。
ブッシュ政権がフセイン後の政権構想のために接触を持っているイラク反体制派の様相を総合すると、次のようになろう。すなわち、欧米的発想の通用しやすい欧米在住の個人政治家を通じて、基本的には王制期の「貴族的議会制度」の流れを汲む地方名士を登用し、それがイラク社会全体を代表しているような形式をとるためにエスニック・宗派ラインに沿った権力の分散を図る。
だがこうした権力のエスニック・宗派的な分散は、もともと存在している社会集団に対してなされるのではない。むしろこうした措置は、「権力」を前に新たな「民族」や「部族」の出現や消滅を促し、既存の社会を分断し亀裂を生むことになりかねない。表面的な地方分権に反発し、イラクの都市政治エリートの間に再び中央集権への野望が駆り立てられる可能性もある。地方に君臨する「封建貴族」に対する都市下層住民の「革命」志向という、かって経験された展開が踏襲されるのではないか。
【引用終わり】
あらら、引用が長くなりすぎて文字数制限にかかりそうなので、項を改めますね。
これは メッセージ 70499 (lonlontimago さん)への返信です.
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