対イラク武力行使

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「侵略の罪」の定義化不要論

投稿者: silverlining430 投稿日時: 2004/12/13 13:43 投稿番号: [59555 / 118550]
ちょい今時間がありますので小話をば。

テトさんが「侵略の罪」についての法的拘束力のない総会決議を不磨の大典のように持ち出してきているのが、見ていてあまりにも忍びないというか気の毒なので…。

なぜ「侵略の罪」が総会決議でいちいち取り上げられ、定義付けの試みがなされているのかについてですが、ニュルンベルク・東京裁判の際、日本とドイツが問われた、「戦争犯罪」「人道に対する罪」「侵略の罪」――の3つの犯罪については、遡及効を認めることにならないかとの疑義がずっと持たれ続けており、かかる諸概念の定義化がかねてから求められておりました。

「戦争犯罪」と「人道に対する罪」については、戦時国際法規とジュネーブ条約の規定があるので、定義は明確なのですが、問題は「侵略の罪」の定義をどうするかということでした。

しかも国連憲章が起草された後、武力行使が、武力による威嚇も含め、包括的に禁止されることになったため、「侵略」だけ取り上げて定義化を図ることは、武力行使を包括的に禁じた憲章2条4項の理念に反するとの声が上がっておりました。

つまり、武力不行使原則を確立した現行国際法の下では、「侵略」だけが違法化されたわけではないから、「侵略」だけ取り上げ定義化することに意味はない――という批判が頻出したのです。

一方、東京・ニュルンベルク裁判で、「侵略の罪」という概念が登場してしまったからには、この概念を放置しておくわけにもいくまい――という意見も当然あり、取り敢えず、「法的拘束力のない」国連総会決議という形で、定義だけ示しておこうというのが、テトさんがご紹介されているものです。

この作業に「侵略の罪」を明確化し、設定したという意味はありません。

「侵略」とは何かということを定めたにすぎず、侵略に至らない武力行使も包括的に禁じた現行国際法上の原則の中の一部分が総会決議で説明されたという程度のものです。

総会決議の形が取られていることについては、「侵略の罪をそもそも定義する必要があるのか」という反発もあったものですから、法的拘束力のない形での表明に止めているというわけです。

実際、国際刑事裁判所の規程をご覧になれば分かることですが、規定の第5条で犯罪の構成要件の一つに「侵略の罪」を挙げながら、侵略の罪については別途定義化の作業が必要であると付記しているわけです。総会決議はICCの規程で参考にされておらず、「侵略の罪」の定義は依然未確定であるというスタンスです。

ICC規程の起草作業で出た話を紹介すると、「侵略の罪は、武力行使を包括的に禁じた現行国際法秩序下では必要ないのではないか」との意見はやはり登場しています。

いずれにせよ、「侵略」であれ「侵攻」であれ「戦争」であれ「先制攻撃」であれ、これらが憲章2条4項に牴触するということであり、「侵略」にだけに特化し禁じているのが現行の国際法秩序の中身ではないということです。
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