対イラク武力行使

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コリン・パウエルの苦悩(戦い−1)

投稿者: need2003jp 投稿日時: 2003/09/22 13:37 投稿番号: [27211 / 118550]
  「国連主導の多国籍軍派遣を容認する、国連決議案をまとめるため、安保理各国と交渉するように。」
  8月末の某日、ブッシュ大統領は、不機嫌な表情で、パウエル国務長官に指示を送った。
  「国連の権限拡大の条件は?」
  パウエルの問いに、ブッシュ大統領は、次のように答えた。
  「多国籍軍の司令官は、アメリカ人が就くこと。」
  パウエルは、大きく息を吐いた。あの広大なイラクを統治する上では、多国籍軍の派遣は当然の措置と考えた。しかし、アメリカ人司令官を条件に挙げたのは、指揮権維持を求めるペンタゴンへの配慮が見え隠れしている。
  ブッシュ大統領は、思い通りに行かないイラク情勢に、フラストレーションがたまっていた。世論も、大統領の再選不支持が支持を上回り、頭痛の種だった。
  これに加えて、折角の夏休みを潰す事態も、起こっていた。
  「米兵を故郷に戻せ!」
  8月23日、ブッシュ大統領が夏休みで滞在中の、テキサス州クロフォードの牧場近くで、イラク駐留米軍の撤退を求める米兵家族や退役軍人たちが主催する集会が開かれた。
  ブッシュ大統領による、大規模戦闘終結宣言後も、毎日のようにアメリカ軍を狙った襲撃やテロで、米兵が死ぬというイラク情勢に対して、ただ黙って指をくわえている者はいないだろう。
  集会では、こんな皮肉たっぷりビラが、ばらまかれた。
  「兵士が信じられない暑さと戦っているのに、大統領はエアコン付きのバケーションを楽しんでいる。」
  こんな皮肉を言われて、機嫌がいいというのは、相当の愚か者か、物凄く心の広い人間だろう。
  「あと、日本のことだが・・・」
  ブッシュ大統領の不満は、日本にも向けられていた。小泉首相が、自衛隊のイラク派遣を約束しながらも、未だに派遣の準備すら見せていない日本に、ブッシュ大統領は、苛立ちを隠し切れないでいた。
  「アーミテージを送ります。」
  パウエルは溜め息をついた。

  「厄介なものを頼んできましたね。」
  「俺たちは、ペンタゴンの尻拭いをしなきゃならないんですか?奴らが、勝手に戦争を始めたんですよ。」
  ブッシュ大統領の要請に、アーミテージ以下、国務省の高官たちは、渋い表情だった。当然であろう。対立するペンタゴンがしでかした失敗の後始末を、自分たちがやらされるのだ。国務省の高官たちの気持ちは、快いものではない。
  だが、パウエルは、真剣そのものだった。
  「もう事は起きている。我々に、撤退は許されない。もう、やれる限りのことをやるしかないのだぞ。」
  一瞬の沈黙の後、アーミテ−ジが、重々しく口を開いた。
  「やるしかないですね。」
  他の国務省の高官たちも、アーミテ−ジの言葉に、大きく頷く。パウエルは、次のような指示を送った。
  「これから、ハードでタフな交渉をしなければならない。何せ、今回の国連決議は、アメリカにとって、大切な時期だと考えてもらいたい。国連も、本部事務所の爆破テロで、人員を削減する意向で、多国籍軍の派遣には難色を示している。そして、安保理各国との交渉だが、もっとも手ごわいのは、フランスだ。フランスは、今回の戦争で、ドイツと共に、一貫して戦争反対を貫いたからな。とにかく、全力で臨んで欲しい。」
  「分かりました。」
  国務省の高官たちは、早速仕事に取り掛かった。その中で、パウエルは、アーミテ−ジだけを呼び止めた。
  「君には、早速仕事をしてもらいたい。会議室へ。」
  アーミテージは、訝しげな表情を見せつつ、パウエルの後についていった。

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