クルド人問題

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激変イラクの政治力学2

投稿者: nanisun_carrion 投稿日時: 2005/07/22 13:01 投稿番号: [6 / 16]
■『抵抗勢力に勝てぬかも』

  シーア派でも変動が起きた。イラン亡命組で、イラン・イラク戦争ではイラン側に立ったイラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)や、移行政府のジャファリ首相率いるアッダワ党は続けて権力を握る。

  しかし、暫定政府では枠外だった非亡命組で、米国と「貸し借り」がないファディーラ党や反米を掲げるサドル派が移行政府に加わり、サドル派からはサラーム・マーリキー運輸相(同派政治局員)が入閣。シーア派全体としては明らかに米国との距離が開いた。

  移行政府のタラバニ大統領ら、北部のクルド勢力こそ大きな変化はないが、移行政府全体としては相対的に米国離れが進んだ形だ。

  戦闘を激化させているスンニ派主流の抵抗勢力は、(1)イスラム急進主義勢力(2)旧政権残党グループ(3)反旧政権派で世俗的なアラブ民族主義勢力(4)犯罪者集団−などに大別される。数回にわたる米国の「制圧間近」という宣伝にもかかわらず、現在まで戦闘能力の低下はみられない。

  抵抗勢力による戦闘激化と既存政権の米国離れ、さらに、「ブッシュ政権のイラク政策反対」が56%に上る米国世論が国防長官の弱音の背景にあるようだ。

  懸念されるのは、米国離れが明らかになったイラクの国内情勢が、安定より内戦へ向かっている点だ。八〇年から八八年の停戦まで続いたイラン・イラク戦争の「国内版」ともいえる緊張がスンニ、シーア両派の間に生まれている。

  米ナイト・リッダー通信は移行政府の発足後、バグダッドの中央死体置き場に無差別逮捕されたスンニ派住民の遺体が急増中と報じた。スンニ派聖職者の誘拐と殺害も相次いでいる。

  五月下旬、スンニ派の知識人ら約千人が政府に独自調査団設立とSCIRIに属するバヤーン・ジャブル内相の責任追及を求めた。というのも「スンニ派狩り」を米軍と展開している内務省特殊部隊(オオカミ部隊)の実体が、SCIRIの軍事部門「バドル軍団」とみられているためだ。

  バドル軍団はイラン・イラク戦争中、イラク人捕虜をイランで拷問したことで知られる。その暗い記憶とSCIRIがシーア派急進主義である点から、世俗的な抵抗勢力は六月下旬、首都のSCIRI事務所を爆破、七月一日にはアッダワ党事務所を自爆攻撃するなど抗争は激化の一路だ。

  さらに「シーア派は異教徒より悪質」と信じるスンニ派の急進主義者もこの混乱に乗じている。同志社大の中田考教授(現代イスラム運動)は「シーア派のバドル軍団にせよ、スンニ派のザルカウィ・グループにせよ、異教徒より相手宗派を潰(つぶ)すことが神学上、重要とみる」と指摘する。

  一方、北部クルド地区ではクルド勢力がアラブ系住民らの民族浄化を始めている。米ワシントン・ポスト紙は「クルド勢力が私設刑務所にアラブ系住民らを拘束している」という米国務省の秘密メモを暴露した。
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