日本の国債市場の現状(九)
投稿者: daiwagokiburi 投稿日時: 2005/07/26 15:24 投稿番号: [39721 / 66577]
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国債累増と金融政策
国債が累増する中で、金融政策はどの程度有効であるかを考えた場合、財政運営をより厳しくさせるデフレ傾向から脱却するには日銀が大量に国債を引き受けて、インフレを引き起こすことが望ましいという論理が最近では出てきている。インフレによって政府の名目的負債の実質的価値が減少し、その分財源を確保することができるという主張や、デフレ傾向にある限り、国債を日銀が引き受けても当面は何の支障もないという主張からきている。適度なインフレでは財政収支を好転させる効果もそれほど大きくない。しかしインフレ調整で財政危機を克服することは高インフレを招く恐れがあり、適度なインフレを実現するのは困難である。金融をどの程度緩和すれば、どの程度のインフレ圧力になるかも不透明である。さらにその金融緩和が過度に行われれば、予想外の高インフレが生じるかもしれない。デフレ傾向が続く中で、国債の償還可能性に対する懸念が増幅され、構造改革の遅れや日銀引受しか最終的な手段がないとすれば、国債価格は暴落し、金利上昇を招きかねない。実際に財政赤字が累積する状況においては、ゼロ金利政策のような金融緩和策を実施してもインフレは生じにくい。財政赤字の拡大と国債の発行は、それが市中で消化されている限りにおいて、インフレ圧力にはならない。むしろ国債残高が累積することで、貨幣需要が刺激されると、かえってデフレ要因になる。あまり国債残高が増えすぎると、国債よりも貨幣を保有する方が有利になると考える。国債保有と違って、貨幣保有では将来の償還リスクや価格変動リスクもないので、国債から貨幣へシフトする動きが出てくる。デフレ下で実質金利が低いと、ますます貨幣保有のコストは低くなるので、貨幣需要は刺激される。
ゼロ金利下では家計のタンス預金が増加しており、貨幣需要が刺激されれば、その分だけ貨幣の相対的価値は上がり、デフレ圧力が加わる。90年代に入ってからの国債大量発行はデフレ要因になっている。しかし、90年代に大量発行した国債はいずれ償還を迎える。そのときにはインフレ圧力が大きくなる可能性もある。将来、財政再建を余儀なくされれば、借換債の発行で負担を先送りするにも限界が生じてくる。そうした場合、現金償還の財源として増税や歳出の削減が困難であれば、やはり最終的な手段として国債の日銀引受で財源を調達する可能性が高くなる。これは貨幣供給を増加させるので物価は上昇し、インフレ圧力になる。
もう1つの金融政策としては日銀による国債の買いオペである。政府が新規に国債を発行すると、最初は市中で消化されるが、すぐに日銀が買いオペを実施して、国債を吸収する。
そうすることによって、貨幣が市中に多く流通する。民間部門は、当初は国債を吸収することで、貨幣残高は減少するが、それを相殺するように、買いオペが行われるので、結果として、民間の貨幣保有は一定になる。したがって、政府が新たに貨幣を用いて新規の財政出動を行うことで、経済全体に流通する貨幣量は増加する。日本では、日銀が直接国債を引き受けることは法律で禁止されている。しかし、いったん発行された国債を日銀が買いオペで吸収することは法律的に問題はない。もし、日銀が大量の国債を買いオペで吸収する政策を実施すれば、事実上、日銀の国債直接引受けと同じことである。買いオペを無制限に実施すれば相当のインフレ圧力になる。しかし、財政問題を金融政策で荒治療するのは一種の頓服(熱さまし)的な役割でしかなく、効果も長持ちしない。将来に高い経済成長による税収増が見込めない現状では、財政再建の本筋は構造改革である。中長期的に信頼できる金融政策にとって、日銀の独立性が有効であるのと同じく、財政当局も財政政策を裁量的に行うのではなく、中長期的に現実性のある財政を確立すべきである。
国債が累増する中で、金融政策はどの程度有効であるかを考えた場合、財政運営をより厳しくさせるデフレ傾向から脱却するには日銀が大量に国債を引き受けて、インフレを引き起こすことが望ましいという論理が最近では出てきている。インフレによって政府の名目的負債の実質的価値が減少し、その分財源を確保することができるという主張や、デフレ傾向にある限り、国債を日銀が引き受けても当面は何の支障もないという主張からきている。適度なインフレでは財政収支を好転させる効果もそれほど大きくない。しかしインフレ調整で財政危機を克服することは高インフレを招く恐れがあり、適度なインフレを実現するのは困難である。金融をどの程度緩和すれば、どの程度のインフレ圧力になるかも不透明である。さらにその金融緩和が過度に行われれば、予想外の高インフレが生じるかもしれない。デフレ傾向が続く中で、国債の償還可能性に対する懸念が増幅され、構造改革の遅れや日銀引受しか最終的な手段がないとすれば、国債価格は暴落し、金利上昇を招きかねない。実際に財政赤字が累積する状況においては、ゼロ金利政策のような金融緩和策を実施してもインフレは生じにくい。財政赤字の拡大と国債の発行は、それが市中で消化されている限りにおいて、インフレ圧力にはならない。むしろ国債残高が累積することで、貨幣需要が刺激されると、かえってデフレ要因になる。あまり国債残高が増えすぎると、国債よりも貨幣を保有する方が有利になると考える。国債保有と違って、貨幣保有では将来の償還リスクや価格変動リスクもないので、国債から貨幣へシフトする動きが出てくる。デフレ下で実質金利が低いと、ますます貨幣保有のコストは低くなるので、貨幣需要は刺激される。
ゼロ金利下では家計のタンス預金が増加しており、貨幣需要が刺激されれば、その分だけ貨幣の相対的価値は上がり、デフレ圧力が加わる。90年代に入ってからの国債大量発行はデフレ要因になっている。しかし、90年代に大量発行した国債はいずれ償還を迎える。そのときにはインフレ圧力が大きくなる可能性もある。将来、財政再建を余儀なくされれば、借換債の発行で負担を先送りするにも限界が生じてくる。そうした場合、現金償還の財源として増税や歳出の削減が困難であれば、やはり最終的な手段として国債の日銀引受で財源を調達する可能性が高くなる。これは貨幣供給を増加させるので物価は上昇し、インフレ圧力になる。
もう1つの金融政策としては日銀による国債の買いオペである。政府が新規に国債を発行すると、最初は市中で消化されるが、すぐに日銀が買いオペを実施して、国債を吸収する。
そうすることによって、貨幣が市中に多く流通する。民間部門は、当初は国債を吸収することで、貨幣残高は減少するが、それを相殺するように、買いオペが行われるので、結果として、民間の貨幣保有は一定になる。したがって、政府が新たに貨幣を用いて新規の財政出動を行うことで、経済全体に流通する貨幣量は増加する。日本では、日銀が直接国債を引き受けることは法律で禁止されている。しかし、いったん発行された国債を日銀が買いオペで吸収することは法律的に問題はない。もし、日銀が大量の国債を買いオペで吸収する政策を実施すれば、事実上、日銀の国債直接引受けと同じことである。買いオペを無制限に実施すれば相当のインフレ圧力になる。しかし、財政問題を金融政策で荒治療するのは一種の頓服(熱さまし)的な役割でしかなく、効果も長持ちしない。将来に高い経済成長による税収増が見込めない現状では、財政再建の本筋は構造改革である。中長期的に信頼できる金融政策にとって、日銀の独立性が有効であるのと同じく、財政当局も財政政策を裁量的に行うのではなく、中長期的に現実性のある財政を確立すべきである。
これは メッセージ 39720 (daiwagokiburi さん)への返信です.
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