地学雑誌 第210号

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P417(ラスト)

投稿者: senkaku_islands 投稿日時: 2012/11/15 19:57 投稿番号: [18 / 24]
にして海風常に全面を吹き荒し、一抹の樹木なく南面のみ雑草の僅かに生するを見るのみ全周断崖絶壁を以て囲まれ軟性の石層より成り、周辺何れよりするも攀登殆んど不可能なり。全島平坦の地に乏しく、水道の両側に於ては狭少なる平坦の砂礫二・三ケ所あれども皆洋濤の襲来を免れず。

東島に於ては菰葦の仮小屋あり。此小舎は中井養三郎の竹島漁業会社の所有にかかるものなり

(昨38年8月8日の暴風にては家屋漁船等全く洗い去られたりとぞ)。是等は鯔猟の為、夏季此島に来島する漁夫用のものなれども、今は著しく破壊し僅かに其形跡を止ひるのみ。故に今若し破損の状況よりして判断せんか。此附近を蹂躙する風波の猛威案ずるに余りあるなり。而して風浪の鋭鋒を避け得べき家屋建築用地は僅かに左記二ケ所あるに過ぎず。

(イ)西島の東面に山崩れあり。其傾斜頗る急にして上半は殆んど直立し、到底攀登する能はざれども、下半は稍緩傾斜をなし辛うして其中腹迄這達するを得、此辺一帯地質堅硬なる岩層にして之を開●すれば三坪弱の平坦地を得べく東風の方悉く遮蔽し得

(ロ)東島の頂部は一見平坦なる部分多く家屋建設に適する如くなれども、之を路査するには径路に多大の工事を施すに非ずんば、局地に達する能はず。従て実見し得ざるなり。概して海洋の烈風に対して四囲曝露の難を免れざるも独り南端の平坦地のみは三四坪の広さあり。西北の一方は遮蔽せらる

此の如くして全島凡て絶壁断崖なり。一の渓地より他の隣渓に至らんとするも、亦小舟に依らざる可からず。西島は西南隅に一の洞窟ありて其天蓋をなす。岩石より滴出する水は其量梢多しと雖も雨水の滴下すると同様にして之を採取する事困難なり。山頂より山腹に沿い滴瀝する水は数個所にて発見せるも、其量少なく且つ其経路は海豹の尿屎等によりて汚染せらるるを見たり。

甞て東島の東南隅に於て滴下するものを採取し試験したるに一種異様の悪臭を放ち黄色を呈し既に汚水たるを証せりと云ふ。該水は化学的検査上到底飲料に適せざるものにて、理学的反応黄色、有臭微潤濁酸性反応、格魯兒多量、硫酸多量、硝酸なし、亜硝酸なし、石灰少量、安母尼亜少量、有機質中量なりきと云。聞く毎年六七月の頃海豹猟のため渡来するものは海上浪静かなるとき島水を吸み来りて煮炊の用に供すれども、飲料としては猶他地方より待ち来るを常とす。

斯の如く水悪しき為脚気又は水腫病にかかるもの少なからず。此列島は鬱陵島と共に日本海を東西に横断せる海底山脈上に座すと雖附近の水極めて深く

http://www.tanaka-kunitaka.net/takeshima/chigaku-1906/
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