紫陽花亭日乗

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提婆達多 ⑮

投稿者: ajisai110701 投稿日時: 2011/07/15 00:07 投稿番号: [93 / 735]
仏陀はこたえた。

「お前たちは私にむかってそういう言葉を使ってはならぬ。
私は如来である。
私はお前たちに法を説いてきかそう。
私の教に従うならばお前たちはやがて必ず道果を証得するであろう」

鹿野苑での三月の間に、仏陀は五十六人――あるいは六十人の徒弟を得た。
一年がたち、仏陀の指示で弟子たちは世間の福田となり衆生を済度する
という目的をもって遊行へと散った。

仏陀自身は当時の大国マガダ国の首都ラジャクリハへと歩をすすめた。

途中、比丘衆一千人とともに伽耶尸利沙(ガヤーシルシャ)の山上にのぼり、
山頂の一大岩のうえに坐した。
折からむかいの丘の繁みに火がともされた。
仏陀が比丘たちに説教をする。

「比丘たちよ、一切のものは皆燃える。さらば一切のものが燃えるとはなにか。
比丘たちよ。眼は燃える。色は燃える。眼識は燃える。眼触は燃える。
眼触によって生ずるところの受もまた燃える。
苦も燃える。楽も燃える。非苦も非楽も燃える。
一切のものは皆悉く燃える。
それはなんの火によって燃えるか。貪、瞋、痴、三毒の火によって燃えるのである。
生、老、病、死、愁憂、苦悩の火によって燃えるのである。
眼、耳、鼻、舌、身、意、色、声、香、味、触、法は皆悉く燃える。
聖弟子如是の法を聞けばこれらのものを厭離して染著(センジャク)なく、
便ち解脱を得、解脱の智生じ、所作已に弁じ、梵行已に立てば復(また)
世間に転生することはないのである」


拝火教の教組カッサバも仏陀の門に入った。カッサバは言う。

「私は寂静を見ております。そこには生滅もなく、煩悩もなく、愛憎もありませぬ。
私はそれを知るがゆえに事火の祭祀を楽しまぬのであります」


今、週刊誌の広告などで阿含の火祭りの宣伝を見ることがある。
よくわからないのだけれど、そのルーツはゾロアスターだろうか。
それなれば、仏陀の教えに対しては外道ということになると思うが。


仏陀はそれから彼らとともにマガダ国の王、ビンビサラ王の都城に入った。
仏陀の説く教えを聞いたビンビサラ王は歓喜に堪えず仏陀を拝していった。

「世尊われ仏陀に帰依したてまつる。われ僧に帰依したてまつる。
世尊願わくば今より後終生優婆塞(うばそく)とならんことを」


「優婆塞」(upasaka)とは、在家の男子の仏教信者をいう。
女性の場合は「優婆夷・うばい」(upasika) である。


つづく

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