紫陽花亭日乗

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提婆達多 ⑫

投稿者: ajisai110701 投稿日時: 2011/07/14 21:22 投稿番号: [90 / 735]
シッタルタとヤショダラの間にできた男の子は、名をラーフラといった。

かねてより出城して世俗的生活からの脱出をし、修行をしたい
という希望を持っていた
シッタルタにとって、その男児は自分の望みを妨げる障碍物以外の
何者でもなかった。

ラーフラという言葉は、
インドの古代語であるサンスクリットのラーフ   Rahu   に由来する。
このラーフは、もともと日蝕・月蝕の「蝕」を意味する言葉であった。
太陽の輝きをさえぎるもの、月の光を覆うもの、ということである。
そこから「障碍・ショウゲ」とか「障り・さわり」などを指す
ラーフラ   Rahula   という語ができた。
そしてもう一つ重要な派生的意味として
「悪魔」としての意味にも使用されることとなった。
すなわち、輝きや光の障りとなるような存在=悪魔的存在、
という解釈である。


あるいは、ヒンドゥー教の神話に、以下のようなものがあるという。

神々とアスラ(阿修羅・アシュラ)、すなわち悪魔たちのあいだで、
不死のからだをもたらす甘露(アムリタ)をめぐって激しい争奪戦があった。
このとき神々の側に立って戦ったのが太陽神と月神であり、
それに対してアスラ側に回ったのがラーフという名の悪魔であった。
ラーフは、太陽と月とを腹中に呑みこんでしまう。
しかし最終的には神々が勝利し、悪魔たちは空や海に逃げ去った。
ラーフラの名は、この神話に登場する悪魔ラーフラに由来するのだという。

ラーフラは、父シッタルタによって
ラーフラと命名されたことにより棄てられ、出城によって棄てられた、
いわば二度にわたって棄てられたあわれな捨て子であった。


伝承によれば、仏陀が悟りを開いてふるさとのカピラバストゥーに
帰郷したとき、ラーフラは仏陀によって出家させられている。
このときラーフラは九歳であったという。


『維摩経』「弟子品」によれば、伝承の仏陀十大弟子の第九番目に
「学習第一」としてラーフラの名があがっている。


「怨みをいだいている人々のあいだにあって怨むこと無く、
われらは大いに楽しく生きよう。
怨みをもっている人々のあいだにあって怨むこと無く、
われらは暮らしていこう」

◆ダンマバダ・15-197、中村元訳『ブッダの真理のことば   感興のことば』
より



◆この項は、山折哲雄『ブッダは、なぜ子を捨てたか』
を参照してのあじさいの記述です。



つづく

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