紫陽花亭日乗

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Re: 『蕭蕭』     沈従文

投稿者: ajisai110701 投稿日時: 2011/10/22 22:30 投稿番号: [684 / 735]
当初、幼夫が蕭蕭と一緒にいることは二度とできなくなったが、
その後また円満にもとどおりの状態になり、
姉弟(蕭蕭と幼夫)は普通に話したり笑ったりして日を過ごした。

幼夫は、蕭蕭の腹の中に子がいることを知っており、またこのことにより
蕭蕭が遠方に嫁いでいかなければならないことも知っていた。

しかし、幼夫は蕭蕭がいなくなることを決して願ってはおらず、
蕭蕭自身もまたここを出たくなかった。

皆は何がなんだかわけがわからなかったが、ただしきたりどおりに
するべきだという強迫観念のもと、そうせざるをえなかった。
畢竟、そのしきたりは誰が定めたものか、周公か周公の奥さんか
ということをはっきり説明できるものはいなかった。

蕭蕭の買手を待っているうちに十二月になったが、依然として
買い手はつかず、蕭蕭はこの家で正月を迎えざるをえなかった。

翌年二月、月満ちて蕭蕭は草の上に男児を生み落とした。
丸い頭に大きな目、元気よく大声で哭いた。

みなは非常に親切に母子ふたりの世話をし、しきたりに従い
蒸し鶏を食べさせ甘酒を飲ませ補血させ、紙銭を焼いて神に感謝した。
一家をあげて蕭蕭の子を歓迎した。

生んだ子が男の子であるいじょう、蕭蕭はよそへ嫁ぐ必要はなくなった。


蕭蕭が正式に幼夫と結婚式をあげ新婚生活に入ったとき、
この男児はすでに十歳になり、半人前の労働力を有していた。
牛の世話をし草を刈り、一家の生産労働を担う一員となった。
日常は、蕭蕭の夫を大叔(おじさん)と呼び、
大叔(おじさん)もまたそれに返事をし和気藹々としていた。

この男児の名は牛儿{ニョ(ウア)ル}といった。
牛儿も十二歳で結婚し、新婦は牛儿より六歳年長だった。
新婦は年がいっている分、諸事万端よくまにあい家事を助けることだろう。
ソーナ(チャルメラ)が門前に到着したとき、新婦は花駕籠のなかで
しくしくと泣いており、祖父と曽祖父とをひどくあわてさせた。



★>草の上に男児を生み落とした。<
原文は、「坐草生了一个儿子」。
草原(くさはら)で産んだ、というのではなく、きちんと産屋で産んだ、
こどもを産むときには、ふとんのかわりに汚れてもいいように、
ほし草などをたくさん敷いたと思われます。

★>周公か周公の奥さんか<
原文は、「是周公還是周婆」。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%87%E7%8E%8B_(%E5%91%A8)

儒教では、この夫婦の、
君主としてのありかた、君主の妻としてのありかた、夫婦としてのありかた
を理想的なものととらえていました。

たとえばそれは、『詩経』の注釈である「詩序」や「集伝」を
いくつか読むとわかります。

★牛儿
この場合は、「儿」は「児」。


つづく

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