紫陽花亭日乗

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題加藤清正狩虎圖     佐藤牧山

投稿者: ajisai110701 投稿日時: 2011/10/13 23:27 投稿番号: [656 / 735]
題加藤清正狩虎圖      佐藤牧山(1801〜1891)
加藤清正、虎を狩るの圖に題す


誰歟飛渡海茫茫       誰歟(か)飛渡す   海   茫茫
勢如破竹那可當       勢   破竹の如し   那(なん)ぞ當たる可し
破八道   擒兩王       八道を破り   兩王を擒(とら)う
誰買餘勇去狩虎       誰か餘勇を買い   去(ゆ)きて虎を狩る
腥風捲旗旗飄揚       腥風   旗を捲き   旗   飄揚
呀然開口怒負嵎       呀然(がぜん)   口を開きて   怒りて負嵎(ふぐう)
應手血迸八尺槍       手に應じて   血迸る   八尺の槍
吁嗟乎朝鮮有虎       吁嗟乎(ああ)   朝鮮に虎有り
虎是鼠            虎は是れ鼠なり
日本無虎人是虎       日本に虎無し   人は是れ虎なり


いったい誰であろうか、
飛ぶように、あの茫茫と広がる日本海を渡って行った人は

破竹の勢いのこの勇士に、どうして対抗することができようか

朝鮮八道を破り、臨海君と順和君のふたりの朝鮮王子を捕えた

いったい、清正以外の誰が、
あの勇士の残った勇気を買って朝鮮まで行き、虎を狩るであろうか

生臭い獣の匂いを風が運び、清正の旗印を吹き上げ、旗は翩翻とはためく

虎が耳まで裂けんばかりにガッと口を開き、怒りに燃えて
山の片隅に山を背負っているかのように人を待ち構えている

清正の手がさっと動いたかと思うと、グサリと虎をやっつけて血が迸る
清正の持っているのは、八尺の十文字槍

ああ、朝鮮には虎がいるのだな
(日本には虎はいない)

しかし、見よ、その虎も加藤清正のような勇者にかかっては鼠も同然

我が日本には虎はいないが、加藤清正という虎のような豪傑がいるのだ


★加藤清正は本当に虎退治をやったのでしょうか。
加藤清正は、幼名・虎之助。寅年生まれです。

★八道・・・朝鮮半島は八つの行政区域に分かれていました。

★餘勇・・・『春秋左氏傳』「成公二年」の高固
戦闘開始にあたり、敵を挑発しているところです。

「傳」
齊高固入晉師、桀石以投人、禽之而乘其車、繋桑本焉、以徇齊壘、
曰、欲勇者、賈余餘勇、

「読み下し」
齊の高固、晉の師に入り、石を桀(にな)いて以て人に投じ、これを
禽(キン)して其の車に乘り、桑本に繋(つな)ぎて、以て齊の壘に徇(とな)う。
曰く、勇を欲する者は、余が餘勇を賈え、と。

「解釈」
まず齊の高固という武将が、石を戦車にたくさん積みこみ、
その戦車に乗って晉軍に突入し、その石を人にぶつけ、
石があたってへたりこんでいる敵(晋)の兵士をひっつかまえては、
車に乘りこみ、桑の木の根本に繋いで、自軍の駐屯している土塁に戻ると、
雄叫びをあげてこうとなえた。

★鉄砲以前は、石つぶては重要な武器(飛び道具)だったようです。

「勇を欲する者は、わしの勇気のあまりを賈え」と。

★勇気はまだまだ売るほどあるぞと、言っています。

★負嵎・・・山の片隅。『孟子』に出てくる言葉。

★桀・・・もともとは「磔・はりつけ」という字。
磔は、人間を高い所に持ち上げて処刑すること。
高所に持ち上げる意。「注」桀擔也。
ここでは石を高々とふりあげて、ということです。

★桑の木は、剪定しなければ大木になります。
日本の桑の木は、葉を摘むときに手が届くように剪定してあるのです。

★訓読・解釈は、紫陽花です。
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