咸陽城東樓 許渾
投稿者: ajisai110701 投稿日時: 2011/08/27 23:34 投稿番号: [386 / 735]
咸陽城東樓
許渾(晩唐・791〜854?)
一上高城萬里愁
一たび高城に上れば萬里愁う
蒹葭楊柳似汀洲
蒹葭(けんか)楊柳
汀洲に似たり
溪雲初起日沈閣
溪雲初めて起こりて
日
閣に沈み
山雨欲來風滿樓
山雨來たらんと欲して
風
樓に滿つ
鳥下䖝蕪秦苑暮
鳥は䖝蕪(りょくぶ)に下る
秦苑の暮(くれ)
蝉鳴黄葉漢宮秋
蝉は黄葉に鳴く
漢宮の秋
行人莫問當年事
行人問う莫(なか)れ
當年の事
故國東來渭水流
故國
東來
渭水流る
咸陽の高楼(たかどの)に登ってみると、
みはるかす万里のかなたまで、愁いに満ちている
おぎやあしが伸び放題に伸び、柳が生い茂っているさまは、
まるで川の水際の砂地のようで、かつての繁華な都の面影はない
谷間からいましも雲が浮かび出たかと思うと、日は高楼の向こうに沈み
山から雨が近づいてくるのか、
不気味な風がこの楼を取り巻くようにして吹きこんで来る(不穏)
鳥が荒れ果てた草地に舞い降りて、かつての秦の庭園に日がかたむき
蝉が黄葉した木々に鳴いて、かつての秦の宮殿に秋が忍び寄る
旅人よ、あの華やかだった当時のことなど、もう聞かないでくれ
この古い都で昔と変わらないのは、
東へ向かって流れ続ける渭水だけなのだから
★変事が起ころうとする直前の不気味な気配の形容として慣用される句
★許渾は江蘇省丹陽の人
「蒹葭楊柳似汀洲」で、「作者の故郷の江南に似ている」とし、
故郷への回想を含むとも。
★色彩が豊か、聴覚にも訴える名詩です。
★石川忠久『夏の詩100選』NHK 出版
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