Re: 牛郎織女
投稿者: ajisai110701 投稿日時: 2011/07/06 23:27 投稿番号: [28 / 735]
老牛は牛郎に言いました。
「明日、お日さまが沈みそうになったら、
おまえは右手のあの高い山に登りなさい。
山のあの辺りに林があって、林の前に湖がある。
その湖で仙女が水浴びをしている。
仙女たちの着物はみな草の上に老いてある。
そのうちの桃色の薄衣を持ち去り林の中で待っているのだ。
おまえの跡を追って着物を取り返しに来た仙女がおまえの妻だ」
翌日、牛郎は老牛に教えられた高山に登り、林を抜けると、果たして
湖のほとりの草地の上に色とりどりの着物が置いてあるのを目にしました。
その一枚一枚のどれもが非常に美しいものでした。
牛郎はその中から桃色の薄衣を探し当てると
それを持って林の中に駆け込みました。
しばらくすると仙女たちが草地のほうへやって来るのが見えました。
ひとりの仙女が言いました。
「もうすぐ日が暮れるわ。いそいで戻りましょう」
また、ひとりの仙女が言いました。
「あら! わたしの着物がないわ」
牛郎は林の中から大声をあげて言いました。
「娘さん、あわてないで、あなたの着物はここにあるよ」
なんとその娘は王母娘娘(ワンムーニャンニャン = 西王母)
の外孫娘だったのです。
名まえを織女といいました。娘は、速く上手に機織りをしました。
母娘娘は昼も夜も織女に機織りをさせ少しの間も休むことを許しませんでした。
この日、王母娘娘は酒席の招待をうけ留守にしていましたので、
織女は他の仙女たちと連れ立って人界に降りて来たのでした。
仙女たちは、この清らかな湖水をとても気にいり、沐浴にやってきたのでした。
娘は牛郎に、どうしてここにやって来たのかと尋ねました。
牛郎は、兄夫婦の家を出てきたいきさつや、
老牛と一緒に暮らしたあれこれを娘に語りました。
織女はそれを聞いて同情もし、また喜んで、
織女もまた置かれている今の自分の身の上を牛郎に語りました。
織女は最後にこのように言いました。
「人はみな天上はすばらしいって言うけど、ほんとうは天上なんて
全然いいところでも何でもないのですよ。
わたしには何の自由もなく監獄に閉じ込められているのと同じです。
わたしはいつも、自由な暮らしをしたいと心の中で願っていました。
たとえ一日でも半日でもいいから」
織女の話を聞き終わると、牛郎は言いました。
「天上がいやなのなら、帰ることはありません。
あなたは機織り上手だし、わたしは働き者です。
わたしたちは夫婦となり、この人界で一生を伴にしようではありませんか」
織女も笑って頷き同意しました。
ふたりは林を通り抜け、山を降り草屋に戻りました。
牛郎が織女に牛を指さして見せると、織女は老牛の首を軽くたたきました。
老牛は嬉しそうに笑顔で織女を見、まるでこう言っているようでした。
「まさしくご新造さんだ」
それからというもの、牛郎は畑を耕し、織女は糸を紡ぎ機を織り、
ときにはまた牛郎のささやかな耕作の手伝いもしました。
ふたりは勤勉にしてつつましやで労働を厭わず、とても幸福に暮らしていました。
二三年が経ち、ふたりは男児と女児をひとりずつもうけました。
子供が口をきけるようになると織女はいつも夜空の星々を指して、
子供たちに天上の物語を語って聞かせるのでした。
ときに織女は愁いに沈むことがありました。
いったい何を憂えているのでしょうか。
織女は牛郎には告げませんでしたが、心ひそかに、王母娘娘が織女がここに
いることを知りきっと連れ戻しに来るであろうことを恐れていたのです。
つづく
「明日、お日さまが沈みそうになったら、
おまえは右手のあの高い山に登りなさい。
山のあの辺りに林があって、林の前に湖がある。
その湖で仙女が水浴びをしている。
仙女たちの着物はみな草の上に老いてある。
そのうちの桃色の薄衣を持ち去り林の中で待っているのだ。
おまえの跡を追って着物を取り返しに来た仙女がおまえの妻だ」
翌日、牛郎は老牛に教えられた高山に登り、林を抜けると、果たして
湖のほとりの草地の上に色とりどりの着物が置いてあるのを目にしました。
その一枚一枚のどれもが非常に美しいものでした。
牛郎はその中から桃色の薄衣を探し当てると
それを持って林の中に駆け込みました。
しばらくすると仙女たちが草地のほうへやって来るのが見えました。
ひとりの仙女が言いました。
「もうすぐ日が暮れるわ。いそいで戻りましょう」
また、ひとりの仙女が言いました。
「あら! わたしの着物がないわ」
牛郎は林の中から大声をあげて言いました。
「娘さん、あわてないで、あなたの着物はここにあるよ」
なんとその娘は王母娘娘(ワンムーニャンニャン = 西王母)
の外孫娘だったのです。
名まえを織女といいました。娘は、速く上手に機織りをしました。
母娘娘は昼も夜も織女に機織りをさせ少しの間も休むことを許しませんでした。
この日、王母娘娘は酒席の招待をうけ留守にしていましたので、
織女は他の仙女たちと連れ立って人界に降りて来たのでした。
仙女たちは、この清らかな湖水をとても気にいり、沐浴にやってきたのでした。
娘は牛郎に、どうしてここにやって来たのかと尋ねました。
牛郎は、兄夫婦の家を出てきたいきさつや、
老牛と一緒に暮らしたあれこれを娘に語りました。
織女はそれを聞いて同情もし、また喜んで、
織女もまた置かれている今の自分の身の上を牛郎に語りました。
織女は最後にこのように言いました。
「人はみな天上はすばらしいって言うけど、ほんとうは天上なんて
全然いいところでも何でもないのですよ。
わたしには何の自由もなく監獄に閉じ込められているのと同じです。
わたしはいつも、自由な暮らしをしたいと心の中で願っていました。
たとえ一日でも半日でもいいから」
織女の話を聞き終わると、牛郎は言いました。
「天上がいやなのなら、帰ることはありません。
あなたは機織り上手だし、わたしは働き者です。
わたしたちは夫婦となり、この人界で一生を伴にしようではありませんか」
織女も笑って頷き同意しました。
ふたりは林を通り抜け、山を降り草屋に戻りました。
牛郎が織女に牛を指さして見せると、織女は老牛の首を軽くたたきました。
老牛は嬉しそうに笑顔で織女を見、まるでこう言っているようでした。
「まさしくご新造さんだ」
それからというもの、牛郎は畑を耕し、織女は糸を紡ぎ機を織り、
ときにはまた牛郎のささやかな耕作の手伝いもしました。
ふたりは勤勉にしてつつましやで労働を厭わず、とても幸福に暮らしていました。
二三年が経ち、ふたりは男児と女児をひとりずつもうけました。
子供が口をきけるようになると織女はいつも夜空の星々を指して、
子供たちに天上の物語を語って聞かせるのでした。
ときに織女は愁いに沈むことがありました。
いったい何を憂えているのでしょうか。
織女は牛郎には告げませんでしたが、心ひそかに、王母娘娘が織女がここに
いることを知りきっと連れ戻しに来るであろうことを恐れていたのです。
つづく
これは メッセージ 27 (ajisai110701 さん)への返信です.
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