紫陽花亭日乗

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Re: 『史記』「管晏列傳第二」

投稿者: ajisai110701 投稿日時: 2011/07/28 22:43 投稿番号: [210 / 735]
〔原文〕
管仲既任政相齊。以區區之齊在海浜、通貨積財、富國彊兵、與俗同好惡。
故其稱曰。倉廩實而知禮節、衣食足而知榮辱。上服度則六親固。
四維不張、國乃滅亡。下令如流水之原。令順民心。故論卑而易行。
俗之所欲、因而予之、俗之所否、因而去之。
其爲政也善因禍而爲福、轉敗而爲功。貴輕重、愼權衡。

〔訓読〕
管仲 既に政に任じ齊の相たり。
區區(クク)の齊の海浜に在るを以て、貸を通じ財を積み、
國を富ましめ兵を彊(つよ)くし、俗と好惡を同じくす。
故に其れ稱して曰く、
倉廩(ソウリン)實ちて禮節を知り、衣食足りて榮辱を知る。
上の服度あれば則ち六親固し。四維張らざれば、國乃ち滅亡す。
令を下すこと流水の原(みなもと)よりするが如し。令民心に順ふと。
故に論卑(ひく)くして行ひ易し。
俗の欲する所は、因りて之を予(あた)へ、
俗の否(いな)む所は、因りて之を去る。
其の政たるや善く禍に因りて福に爲(な)し、敗を轉じて功と爲(な)す。
輕重を貴び、權衡を愼む。

〔解釈〕
そして管仲は政治を任され齊の宰相となった。

齊の國は小国で海に面していたが、手広く貿易を行い財を貯え、国を富ませ
軍隊を強力にし、人民の好むところ悪むところをよく汲み取った政治を行った。

これを『管子』に以下のようにいう。
「米蔵に食物がいっぱいになるとはじめて、人は礼節をわきまえるようになる。
衣食が充足してはじめて、人は栄誉と恥辱を知るようになる。
指導的地位にある者の行いに節度があれば、
一族(父母兄弟妻子)の結束は固くなる。
四つの大綱、礼・義・廉・恥が張りめぐらされていなければ、
国は滅亡する。
命令を発するときには、水が水源より発してやがて低きに流れすみずみに
までいきわたるが如くにしてはじめて、その命令は民心に叶う。」と。

故に管仲の理論は卑近で実行が容易であった。

大衆の望むところは与え、大衆の拒否するところは取り除いた。

管仲の政治は、禍があっても上手に福に転化し、
失敗をしてもそれを成功に転化することに長けていた。

ものごとの軽重をよく見極め、つりあいを取ることが慎重であった。


★下令如流水之原・・・
ちょっと、以下   ↓   を思い出します。

『老子』第七十八章
「天下莫柔弱、莫過於水。」
「天下の柔弱なるは水に過ぐるは莫し。」


★權衡・・・
「權」は「はかりのおもり」、
「衡」は「はかりのさお」、
で「ものの標準になるもの」です。


つづく

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