紫陽花亭日乗

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過零丁洋     文天祥

投稿者: ajisai110701 投稿日時: 2011/07/20 21:49 投稿番号: [143 / 735]
過零丁洋          文天祥(宋・1236〜1283)

辛苦遭逢起一經      辛苦に遭逢するは一経より起る
干戈落落四周星      干戈落落として四周の星
山河破砕水飄絮      山河は破砕して水は絮(わた)を飄わし
身世浮沈風打萍      身世は浮沈して風は萍(うきくさ)を打つ
惶恐灘頭説惶恐      惶恐灘頭(こうきょうたんとう)に惶恐を説き
零丁洋裏歎零丁      零丁洋裏に零丁を歎く
人生自古誰無死      人生古(いにしえ)より誰か死無からん
留取丹心照汗青      丹心を留取して汗青を照らさん

辛苦に遭遇するのは経学に志した時からの宿命だ
干戈を動かして幾多の戦いに従事すること四周年
山河は破れ砕けて、風に吹き飛ぶ水上の柳絮のごとく
わが身も浮沈して定めなく、風のなすがままの浮草同様
先に故郷の惶恐灘へさしかかれば、首都が危ないという惶恐すべきしらせ
今、この零丁洋へくれば、文字通り零丁(ひとりぼっち)のうらぶれの身
だが、人は昔から死なぬ者はない定め
この真心を失わず、後世の歴史に名を残そう


★生き恥をさらすよりは、死んで節義を歴史にとどめようとする
心意気をうたっています。

★文天祥は、20歳で科挙に主席合格。漢民族のため、天子のため、
勝算のない戦いにわずかの手勢を率いて各地に転戦し万丈の気を吐きました。
元軍の捕虜となり北京で刑死しました。

★「汗青」・・・   歴史の意。
昔、書籍をいう。紙のない昔、竹をあぶって汗を出させ油を抜いて
それを紙にかえて字を記したということです。

★奥平卓先生と宮崎市定先生の訳を参考にし、ミックスいたしました。

★「山河破砕水飄絮      山河は破砕して水は絮(わた)を飄わし」

たとえば、上記の訳は奥平先生のもの。
宮崎先生は、
「山河は破れ砕けて、水には破れた衣が漂い」と訳しておられます。

★「人生自古誰無死      人生古(いにしえ)より誰か死無からん」

北京郊外の万里の長城近くの墓地に、この「人生自古誰無死」と書いた碑が
たっていると聞いたことがあります。

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