紫陽花亭日乗

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提婆達多 22

投稿者: ajisai110701 投稿日時: 2011/07/16 20:51 投稿番号: [105 / 735]
ある日仏陀がラジャクリハの巷に行乞した時に、
たまたま提婆達多も同じ巷に行乞した。
仏陀は遙に提婆達多の姿を見てそこを去ろうとした。
その時アーナンダが仏陀に問うていった。

「世尊よ、何故ここを去ろうとなさるのですか」

仏陀は答えた。

「提婆達多がいる故避けるのである」

「世尊よ、提婆達多を畏れられることはないではありませぬか」

「私は提婆達多を畏れはせぬ。ただこの悪人と逢うてはならぬからである」

「それならば提婆達多にここを去らせればよいではありませぬか」

「いや、それにはおよばぬ。思うようにさせておくがよい。
愚な者に逢うてはならぬ。愚な者と事を共にしてはならぬ。
また是非の議論を交えてはならぬ。
愚者は自ら非法を行い、正律に反き、日に日に邪見を募らす。
それゆえにアーナンダよ、悪知識とかかりおうてはならぬ。
愚人と事に従えば信もなく、戒もなく、聞もなく、智もない。
善知識と事に従えば諸(もろもろ)の功徳を増すことができる。
アーナンダよ、この事をよく心にとめておくがよい」


ある時、提婆達多は突然仏陀のもとを訪れて五事の厳則を立てんことを請うた。

一   比丘は終生塩を食すべからず
一   比丘は終生酥乳をのむべからず
一   比丘は終生魚肉を食すべからず
一   比丘は終生乞食(こつじき)すべし。招待供養を受くべからず。
一   比丘は春夏八ヶ月は露坐し、冬四ヶ月は草庵に住すべし。
   屋舎を受くべからず。

仏陀の回答である。

人が自らこの厳則を守ることは随意であるが、
すべての者に対して強制すべきではない。
年齢、体質にもよる。
その土地土地の習慣もある。
心の清浄を得るには樹下と屋内とを問わず、はた行乞と招待供養とを択ばない。
要は欲望に陥らぬことにある。
強いて一定の律法を用いればかえって得道の礙(さまたげ)となる。



つづく

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